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2016年8月4日

「身体のエネルギー代謝を調節するしくみの解明」に関する研究

越中 敬一

健康スポーツ学科 講師/博士(医学)、中学校・高等学校 教諭専修免許(保健体育)

■趣味:庭いじり
■愛読書:よくある失敗と対策がわかる野菜づくり
■座右の銘:笑いの寸止め

研究を始めたきっかけ

大学時代にクラブ活動にのめりこみ、競技成績の向上に役立ちそうな書籍を金に糸目をつけず読みあさるようになりました。「面白い!」という軽い気持ちで大学院修士課程へ。2年間だけのつもりでしたが、マニアックな実験仲間と一緒に行動するうちに自分もいつの間にかその一員となっていることに気づきました。時すでに遅し。体が実験室を我が家と認識し始め、すっかり実験のとりこ、実験室の住人へ。博士課程への進学を決め、研究者を目指すことにしました。小さくても、「世界で誰も知らないこと」を最初に知ることに研究の魅力を感じます。

 

研究内容

トレーニングをして筋肉が太くなるのも筋肉細胞の中の「太くなるしくみ」が働くために生じます。私の研究では、運動や食事に関連した身体のエネルギーの流れ=エネルギー代謝と、その変化によって生じる身体適応のしくみを調べています。筋肉、肝臓、脂肪、神経などの細胞を実験試料にして、様々な刺激に対する細胞の反応・適応を遺伝子・たんぱく質レベルで観察しています。しくみが解明できれば、細胞の働きを促進したり、抑制したりする方法を探しだし、身体を自由にデザインすることが可能になります。筋肉を太くする方法は、筋肉細胞に聞いてみれば良く分かる!ということです。

 

今後の展望

細胞は様々な刺激に反応・適応をしますが、その際に驚くほど共通のしくみを使っています。例えば筋肉が太くなるしくみがわかると、運動で使うエネルギーを筋肉にたくさん貯める方法もわかったりします。私の研究では、解明したしくみを利用して、新しい効果的な身体トレーニング法の開発、健康食品や競技力向上を目的としたサプリメント等の開発、エネルギー代謝異常が関連した病態の原因究明や治療法の開発を目指しています。運動するよりも効果的に身体能力を向上できる「運動をしなくても良い方法」がわかれば、アスリートだけでなく高齢者や肥満者も助かるかも知れませんね。

 

高校生へのメッセージ

健康スポーツ学科というと、体育実技のイメージが強いでしょうか?もちろんそれも習います。しかしながら、オープンキャンパスでは「体を動かさないケンスポ」を紹介します。我々の研究がどのようにスポーツや健康増進の現場に貢献できるのかを聞きに来てください。