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2016年8月4日

「インドネシア共和国マカッサル市における母子保健指標の向上」に寄与する研究

松井 由美子

看護学科 教授/看護師、助産師

■趣味:路地歩き
■愛読書:ドストエフスキー
■座右の銘:1日1回小さな幸せ

研究を始めたきっかけ

助産師としての経験から妊産婦や乳幼児の保健活動に興味を持っており、最初は日本国内の母親の育児不安などに対する心理面のサポートに関する研究を行っていました。子育て支援センターや保健センターで一人ひとりの母親の話を聞きながら、どのような育児支援が可能かを考えていました。しかし、情報収集する中で、アフリカやアジアなどの途上国には母親の育児不安が少ないことを知り、海外の子育てにも関心を持つようになったのです。国際学会に参加する中で、途上国が抱える母子問題はもっと命に直結する深刻な問題だと知り、その改善のために少しでも貢献したいと考えるようになったのがきっかけです。

 

研究内容

インドネシアの工業都市マカッサル市にある保健センターや保健支所における母子健診の実態調査を行っています。母子保健問題改善のための事後指導のあり方や住民自らが解決策を考えられるよう支援していく研究活動です。インドネシアの保健活動には地域ボランティアのカデルと呼ばれる多くの女性たちが活躍されており、その方々からもインタビューを通してどのような保健活動をされているのか、聞き取り調査を実施しています。生活の違いを感じ、少しずつ異文化にとけ込んでいく中で、保健行動を形作る社会や文化的背景を見ることができ、その国の情勢に合った支援を常に考えています。

 

今後の展望

インドネシア共和国は経済発展に伴い、公共施設や保健医療福祉の制度の急速な整備を進めています。私の研究は、保健医療福祉制度の中の母子保健の分野に貢献できると思います。協力してくださった施設にはインドネシア版事後指導用パンフレットを活用していただく予定です。国連はユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)=「すべての人に健康を」と呼びかけ、世界中のすべての人々が平等に質の高い保健医療福祉制度を受けられるよう、2030年に向けてのアジェンダ(課題項目)を掲げました。2030年にはインドネシア共和国の妊産婦や乳幼児だけではなく世界中の母親と子どもたちが健康に暮らせる世界になることを願って、研究を続けています。

 

高校生へのメッセージ

保健医療福祉の専門職も今は世界で活躍する時代になりました。本学の看護学科の卒業生や大学院生の皆さんにもそのような学生さんが増えてきている状況です。9月のオープンキャンパスで国際看護の魅力を模擬授業でお伝えする予定ですのでぜひ聞きに来てください。お待ちしております。