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2016年8月4日

「病院前救急救命学」に関する研究

山内 一

救急救命学科 講師/救急救命士、准看護師、JPTECインストラクター/世話人、 応急手当指導員インストラクター、ICLSインストラクター、 ITLS-Advancedインストラクター、 ITLS-Pediatricインストラクター、ITLS Affiliate Faculty、

■趣味:釣り、温泉、歴史探索、読書
■愛読書:獣の奏者(上橋菜穂子)
■座右の銘:正論は吐き続けろ

研究を始めたきっかけ

救急現場から医療機関までの「病院前救急救命(プレホスピタルケア)」については、まだまだ学問的に成り立っていない部分が多くあります。経験にもとづく法則や技術だけではなく、根拠をもとにした学問を構築し、救急の現場に活かしていく必要があります。私が救急救命士の資格を取得した頃に、「病院前における傷病者へのアプローチはどうあるべきなのか」という勉強会に参加しました。その勉強会がきっかけで、現在も傷病者に対するアプローチについての研究を継続しています。

 

研究内容

救急救命士は、病院前において傷病者に何が起きているのかを呼吸や脈拍、身体所見、様々な情報から推測し、必要な処置を行い、適切な医療機関に搬送することが求められます。特に重症であればあるほど迅速性が求められ、適切な対応をするためには相当な思考速度が鍵となります。迅速で適切な対応を支えるものは「医学知識」と「臨床経験」です。テキストに書かれていることを覚えても、それは「活字情報として知っている」にすぎません。臨床上で経験し、本当の意味で理解したとき初めて「知識」となります。このことをどうすれば効率よく教育していけるかという研究を行なっています。

 

今後の展望

救急救命士はもちろんのこと、医療従事者は単に流れ作業のように仕事を進めていく訳ではありません。人間は年齢・性別・身長・体重・性格など個々における違いがありますし、同じ疾患でも必ず決まった症状がでるわけではありません。つまり医療は、傷病者に合わせてオーダーメイドで考えていく必要があります。だからこそ、「知識」をもとに「考える力」が重要になります。考える力と行動・方法がしっかりと結びついた時に最高のパフォーマンスを発揮できるのです。全ての救急救命士が状況に合わせた最高のパフォーマンスを発揮し、より多くの傷病者の生命が救えるようになることを期待して研究を続けています。

 

高校生へのメッセージ

「生命を救う」ベタな言葉かもしれませんが、この言葉に全力をかけることができる諸君を待っています。オープンキャンパスでは救急救命士になってみたい!と思えるようなワクワクする模擬授業をやりますので、ぜひお越し下さい!