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大学概要

学長メッセージ

平成23年度卒業式式辞

平成24年3月14日 新潟医療福祉大学学長 山本正治

やさしい陽だまりのなかに春を感ずる頃となりました。全ての生きとし生ける物が春に向かって動き始めております。この早春の候に学部の卒業式と大学院の修了式を挙行できることを学長として大変うれしく思います。

今回学部を卒業又は大学院を修了される方々は学部学生が606名、大学院生が20名です。総勢626名となります。学長として皆様に心から「おめでとう」と申し上げます。今回卒業又は修了されたご本人はもとより、保護者の方々も、今日のこの良き日を待ち望んでおられたことと存じます。ここに至るまで色々な面でご苦労もあったとお察しします。心からお祝いを申し上げます。
またご来賓の方々には、年度末のお忙しい中ご臨席賜り、心から御礼を申し上げます。本学の教員並びに事務職員の方々にも御礼を申し上げます。皆様のご尽力によって、総勢626名が大学を卒業又は大学院を修了することができました。

最初に学部の卒業生にお話しをします。本学は保健医療福祉スポーツ分野の総合大学として平成13年に開学いたしました。開学以来、「優れたQOLサポーターの育成」を教育理念に掲げております。卒業される皆様には、「優れたQOLサポーター」を心に留めて、大学で学んだ知識や技術を地域社会のために役立てていただきたいと思います。
大学院を修了される皆様にお話しをします。大学院で学んだ高度な専門的知識や技術を身につけたQOLサポーターとして地域社会に貢献いただき、後継者を育てる教育者としても将来活躍していただきたいと思います。

学部の卒業生、大学院の修了生共通の問題ですが、実際に社会に出てみますとQOLサポーターとしてどう在るべきか悩むことがあるかも知れません。そのような時には、これからお話することを忘れないで欲しいと願っています。
昨年3月11日に東日本大震災が発生し、多数の死傷者と甚大な被害が出ました。その時、私は外国の友人から見舞いのメールを受け取ったのですが、そのメールには被災地で多くの人々が助け合う光景を見て、どのような状況になっても多くの日本の国民がお互いに助け合うことのできる優しい心を持っていることに感動したと書かれておりました。また災害のときに暴動が起きないことは自分たちの想像を超えているとも書かれておりました。世界の新聞・テレビなどのマスコミも同じことを報道しております。欧州連合(EU)のファン・ロンパイ大統領のエピソードも紹介します。この方はベルギー人ですが、大の俳句好きで知られています。今回の東日本大震災のあとの情景を俳句に詠んでいます。「嵐去り 後に残るは 優しき心」というものです。「優しき心」とは「性格が温和で相手を敬い、思い上がらない態度」と理解しました。四字熟語では「温良恭倹(おんりょうきょうけん)」として知られています。『論語』の中で孔子が、「人に接するとき最も重要な態度である」と語った言葉ですが、私たちの心の中に今も生き続けています。
そこで皆様がQOLサポーターとして悩んだ時には、私たち国民の心の原点とも言える「優しい心」を意識して、これからあなた方を必要とする人々のお役に立っていただきたいと思います。

またQOLサポーターとして社会に出た時の心構えとして、ベンチャービジネス分野で多くの成功者を育てた本田(ほんだ)健(けん)という人が書いた『20代にしておきたい17のこと』を紹介したいと思います。本田さんは20代にしておきたいこととして、人生最大の失敗をする、大好きなことを見つける、一流のものに触れる、一生付き合える親友を見つける、専門分野を持つ、お金と時間の管理を学ぶ、異文化に触れる旅に出るなどを上げています。私は自分の68年にわたる経験を通して、私の中で一番重要と思うことを考えてみました。

それは「専門分野」を持つことです。その理由は、社会の中で自分の役割を早く見つけ、独り立ちすること、その道を極めることが生涯を通して自信につながり、精神的に心豊かになれると考えるからです。精神医学や心理学で言う「自己同一性の確立」を20代のうちにしておくと、人生を意気に感じて過ごせると思います。ここで「専門分野」とは仕事のことだけを言うのではありません。趣味などの特技も入ります。釣りをすること、絵を描くこと、料理を作ること、旅行すること、好きな外国語を学ぶことなど、何でも結構です。趣味といえどもその道を極める決意を20代にしておいては如何でしょうか。

皆様には卒業後まずは専門的職業人として、多くの対象者の方々に接していただきたいと思います。自分を必要とする者がこの世の中に大勢いることが分かってくるはずです。次に自分の専門分野で一流を目指していただきたいと思います。そのためには一流の人やモノに触れる必要があります。特にその分野をリードする国内外の専門家を"人生のお手本"として見ておくことをお勧めします。専門家と言われている人は、多くの失敗や挫折に遭いながらも、それを乗り越えて現在の成功を勝ち取った人であることが分かると思います。失敗や挫折を乗り越えて人間が成長することを、"お手本"の中に見出すことは大事なことです。このような一連のプロセスを経て30代に入りますと、QOLサポーターとして、自己実現に向けた人生の方向が見えてくると、私は確信しております。

本学の教育理念「優れたQOLサポーター」を生涯にわたって地域社会の中で実践するには、「優しい心」と「専門分野」を持つことが極めて重要であります。最後に、これに関連して私が大切にしている短い言葉を皆様にお贈りします。「他を潤す人は自分も潤う」です。身近な言葉に置き換えると「優れたQOLサポーターになることは、結果として自分自身さらには家族のQOL向上にも役立つ」ということです。本学の教育理念である「優れたQOLサポーター」の持つ意味は奥が深いです。今日の良き日にこの意味をあらためて噛みしめていただきたいと願いながら、学長式辞といたします。

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