第24回 高木昭輝(PT教員)
イワンのばか トルストイ 岩波文庫 1993
40年以上前からこころに残る本でした。FRB(Federal Reserve Bank)の前議長などは今日の経済状況を100年に一度の大事態と表現する昨今、既に好景気に沸いていたアイスランドなどは国自体の存立が困難になっている・・・・続きはこちら
第23回 K.A(事務局)
発達障害の子どもたち 杉山登志郎 講談社現代新書 2007
本書は、発達障害とその治療に関する誤解と偏見を知らしめ、正しい知識を紹介することを目的として書かれたものです。きちんと就労し、自分で買った自分の自動車で会社に通い、残業もこなし、税金をきちんと払っている・・・・続きはこちら
第22回 鈴木薫(図書館)
かなしみの場所 大島真寿美 角川書店 2004
雑貨を作りながら日々静かに暮らしている果歩。彼女を取り巻く人々と、穏やかな日常の中に起こるふとした出来事。それぞれの人生を愛しく感じる、静かで優しい物語です。「かなしみ」とありますが、読んだあと心がぽっと温かくなり、やさしい気持ちに。この著者の小説は、どれも装丁が素敵。そして読後感がとてもよいです。
からくりからくさ 梨木香歩 新潮社 2002
個性が光る四人の女性が、古民家で共同生活を始めます。染色・織物・植物を通じて彩られてゆく彼女たちの日常。そして、ある人形をきっかけに、祖先を思い歴史を感じ、築かれてゆく深い関係。とても中身の濃い作品です。ある種ミステリーのような感があり、系図が少し入り組んでいるので意識して読むことをお勧めします。大切にしたい日本語が随所に出てきて、和の伝統文化を大切にしたくなります。
News from paradise プライベートフォト&エッセイ よしもとばなな/パトリス・ジュリアン にじゅうに 2005
大好きな作家よしもとばななと、知る人ぞ知るライフスタイルプロデューサー、パトリス・ジュリアンの往復書簡です。この手の企画によくある、ただオシャレなだけのそれらとは違い、ゴミの話や性の話にまで触れている、とても内容あるの一冊。世の中のマナーが分かります。全く異なるスタイルのお二人の、真摯なまでのやり取りに熱い思いを感じるでしょう。
小さな生活 津田晴美 筑摩書房 1998
初版は約10年程前に出版されました。当時わたしは一人暮らしを始めたばかりで、小さな自分の城で居心地よく過ごす方法を、この本からたくさん教わりました。インテリアプランナーである著者のエッセイはどれも、人生の先輩からのアドバイスのようで、日々の暮らしを彩る参考書のような存在です。
ぼーっとしようよ養生法 田中美津 毎日新聞社 1997
裏表紙に『ご家庭の常備本』と、薬箱のイラストと一緒に書かれています。鍼灸師である著者が東洋医学を基本に、体質別、季節別の養生法を教えてくれます。内容も文体も難しくなく、楽な気持ちで読み進むことができます。心身一如、心と体はひとつです。現在不調を感じている人、特に問題がない人も、未来の自分のために一読されてみてはいかがでしょうか。
泥だらけのスローライフ-自分さがしの農の旅 WWOOF日本 実業之日本社 2003
『WWOOF(ウーフ)』という言葉を知っていますか。国内・海外の有機農場で、金銭を介さず「労働」と「食事・宿泊」を交換するシステムのことです。この本は、その WWOOFについての詳しい仕組み、体験談などが書かれており、農業に興味のある人、自然や人とふれあうことが好きな人にとっては、とても魅力的な制度として紹介されています。参加条件は特になく、1日だけでも労働可能とのこと。自然の中、人とふれあう中で得る物がたくさんありそうです。
第21回 堀田康雄(図書館長)
認知症とは何か 小澤勲 岩波書店 2005
