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2016年8月4日

「夢、遊ぶことを媒介とする心理的支援」に関する研究

松本 京介

社会福祉学科 講師/臨床心理士

■趣味:ギター、サーフィン、聖地めぐり
■愛読書:『銀河鉄道の夜』『センチメンタルな旅・冬の旅』『夢解釈』
■座右の銘:頭は天に、足は地に。

研究を始めたきっかけ

大学時代、どん底のように感じていた時期があり、臨床心理学の先生に相談しました。先生は、私に「君は腐ってしまった」と一言。そして、先生は私をブドウにたとえ「新鮮なブドウはみんなに愛される。一方、腐ったブドウは見向きもされない。けれども、腐ったブドウでも、そのまま発酵し続ければ、芳醇なワインになって人から求められる可能性がある。君はワインを目指すしかない!」と叱咤激励して下さいました。私が人生の闇を体験したことを先生はごまかさず、さらに、その経験は活用できる可能性があるんだと希望の光を与えて下さいました。これがきっかけで、私も誰かのために少しでも役に立てれば、という気持ちで研究を始めるようになりました。

 

研究内容

臨床心理面接、臨床心理的地域援助に携わり、臨床経験と研究を重ねています。精神科デイケアでは音楽プログラムを担当し、利用者の方々と一緒に作詞・作曲などの創作活動をしています。「遊ぶことはそれ自体が一つのセラピーである」といわれていて、遊ぶことを通して、個人は自分自身を発見し、「人生の充実とはこういうことなんだな」という実感を取り戻すことで、主体性を回復していきます。そういった自己感覚を養いながら、それぞれが就労も含めた自分の人生を生きるようになっていきます。現在、デイケアの利用者の方々が社会参加を促進しつつ自己実現を果たしていくためにどのような支援が役に立っているのかについて研究しています。

 

今後の展望

ヒトの身体には限界がある一方、人のこころはファンタジーを通して無限に広がります。人のあたまの活動が暴走し、身体が限界を超えかけると「病い」になります。そんなときは、遊ぶことに没頭したり、夢を省みたりするなど、身体からのメッセージを聴くことで心身の調和が保たれます。自らの心身が調和してくると足るを知り、地球環境とも調和した人生になるはずです。また、心身の調和した在り方は人それぞれなので、個人の心身が調和してくると、人それぞれの多様性をただただ認めあうことに繋がり、互いに争う必要がなくなるはずです。人類が地球と調和し、恵み豊かな環境を未来の子どもたちにも継承することのできる社会を実現したい、そんな希望を抱いています。

 

高校生へのメッセージ

福祉の仕事は、困りごとを抱えた人はもちろん、自分自身をも幸せにできる可能性を持ちます。そのような魅力あふれる福祉の仕事をあなたも目指してみませんか?9月の模擬講義では映画『となりのトトロ』を通して心理的支援について検討します。ぜひ、参加してください!