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学長メッセージ

平成23年度入学式式辞

平成23年4月8日 新潟医療福祉大学学長 山本正治

私はいま悲痛な思いでここに立っております。3月11日、観測史上最大の地震が東北と関東地域を襲い、壊滅的な被害が発生しました。それから1ヶ月経過しましたが、東日本大震災の犠牲者は、阪神大震災を大きく上回りました。また福島の原発も甚大な被害を受け、放射能による環境汚染が心配な事態になっています。

地震と津波で犠牲となった方々、住む家を失った方々、放射能を避けるため住みなれた土地から退避された方々のことを思い、私は悲痛な気持ちでおります。入学生諸君や参列者の方々の中に被災された方がおられると思います。心からお見舞いを申し上げます。今日はこのような中での入学式であります。困難な状況にある方々のことを常に心に留めながら式辞を述べさせていただきます。

大震災で入学式を行わない大学がありますが、本学は行います。入学生諸君にはこれからの日本の復活を支援するために、今日そのスタート台に立っていただきたいからです。入学式は黙祷で始めました。また華美にならないようにしました。諸君は質素ですが重々しい雰囲気の入学式に参加していますので、自分が生かされてこの場にいることを感じ取っていただきたいと願っています。

本日、4学部10学科で874名を迎えました。大学院研究科では修士課程で21名、博士後期課程で5名を迎えました。総勢900名の入学生が参加されております。ご入学、大変おめでとうございます。また保護者の方々は今日のよき日を心待ちにして来られたと思います。お子様の入学をお祝い申し上げます。またご来賓の方々には、ご多忙中の折にもかかわらず、ご列席いただきまして、心よりお礼を申し上げます。

この機会に本学の開学時のお話をします。今から10年前の平成13年4月、本学は医療・保健・福祉・スポーツの向上に寄与し地域住民の期待に応える大学として開学しました。当時は2学部5学科でしたが、開学11年目の今年、あらたに臨床技術学科が加わり四学部十学科になりました。なお臨床技術学科は入学生の全員が臨床工学技士と臨床検査技師のダブルライセンスを目指す本邦初の学科であります。在学生数は2972名に達し、日本で有数の保健・医療・福祉・スポーツ分野の総合大学となりました。

ここで建学の精神についてお話をします。それは「優れたQOLサポーターの育成」です。この目標を掲げた理由ですが、日本の平均寿命が世界一になったことと関係があります。日本は世界一の長寿国となりましたが、これからのテーマはただ単に長生きするだけでなく、いかにより良く生きるかが問題となって来ました。お年寄りの方々は病気がちですが、病気になってもいかに病気とうまく付き合っていくかが大事になります。また治療や介護を受けた時には、本人だけでなくご家族の方々にもその治療や介護に対して満足感を持っていただくことが大事です。特に大震災後の被災者の方々に満足いただけるサポートが大事になります。

「より良く生きること」を英語ではクオリティー・オブ・ライフ、その頭文字をとってQOLと言っています。「生命(いのち)の質」、「生活の質」と訳されていますが、私は先ほど申し上げた「より良く生きること」と訳した方が分かりやすいと思います。入学生諸君には将来、お年寄りだけでなく全ての国民の方々のQOLを、保健・医療・福祉・スポーツ分野の面で専門的に支えるサポーターになってもらいたいと期待しています。今回は大震災でお亡くなりになられた犠牲者の方々、特に皆様と同じ世代で、志半ばで亡くなられた方々の無念を思い、この困難な時代に生かされていることを感謝し、亡くなられた方々の分も背負って、QOLサポーターになっていただきたいとお願いします。

ところで私はこの式辞の中で2度も「生かされていること」について触れました。それには深い訳があります。私の父親は太平洋戦争の終わるわずか2ヶ月前に、フィリピンのルソン島で戦死しました。そのとき父親は32歳、私は1歳半でした。その後母親は結核療養所で働くことで生活を支え、私に大学で学べる幸せを与えてくれました。大学に入学した時、私は志半ばで死亡した父親の無念を思い、その分も「生きてやろう」と決意しました。また自分は太平洋戦争の戦前・戦後の困難な時代を通して「生かされていること」に感謝しました。大学では公衆衛生学や予防医学を専門としましたが、精神医学や心理学も学びました。私のこの思いは、精神医学や心理学では「自分自身を知ること、すなわち他人の考え方に惑わされず自分は自分であるとの考え方を持つこと」を意味します。専門用語では「自己同一性」と言います。皆様はいま自分自身を知り、社会で自分の果たすべき役割を決めておかねばならない年代であり、大震災は皆様に自分自身のこれからの生き方を考える機会を与えています。「自分自身を知る」ために皆様はいま何をすべきでしょうか。それは皆様が入学に際して行った手続きの中に答があります。皆様には「私の夢」を書いて提出をお願いしました。ここで夢とは目標のことです。皆様は入学時に描いた目標を実現するために、入学後に何をすべきでしょうか。この一連の考え方が「自分自身を知ること」になります。また大学院生は志望の動機の中で既に明らかにしていると思います。

ここで本学の基本的考え方を説明します。本学では目標を実現するための手段として、全学生に国家資格や民間の資格を取得させることを目指しています。皆様は目標を具体化するために、4年後に資格を取る、そのためにこの1年間に何をすべきか、では夏休みまでは、そのために5月の連休前までは、では1週間は、今日1日はと、より具体的な計画を立ててみてはいかがでしょうか。私は今もこのやり方を実践しております。今回は計画をまとめるときに、志半ばで無念の生涯を終わった方々の分も加えて、目標を実現する計画を立てていただきたいと願っています。大学院生の場合も同様です。決められた年限の中で、目標と計画を立てていただきたいと思います。

私たち教職員は「めんどうみのよい大学」の一員として、皆様の目標を実現するために惜しみない支援を致します。以上、犠牲者のことをいつも心に思い、そしてこれからの日本の保健・医療・福祉・スポーツ分野を支える皆様の底力を信じ、学長式辞とします。

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