前半は認知症には2つのタイプの原因があり、科学的対処の仕方、治療法が説明されている。後半は認知症を生きる人とその家族の問題、デイケア、病院職員の持つ問題を多くの例を挙げて、患者の心理を解説している。「ボケたら周囲に迷惑を掛けるが、本人は幸せ」が大変な間違いである事を知った。本学学生必読の書です。
東大教授の通信簿 石浦章一 平凡社 2005
学生による授業評価を中心に大学の行き先を眺めている。著者は分子生物学研究者であるが、否応無しの評価主義への動きを、教授法と大学運営の高度化にどう生かすかを考えている。読後、教員と学生が意見や情報の交換を気軽に実行し、大学の品格を高めて行けるようになると思える。
匂いのエロティシズム 鈴木隆 集英社 2002
著者は高砂USA勤務の調香師で、日本では、視覚・聴覚・味覚に比べ嗅覚は蔑ろにされ、消臭グッズの売れ行き上昇につれ、匂いの抑圧本能の抑圧が起こっていると指摘する。フェロモンの存在が証明され、体臭、食物・食事の香り、住居や衣服の匂いは気分に影響し、アロマセラピーが行われる。匂いの化学と生理学を知る入門書で、エロティシズムの入門書ではない。
なんのための日本語 加藤秀俊 中央公論新社 2004
国語の試験文は、目的が不明瞭、読みにくいものが多い。Voice of America は1400語で、国際情勢・科学・経済の発展を正確に伝えている。日本語は難しいと言って得意になっている国語の先生がいるが、良い日本語とは何であろうか。 言葉は知識のひけらかしではないし、「自然科学者に言語教育なんか出来はしない」と言うのはとんでもない思い違いだ、と指摘している。本学の方針にそった本である。
新・脳の探検 上・下 F.E.ブルーム 講談社 2004
人の感情・行動や学習・知性を考える流れは、脳神経系を理解する事無しには進まない。この理解は先端的科学に裏打ちされていなければ発展がない。脳研究の方法、症例、化学的検査、ウェブを使う学習、リズムなどを考えた総合的教科書である。
遺伝子と運命 ピーター・リトル 講談社 2004
人の細胞核のDNA量は酵母の1000倍以上と多いが、ユリやマメは人の10倍以上ある。人の遺伝子数は25000コ、酵母(6000)やハエ(16000) とあまり変らないのに、ヒトはとてつも無く複雑である。遺伝子の働きは一体どうなっているの?に答えてくれます。
第20回 山口英里子(図書館)
ミルク・イン・コーヒー エリック・ジェローム・ディッキー 角川書店 2002
ふつうの恋愛小説ですが、少しだけ痛みを抱えながら生きていた、白人の女性と黒人の男性がお互いの関係を築いていきます。白い肌の女性側からと黒い肌の男性側からの両方の立場から描かれていて、肌の色の違いに悩んだり、ふりまわされたりしてしまいます。ニューヨークの街で暮らす様子はちょっと厳しそうでもありますが生活に自由とぬくもりを感じられて、まったりとした気分も味わえておもしろかったです。
行かずに死ねるか! 石田ゆうすけ 実業之日本社 2003
世界一周の旅を7年半もかけて放浪してきた著者がそれぞれの土地にまつわるエピソードをまとめた本です。自転車で世界一周はとてもシンドそうですが、飛行機では点から点のように過ぎ去ってしまうところも自分の足でじっくり見てきたんだろうなと感じます。旅の途中で出会う素朴な人たちとの交流がいいなあと思いました。この本からは自然と人から何か得ているところにとても感動しました。
春にして君を離れ アガサ・クリスティー 早川書房 1981
アガサ・クリスティーの本は2冊しか読んだことがないのですが初めて読んだ時とても気に入り、この本もタイトルに惹かれてなんとなく読んでみました。中年の主婦が主人公の家族のことを中心に描いたストーリーです。60年くらい前の作品ですが、へんに古めかしさを感じない新鮮な文章でした。推理を解いていくように人の心模様を描いているので、結構のめり込んで読めると思います。
