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【理学療法学科】宮口翔太助教と高橋諒さんの研究論文が、国際誌『Behavioural Brain Research』に受理されました!

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宮口翔太助教(理学療法学科、運動機能医科学研究所)と高橋諒さん(理学療法学科16期生、会津中央病院勤務)の研究論文が、国際誌『Behavioural Brain Research』に受理されました!

補足運動野への交流電流刺激により両手運動課題の成績が向上することを発見!

研究内容の概要:
補足運動野(SMA)は、ブロードマン領域の6野に分類される領域であり、両手運動課題の遂行に重要であることが示されています。またSMAにおけるβ帯域の活動は運動の計画と維持に関与し、γ帯域の活動は運動計画の更新に関与します。我々はこれまで、大脳皮質の律動活動を変調することのできる非侵襲的脳刺激法である経頭蓋交流電流刺激をもちいて手指の運動パフォーマンスに対する効果を明らかにしてきました。本研究では、この刺激方法をSMA領域に施行することによって両手運動課題の運動スキルを変調できるかどうかを検証しました。本研究の結果、SMAに対するtACSの効果は、刺激頻度と被験者のパフォーマンスレベルに依存しており、ベースラインの運動成績が高い被験者にはβ帯域の刺激が有効であり、反対にベースラインの運動成績が低い被験者にはγ帯域の刺激が有効であることが示唆されました。この結果には、SMAに対するtACSによって、運動計画の維持および更新が変調されたことが関係している可能性が考えられました。
本研究成果は、国際誌『Behavioural Brain Research』に掲載予定です。

本研究のポイント:
①右利き健常成人32名とし、SMAに対してβ-tACS(20Hz),γ-tACS(80Hz)、または疑似刺激のいずれかを施行している際中に、Purdue Pegboard Test(PPT)を遂行し、1分間に組み立てたパーツ数を計測しました。
http://www.nuhw.ac.jp/topics/news/2007081.pdf (10.7KB)

②各被験者が遂行した計9回のPPTの成績は、回数を重ねるにつれて増加していく結果となりました。
http://www.nuhw.ac.jp/topics/news/2007082.pdf (10.5KB)

③各被験者が遂行した9回のPPTのパーツ数の近似直線を算出しました。また近似直線と実際に遂行したパーツ数との差を算出し、刺激による成績変化量の指標としました。さらに近似直線の切片の値をベースライン成績の指標としました。β-tACS条件では成績変化量とベースライン成績との間に有意な正の相関が認められ(p = 0.007,Pearson's r = 0.464)、γ-tACS条件では有意な負の相関が認められました(p = 0.012,Pearson's r = -0.438)。
http://www.nuhw.ac.jp/topics/news/2007083.pdf (15.2KB)

④またベースライン成績に応じて32名の被験者を低成績群と高成績群の各16名に分けて行ったサブグループ解析の結果、低成績群では、γ-tACS条件における成績変化量の平均値は、β-tACS条件よりも有意に大きい値となり(p = 0.048),高成績群では、γ-tACS条件よりもβ-tACS条件(p = 0.002)および疑似刺激条件(p = 0.014)において有意に大きい値となりました。これらの結果から、SMAに対するtACSの効果は、刺激頻度と被験者のパフォーマンスレベルに依存しており、ベースラインの運動成績が高い被験者にはβ帯域の刺激が有効であり、反対にベースラインの運動成績が低い被験者にはγ帯域の刺激が有効であることが示唆されました。またこの結果には、SMAに対するtACSによって、運動計画の維持および更新が変調されたことが関係している可能性が考えられました。
http://www.nuhw.ac.jp/topics/news/2007084.pdf (8.26KB)

宮口先生からのコメントや原著論文情報はこちら
http://www.nuhw-pt.jp/2020/07/-20200707.html

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