研究の向こうに未来が見える。

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救急救命学科

研究の向こうに未来が見える。

教授

竹井 豊(たけい ゆたか)

最終学歴 金沢大学大学院医学系研究科循環医科学専攻
学位 博士(医学)
保有資格 救急救命士、潜水士、1級小型船舶操縦士、防災士
趣味 ロードバイク、登山
愛読書 竜馬がゆく、海賊と呼ばれた男
座右の銘 Going My Way

一般市民の行う
心肺蘇生の質に
関する研究

この研究について動画で詳しく知ろう!

研究をはじめたきっかけ

心停止となった傷病者の救命は、心停止の場面に遭遇した一般市民の行動にかかっています。そばにいた市民が早期に心停止を認識し、119番通報を行い、心肺蘇生を行いながら、救急隊の到着を待つという行動が救命の可能性を高めるのです。しかし、心肺蘇生を行ったとしても、胸骨圧迫の質が悪いと救命の可能性を高めることはできません。

研究内容

一般市民の行った胸骨圧迫の質を評価するために、ある地域で1年間に発生した院外心停止例において、救急隊が現場で市民の行った胸骨圧迫の質を調査しました。本研究では、その記録を統計学的に分析して、心停止が中央地区で発生した例、心停止の場面に複数人がいた例、さらに市民が自発的に心肺蘇生を開始した例は、質の良い胸骨圧迫に関連し、高齢者によって胸骨圧迫がなされた例は、質の悪い胸骨圧迫に関連することを同定しました。

この研究の先に

この研究結果は、ヨーロッパ蘇生学会で発表し、同学会雑誌に論文が掲載されました。これによって、世界各国の同分野の研究者たちに広く研究内容が知られることとなりました。胸骨圧迫の深さや速さなど蘇生に関する世界的なガイドラインは、5年に一度見直されます。本研究も、そのガイドラインに引用されています。このような一つひとつの研究成果を世界に発信することは、すべての人々に平等に医療や福祉を提供するための一助になっています。

高校生へメッセージ

オープンキャンパスの模擬講義では、高校生の皆さんが比較的知っている心肺蘇生に関する研究内容を紹介させていただきます。救急に興味がない学生さんであっても、身内に何か起こった時のとっさの行動を知るための良い機会かと思いますので、多くの聴講をお待ちしています。