きれいな色とことば おーなり由子 新潮社 1998
挿絵の色使いがかわいらしく、きれいでパラパラめくっているだけで気持ちが和みます。日常のことなどを綴ったやさしくて透明感ある文章が魅力的です。
一瞬の夏 沢木耕太郎 新潮社 1981
再起を賭けてプロのボクサーを目指す、カシアス内藤という人物を追った沢木耕太郎のノン・フィクションです。沢木耕太郎自身もカシアス内藤をはじめコーチや周りの人たちと深く関わっていきます。カシアス内藤は技術的には優れた面を持っているボクサーなのですが、リングに立つと優しすぎるのか弱いのか決め手となる一発に躊躇してしまいます。読んでいくうちに「今度こそはがんばって」と思い気持ちが熱くなってしまいました。日常のなかでも思わぬところで足元をすくわれそうになったりするのですが、そんなカシアス内藤の姿はどこか「わかるなあ」と思えました。私自身にも重なる迷いや苛立ちや葛藤があるから共感できました。
嘘つきアーニャの真っ赤な真実 米原万里 角川書店 2001
1960年から1965年のチェコのプラハのロシア人学校で小・中学校生活を送った著者が現在の同級生に会いに行きます。その当時ソ連を中心に複雑な社会情勢の中で、さまざまな国からやってきた同級生たちはみんな、なんらかの影響を受けていたりするのですが、学校ではとても子供らしさが溢れていて微笑ましい光景が綴られてます。大人になり3人の同級生と再会して、それぞれがどんなふうに歩んできたかといった場面は力強く生きてがんばってる姿に励まされてしまうような内容でした。
第19回 青木・吉田(図書館)
小学生日記 hanae* プレビジョン 2003
1991年アメリカ生まれ、モデル・女優として活躍中のhanaeちゃん(ex.TSUTAYAのCMに出演)が小学生のときに書いた日記・作文集。小学生の書いた作文?と思って侮るなかれ。読売新聞社主催「全国小・中学校作文コンクール」文部科学大臣賞を受賞した文章力・観察力は大人以上です。今の小学生の感覚を知りたい人、小学校時代を懐かしみたい人、読んでみてください。
ダーリンは外国人 小栗佐多里 メディアファクトリー 2002
国際結婚をしたカップルの日常を描いたマンガエッセイ。とにかく笑えます!国際結婚だから面白い、のではなくて、夫のトニーさんがちょっと変わっていて面白いのです。感受性豊かで、日本語オタクなトニーさん。トニーさんにぜひ一度お会いしてみたいっ!と思ってしまうほどです。続編も出ています。笑いたい人には、お薦めです。
新選組血風録 司馬遼太郎 中央公論新社 1999
新撰組隊士15人のエピソードがそれぞれに描かれている短編集。近藤勇・土方歳三といった中心メンバー以外の隊士が主人公なので、新撰組の中の様子、新撰組の日常を垣間見たような感じです。「燃えよ剣」や、新撰組関連の本を読んだことのある人には特にお薦めです。大島渚監督、松田龍平主演の映画「御法度」の原作も入っています
蒼穹の昴 上・下 浅田次郎 講談社 1996
清王朝末期の動乱の時代を描いた壮大なる歴史小説。この作品はすごい!!の一言に尽きる。歴史?しかも中国??難しそう・・・と言わず、ぜひ一度読んでもらいたい。宦官、科挙、清朝の成立から繁栄、そして衰亡までが実に鋭く、リアルに描写されている。時代の流れに翻弄されながらいくつもの人生が交錯し、感情が絡み合う。登場人物は非常に多いが、ひとりひとりにドラマがあり、個性的な魅力ある人物ばかりであきさせない。特に西太后の解釈は斬新でユニーク。読了感はピカイチ。
白夜行 東野圭吾 集英社 1999
