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【健康スポーツ学科】栃倉郁実さんと佐藤大輔教授らの研究論文が国際誌に掲載されました!

栃倉郁実さん(大学院修士課程 健康スポーツ学分野、SHAINプロジェクトRA)と佐藤大輔教授(健康スポーツ学科、スポーツ神経生理学Lab、運動機能医科学研究所)らの研究論文が国際誌(米国)に掲載されました!

研究結果
優れたタイミング調節能力のカギは眼の動きにあった
~野球選手が使っている特異的な眼の動きを発見~
わたしたちの研究グループでは、「球技系アスリート(野球選手)は、複雑な状況下でも正確にタイミング調節をできるのか?また、それはなぜなのか?」を明らかにするため、研究を進めてきました。
今回の実験で、球技系アスリート(野球選手)は、「特異的な眼の動き」をすることで、急な速度変化にも対応でき、複雑な状況下でも正確なタイミング調節が可能であることがわかりました。

研究成果のポイント
1.野球選手は、飛んでくるボールの速度を一瞬で理解して打ち返しますが、その理由は今まで分かっていませんでした。
2.野球選手の優れたタイミング調節能力は、速度変化に対応するために必要な「特異的な眼の動き」によるものであることがわかりました。
3.野球、テニス、バドミントンなど高速で動くボールやシャトルを巧みに扱うには、体力や知力だけでなく、眼力(がんりき)のトレーニングも必要であるといえます。

研究の背景
野球選手は投手が投げたボールの速度、コース、球種をわずか0.45秒(約140㎞/hに相当)の間に判断し、この非常に短い時間の中でも正確にボールを打ち返すことができます。
この優れた「タイミング調節能力」は、これまでの様々なトレーニングの成果だと考えられています。
また、その背景には、球技未経験者と比べて、素早く眼が動き出すことが分かっています。
特に、ターゲットに対し瞬時に視線を向ける眼球運動(以下、サッケード、図1左)について、ターゲットが移動してから眼が動き出すまでの時間が短いことが知られています。
このことで、迅速にボールの特徴を捉えることが可能となり、ターゲットの速度や位置を正確に予測できるため、正確なタイミング調節を行うことができると考えられてきました。
しかし、この結果は、特定の方向・速度で動くターゲットを見た場合の結果であり、様々な方法や速度で動く物体を見て、判断する必要のある競技場面や日常生活場面に当てはまるかどうかについては分かっていませんでした。
また、眼球運動にはサッケードの他に、移動するターゲットを滑らかに眼で追っていく眼球運動(以下、パシュート、図1右)があり、この2種類の眼球運動を同時に評価し、タイミング調節と関連させた研究はありませんでした。
そこで、わたしたちの研究グループでは、複数の速度を左右ランダムに出現させる課題を行ったときの、野球選手のタイミング調節能力と眼球運動について調べました。
これらの特徴が明らかにできれば、タイミング調節が苦手な人に対するトレーニングや野球選手の競技力向上のきっかけになる可能性があります。

参考図
図1.眼の動きの種類
http://www.nuhw.ac.jp/topics/news/200127.pdf (17.7KB)

>>「研究内容と成果」「今後の展開」についての詳細はこちら
http://www.nuhw.ac.jp/topics/news/200127-1.pdf (1.22MB)


掲載論文
【題名】Baseball Players’ Eye Movements and Higher Coincident-Timing Task Performance.
(野球選手の眼球運動とタイミング調節能力)
【著者名】Ikumi Tochikura, Daisuke Sato, Daiki Imoto, Atsuo Nuruki, Koya Yamashiro, Ren Funada, Atsuo Maruyama
【掲載誌】Perceptual and Motor Skills

>>運動機能医科学研究所の詳細はこちら
http://www.ihmms.jp/

>>健康スポーツ学科の詳細はこちら
http://www.nuhw.ac.jp/faculty/health/hs/

>>SHAINプロジェクトの詳細はこちら
https://www.nuhw.ac.jp/shain/

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