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【理学療法学科・運動機能医科学研究所】髙橋英明助教(理学療法学科、神経・筋・骨組織Lab、運動機能医科学研究所)らの研究論文が国際誌に掲載されました!

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髙橋英明助教(理学療法学科、神経・筋・骨組織Lab、運動機能医科学研究所)らの研究論文が国際誌に掲載されました。研究の概要は以下の通りです。

研究結果:
細胞の位置関係が疾患の重症化に関与 -変形性関節症進行に伴い細胞配列が乱れる-

要旨:
高橋らの研究グループは、関節軟骨の恒常性維持に細胞数だけでなく、その配列パターンも重要であることを明らかにしました。通常、関節軟骨は骨に向かうに従い肥大分化する規則的な配列パターンを成していますが、変形性膝関節症(OA)モデルラットを用いた実験において、病態が進行するに従い細胞数だけでなく、細胞のバラつきが起こることを明らかにしました。

本研究成果は、2017年4月20日にJ-STAGEの電子ジャーナル「Journal of Physical Therapy Science」で公開されました。

研究者からのコメント:
細胞には人間社会と同じような非常に複雑なネットワークがあり、相互関係の上に成り立っています。今回の研究では、細胞同士が互いに影響を及ぼし合いながら生存していることが示されました。また、OA進行に関するこれらの変化を経時的に検証した結果、予防的もしくは早期介入が効果的であることが考えられました。今後、これらについても検証していくことで、OAの新たな治療戦略の開発が期待できます。

本研究成果のポイント:
1.通常、関節軟骨は表層から深層に向かって肥大分化するという規則的な特徴を持っています。
2.OAの病態では、軟骨細胞のアポトーシスと軟骨基質部分(Ⅱ型コラーゲン・ヒアルロン酸・グルコサミノグリカンなど)の分解が起こります。
3.OAは複数の要因(遺伝、年齢、肥満、力学的ストレスなど)により、引き起こされる進行性の疾患で、最終的には人工関節手術を余儀なくされます。
4.現状の保存療法では、進行を遅らせたり痛みを取り除いたりする手段はありますが、根治療となる方法がありません。これは、OA発症のメカニズムが非常に複雑であり、解明されていないことが多いためです。
5.そこで、我々は軟骨細胞の規則的配列に着目し、OAモデルラットに対し空間自己相関分析という手法を用いて検証をおこないました。
http://www.nuhw.ac.jp/topics/news/20170516-1.pdf (65.7KB)
6.その結果、細胞のばらつき(規則的配列の乱れ)が病態進行と相関が高いことが示されました。また、OA初期~中期では、軟骨表層の比較的未分化な細胞から減少することも明らかになりました。
http://www.nuhw.ac.jp/topics/news/20170516-2.pdf (96.1KB)
7.
①細胞減少(細胞死)は未分化な表層から起こる。
②OAの状態では細胞分化をコントールするメカニズムが破綻。
③生体内における細胞分化の逆転は困難

これらの病態進行動態から、早期または予防的介入が必要であることが考えられます。

原論文情報:Hideaki Takahashi, Hiroyuki Tamaki, Noriaki Yamamoto, Hideaki Onishi. ‘’Articular chondrocyte alignment in the rat after surgically induced osteoarthritis’’, Journal of Physical Therapy Science, Vol 29 No.4, p598-604, 2017.

doi: http://doi.org/10.1589/jpts.29.598

>>運動機能医科学研究所の詳細はこちら
http://www.ihmms.jp/

>>理学療法学科の詳細はこちら
http://www.nuhw.ac.jp/faculty/medical/pt/

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