最近吉田がハマった作家東野圭吾。広末涼子主演映画「秘密」の原作者と言えば、ピンとくる人もいるだろう。‘白夜行'は数ある作品の中でも最高傑作と呼びたい。非常に面白い!!話は1973年大阪の質屋殺しから始まる。主人公は被害者の息子と容疑者の娘。やがて成長する2人。それぞれの周りで起こるさまざまな殺人や暴力・・・。経済成長とバブル崩壊そして社会問題、世相を巧みに描いた圧倒的なスケールと、張り巡らされた伏線で物語に惹きこまれていく。
京都・観光文化検定試験公式テキストブック 京都商工会議所 淡交社 2004
皆さん、こんな試験があるって知っていますか?商工会議所主催のこの試験、京都の歴史、名所旧跡、生活、芸術などから幅広く出題し、‘京都通'を認定するそうだ。今年12月に第1回がおこなわれるということで、我こそは、と観光タクシーの運転手さんや土産物屋さんなど多くの人が名乗りをあげている。この本はその試験対策問題集。京都人でもムズカシイとか。このための講習会やツアーなども行われ、地元京都への関心や経済効果は予想以上だそうである。地域密着、面白い企画である。
第18回 堀田康雄(図書館長)
アメリカの大学院で成功する方法 吉原真里 中公新書 2004
アメリカの大学院には世界中から学生が集まる。それは基礎研究に力を入れ、実用に直結しない学問にも金銭的・人的・組織的財産を投入しているから。実用に結びつく研究が大企業と大学院の間で共同進行する反面、実用的技術や製品に直結しない基礎研究、知的探求に力を注ぎ、基礎教育を徹底して行っていることを忘れてはならない。将来大学院進学、就職した後、独自性ある自分の仕事を作り発展させるために徹底した基礎教育がある。医療福祉系では、日本と違って学士ではなく大学院修士が出発点である。グローバル化に向かっての心がけをアメリカの大学院生活、論文作成を紹介しながら教えてくれる。
崩壊の予兆 上下 LaurieGarrett 河出書房 2003
AIDS (HIV)、SARS、肺ペスト、最近話題の鳥肺炎の他、コレラ、天然痘、炭ソ症、エボラなどの感染症は対処の仕方によっては世界を崩壊させてしまう。その中でもウイルスの変異は著しく、新種が生まれ、ヒトと動物との間に相互感染が起これば世界の崩壊につながる。細菌も取り扱いを誤れば薬剤耐性菌が次々と生まれ、病院では院内感染がうまれる。疾病多発=流行は産業界の生産性を下げ、社会の恐怖心を起こす。抗体の生産と病原の絶滅という基礎科学、社会学の重要性が、ロシア、中国、アフリカの実例を解説しながら、強く示されている。医療福祉の意義を痛感させてくれる。
新 脳の探検 上下 フロイド・E・ブルーム 講談社 2004
脳・神経系の研究は生命科学の中心であり一般書も多い。しかしこれは研究の広さと深さを解り易く解説したベストの本で、本学の学生(職員も)は読むべきである。脳・神経系の発生、筋肉・骨格などと神経支配の分子生物学・形態生理学は勿論、食事と摂食、生殖行動、学習と記憶、思考と意識などの日常の関心事まで扱っている。我国にはなかった良書です。
立ち上がれ日本人 富田寛 講談社 2003
経済大国、ジャパン イズ ナンバーワン の時代ははるか遠くなったのを知っているかな? 日本はいつまでアメリカの言いなりになっているのか?よき心と習慣を捨ててしまうのか?若者は何をめざせばいいのか?これらにマレーシアの鉄人宰相が激をとばしている。今の日本が世界でどう見られているかが書かれている。特に、第2章「教育こそは国の柱」を注目して欲しい。
味覚障害とダイエット 「知られざる国民病」の処方箋 前島誠 三笠書房 2002
飽食の時代に味覚障害が増え、特に、若者に年々増加している。味覚障害の治療は現在耳鼻咽喉科で行われているが、多くの原因が栄養バランス不良、特にミネラル摂取の不足が言われている。味覚障害は老化にもかかわらず、高齢者に目立って増え、今や国民病のように考えられている。その原因と、このままで行き着く先のQOLを考えましょう。この本を読んで。
山中静夫氏の尊厳死 試みの堕落論 南木佳士 文藝春秋 2002
肺癌患者の入院から死までを看取る、妻と高校生、中学生の男の子を家族に持つ、勤務医の話。肺癌治療はこの本が書かれた当時より多くの分野で進歩し、基礎研究を基礎とした診断法も大きく進んだ。医療福祉分野での進歩に遅れてはならないという決意が湧く一方、ヒトは必ず死ぬし、願ったようには死ねないということを痛感する。美談とスキャンダルの裏の医療に生きる我々の心を再認識できるかもしれない『試みの堕落論』は戦後の日本社会に影響を与えた坂口安吾『堕落論』への憧憬であり、一時期を国際医療団のなかで暮らす医師の生活を描いている。
第17回 青木一美(図書館)
ねぼけ人生 水木しげる 筑摩書房 1998
漫画「ゲゲゲの鬼太郎」の作者、水木しげるの少年時代から鬼太郎がブレイクするまでを書いた自伝です。妖怪づくしの少年時代に、片腕を無くしてしまった戦場での体験、貧乏紙芝居作家時代・・。波乱万丈な人生が、彼独特の語り口で書かれていて、面白いです。そして読むたびに、彼のようにマイペースにのんびりと生きていきたいと思ってしまいます。他にも彼の自伝はたくさんあるので、そちらもお薦めです。
キャベツくん 長新太 文研出版 1980
キャベツ頭のキャベツくんと、ブタヤマさんという名前のぶたが登場するナンセンスな絵本です。絵も色使いも独特で、ストーリーの展開も全く読めません。読み終わったあと、みんな必ずや「ブキャッ!」と一度は言ってみたくなるでしょう。子どもたちに人気の絵本なので、もし子どもに絵本を読み聞かせる機会があったら、ぜひ、読んでみてください。大ウケ間違いなしです。もちろん、大人が読んでもその奇想天外さに度肝を抜かれる面白さがあります。
海馬/脳は疲れない 池谷裕二・糸井重里 朝日出版社 2002
東京大学薬学部の池谷先生と糸井重里の、脳についての対談を本にまとめたものです。文系の人でも簡単に読めるようにわかりやすく書いてあるので、さらりと読めると思います。タイトルにあるように、脳はずっと使いっぱなしでも疲れない、というのには驚きました。今まで「頭を使いすぎたから休憩しよう」と言って休んでいたのは、あまり意味がなかったんですね・・。
キッチン 吉本ばなな 新潮文庫 2002
吉本ばななはどれもお薦めなのですが、私はこれが一番好きです。キッチン、満月-キッチン2、ムーンライトシャドウ、の三作品が入っています。あの、文章全体に流れている独特な感じも良いのですが、作品中の食べ物の表現も素晴らしいと思います。サラダのキュウリのぽりぽり感、カツ丼のおいしそうな匂い・・。読んだあと、食べたくなります。
Childlens アクションパンチ(編集) リトルモア 2003
2歳から6歳の子どもたちが、インスタントカメラを使って自由に撮った写真を集めた写真集です。ぬいぐるみの写真、妹の写真などなど、子どもたちのそのときの気分や気持ちが伝わってきて、思わず微笑んでしまいます。子どもの目線、感じ方って、やっぱりすごいな!と思います。
竜馬がゆく 司馬遼太郎 文芸春秋 1998年(新装版)
読んだことがある方も多いと思いますが、私は昨年初めて読み、「高校生のときに読みたかった・・」と思いました。そしたら、もう少し日本史に興味をもてたかも、と。司馬遼太郎のフィクションも入っていますが、坂本竜馬がかっこ良すぎます。そして、なんで幕末はあんなにすごい人たちばかりが揃ったのでしょうか。竜馬のような大きいことはできませんが、読むと何だかやる気を奮い立たせられます。
第16回 堀田康雄(図書館長)
元気が出る患者学 柳田邦男 新潮新書 2003
医療従事者が患者とどのように対面するか?患者に対する提言、医師に対する提言、医師以外の医療従事者への提言が述べられている。医療従事者と患者の心のつながりが重要であることを述べた上で、それを生み出す方法、考え方を例を挙げて平易に解説している。病気の啓蒙書、患者会のリスト、QOL、ホスピスについての考え方も示されているので、一度は目を通しておきたい書です。
カラダで感じる源氏物語 大塚ひかり ちくま文庫 2002
源氏物語は宮廷文学でもあり、色欲文学とも言われるが、紫式部の観察力と率直さが出ていると感じられる。人が生きてゆく方法はたくさんあり、お金を求める人、権力に憧れる人、無気力に生きる人などそれぞれの生き方があるが、自分そのままに生きるのが大切だ。紫式部が時代を素直に書き、著者が大胆な解釈を書いている。こんな生き方をしたら、他人からはいろいろな陰口を言われそうだが、そんなことにはかまけず自分の特徴を出せば、鬱病にはならない。そんな気持ちで読み始めることを薦める。
赤ちゃんと脳科学 小西行郎 集英社 2003
小児科医であり発達行動学者が、胎児の脳の特色や乳幼児の小児の行動と脳の発達、障害児の扱いと育児について解説し、幼児教育や早期教育、障害児への学習は間違っていることを主張している。学習という好ましいはずの刺激がマイナスの要素をもっていることは受け入れられがたいが、注意欠陥や多動性障害の専門研究者は従来の発達論に対して疑問を出している。QOLヘルパーにはぜひ読んでもらいたい本である。
不実な美女か貞淑な醜女か 米原真里 新潮文庫 1998
通訳には逐語訳型と意訳型があって、著者は後者の代表であるそうだ。国ごとの文化の違いから起こる通訳の失敗談、珍談が満載だが、外国語を学ぶ時、単語や言葉だけを暗記するのでなく、その言葉が相手の文化圏ではどう理解されるかを学んでおく必要がある。自分の専門だけに集中していてはダメで、教養や基礎の重要さを感じさせる。語学に興味を持つ学生は勿論、地球人を志す人に読んで欲しい。
ユダヤ人-最高の知恵 前島誠 三笠書房 1994
私の嫌いな言葉に「頑張る・頑張れ」がある。国語辞典には①忍耐して、努力しとおす ②譲らず強く主張する。ユダヤ人は頑張らずに、辛いことも笑い飛ばしてきた。笑いを作るために頭を使い、人のことだけでなく自分をも笑いの材料にしてきた。風刺にとんだ笑いで生き抜いてきた。世界中でユダヤ人ほどノーベル受賞者を、大金持ちを、俳優を出している民族はいない。特にアメリカの大学の先生にはユダヤ人が多い。辛いことにあい、落ち込みそうになるときに、あるいはそうなる前に読むと役立つと思う。掲載されているジョークはおもしろい。ジョークを作って楽しみませんか?
ユダヤ・ジョークの叡智 加瀬英明 光文社 2003
この本も上記の『ユダヤ人-最高の知恵』とともに読んでもらいたいお薦めの一冊だそうです。ユダヤ人はなぜ成功するのか?それはどんなときも「笑い」を大切にしてきたから・・・。 こんな時代だからこそ、いつも「笑い」を忘れないで欲しい。そんな堀田先生の願いが伝わってきそうな本です。あなたも時には「頑張ら」ないで、堀田先生のようにいつもニコニコ、人生を楽しんでみませんか? (図書館 本間)
第15回 廣瀬清人(SW教員)
百年の孤独 ガルシア・マルケス 新潮社 1999
焼酎の名前にもなっている『百年の孤独』ですが、それはここから取った名前です。読書の習慣のない人には難しいかもしれませんが、読む前と読んだあとでは、世界の見え方を一変させてしまう書籍です。安部公房さんも生前言っていましたが、20世紀最大の小説です。とにかく桁外れの傑作です。
写真家 マン・レイ マン・レイ みすず書房 1983
わいせつ書籍ということで、当時大変な話題を呼びました。本体もいいのですが、この困難な出版にあたり、みすず書房の社長がブックレットを添付しました。こちらがすばらしい。元気のないときに、勇気をくれる内容です。
葉っぱのフレディ レオ・バスカーリア 童話社 1989
絵本ですから、20分もあれば読めます。しかしながら、その内容には重量感があり、生きることを深く考えさせてくれます。涙腺の弱い人は泣けてしまうかも。
生きること考えること 田中美知太郎 彌生書房 1995
これほど立派に生きた日本人がいたことは、誇りであると思います。平易な文章で書かれていますので、生きていくことを真剣に考えたいと思っている方にはぜひおすすめします。ちなみに、田中先生は(故人ですが)、新潟県上越市(高田)のご出身です。
オプティミストはなぜ成功するか M.E.P.セリグマン 講談社文庫 1994年
一冊ぐらいは心理学の書籍をすすめなくてはいけませんね。自分をダメ人間だと思って悩んでいる方に、読んでいただきたい書籍です。今のあなたに何かのヒントをあたえてくれるでしょう。
第14回 星名孝修(図書館)
松下竜一 その仕事〈13〉五分の虫、一寸の魂 松下竜一 河出書房新社 1999
松下竜一といえば『豆腐屋の四季』が有名ですが、<ランソのヘイ>がキーワードのこの作品は豊前環境権裁判をユーモラスに描いたものです。タイトルが素敵でしょ。しかし中身はめちゃくちゃ笑えます。
東京からきたナグネ―韓国的80年代誌 関川夏央 ちくま文庫 1988
‘ナグネ'とは旅人の意。現在では新聞やテレビでもおなじみの新潟県出身の関川氏の作品です。韓国文化に関心のある人には特にお薦めです。
青が散る 宮本輝 文春文庫 1985
好きな作家は?と聞かれると、彼の名前をあげます。 これは大阪の新設大学の1年生を主人公とした青春小説です。個性的で味のある登場人物が他にも沢山でてきます。会話のテンポも良く、地の部分の描写もウマイ。学生であるこの時期に読むと、より多く共感できるかも。本学と重なりある部分を感じるかもしれません。
赤頭巾ちゃん気をつけて 改版 庄司薫 中公文庫 2002
昭和44年、第61回芥川賞受賞作。解説を読むと、機知とユーモアに溢れた通俗小説となっています。しかし最近読み返してみると、昔ほどの感動がなく、ユーモアがクドク感じられました。皆さんはどう感じますでしょうか?現代でも改版が出るほどの本ですが、30年くらい新作を全く書いていない作家です(多分・・)。現代版赤頭巾ちゃんを期待しているのですが・・。
Fine days 本多孝好 祥伝社 2003
『僕は今の君が大好きだよ。たとえ、君自身が、やがて今の君を必要としなくなっても…(帯の宣伝文句)』一番最近読んだ本です。スマートで清涼感のある文章です。
空と風と星と詩 尹東柱全詩集 尹東柱 ;尹一柱 (訳:伊吹郷) 記録社 (影書房) 1984
茨木のり子さんの『ハングルへの旅』でこの本を知りました。思想犯として逮捕され、1945年に27歳の若さで夭逝した天才抒情詩人の遺稿詩集です。私は伊吹郷さんの訳が好きですが、本学には 尹東柱の関係図書が3冊あります。読み比べてみても楽しいでしょう。
第13回 鈴木良市(事務局)
哀愁の町に霧が降るのだ(上・下) 椎名誠 新潮社 1991
就職活動をしているときに読みました。著者椎名誠さんの若いときの仲間との共同生活から、アルバイトを経て就職するまでが書かれています。昼でも陽のささない、汚い六畳の部屋での四人の男たちが共同生活をするさまは、バカバカしく、けれど切なく感じられます。自分も頑張ろうと思わせる一冊ですね。
別人「群ようこ」のできるまで 群 ようこ 文藝春秋 1988
これも就職活動をしているときに読んで、特に印象に残っている本です。著者群ようこさんの就職活動の様子や広告代理店に入社し、転職を重ねていく様子がおもしろく書かれています。就職活動で壁にぶつかったとき、とても励まされました。気楽に読める本です。
坊っちゃん 夏目漱石 新潮社 1950
夏目漱石というと、明治の文学で古くておもしろくないという先入観があるかもしれませんが、『坊っちゃん』はそんなことはありません。物理学校を卒業後に、四国の中学に数学教師として赴任した坊っちゃんの直情径行の行動は、とても正直で、読んでいると気分がスカッとします。気分転換には最高の一冊です。
吉田松陰(1・2) 山岡荘八 講談社 1987
大学生のときに読みました。吉田松陰は幕末の人で、浦賀に到着したペリーの船に乗り込んで捕らえられてしまいます。しかし、その情熱は非常に熱く、鎖国の世の中において、海外への視点を持っていました。読んでいると、とても心が熱くなります。読んだ後に、松陰ゆかりの地、下田へ旅行に行ってしまったほどです。
第12回 本間恵理子(図書館)
プリズンホテル 浅田次郎 集英社 2001
人気極道小説家、木戸孝之介の叔父仲蔵が温泉リゾートホテルのオーナーになった。人はそれを「プリズンホテル」と呼ぶ・・・。「プリズン=監獄」 そのホテルはなんと任侠団体専用だった。いわくありげな従業員と、この宿に集う、こちらも一癖も二癖もある人々が繰り広げるドタバタ劇。笑いあり、涙ありのまさに大エンターテイメント!!気楽に楽しんでそして泣いて下さい。ちなみにワタクシは「秋」が1番お気に入り。もひとつおまけに・・・、そうそうたる顔ぶれの「解説」がまたスゴイ!!
日輪の遺産 浅田次郎 講談社 1997
浅田次郎大好きなので、もう1冊・・・。この『日輪の遺産』はいわゆる歴史物。第二次世界大戦中、帝国陸軍がマッカーサーから奪った時価二百兆円の財宝を隠した。あれから50年。倒産寸前の不動産業者、丹羽はひょんなことから1人の老人と知り合う。急逝したその老人の手帳には財宝に関する驚くべき内容が・・・。ここから財宝の謎解きが始まる!!これは真実なのか、フィクションなのか、最後の最後までハラハラドキドキが止まりません。それでいてやるせなさが胸を打つ、感動超大作ですっ!!
四角な船 井上靖 新潮社 1997
現代版『ノアの箱舟』。主人公の新聞記者はある時、「大洪水で人類が滅びると信じ、箱舟を造る狂人がいる」という妙な噂を耳にする。その男の名前は甍。早速取材を始めるが…。次第に彼は、実は甍が最もまともな人間であり、我々自身が狂人であると気付く…。それは一体?まさに今の社会への警鐘であり、痛烈な批判です。本当に大切なものとは何か、世界中が忘れてしまった純粋な心に気づかせてくれます。40年位前に書かれたものですが、今を生きる皆さんだからこそ、読んでもらいたい。
河童が覗いたヨーロッパ、インド、ニッポン 妹尾河童 講談社 2001
「覗いたシリーズ」(本間命名)は他にもいろいろあるのですが、ワタクシ的には「旅シリーズ」(これも本間が勝手に命名)が好きです。妹尾河童が世界各地を旅し、そこで見たもの、出会った人々を独自の視点で、イラストと共に事細か~に紹介しています。このイラストがまた面白い。スゴ~イの一言です!! フツーのガイドブックには載っていない「ちょっと変わった旅の見所」満載です!!我が国日本の見方もきっと変わるはず!!まさに「目からうろこ」。 これを読めば、あなたも旅に出たくなるかも・・・?
晴れた日には鏡をわすれて 五木寛之 角川書店 1992
うらぶれた隠岐の民宿で働くアカネは、自分の醜い容貌に絶望しながら生きていた。そんな彼女の前に1人の美しい男が現れる。その男の正体は天才外科医。アカネは彼の手によって絶世の美女へと生まれ変わる。過去も捨て、名前も捨て、美しくなった彼女は別人として人生をやり直す。男、金、権力、すべてを手に入れ、幸せになったはずだった・・・。しかし彼女が最後に願ったものは?五木寛之ワールドにどっぷりはまっちゃう1冊です。
悪女について 有吉佐和子 新潮社 1978
女実業家、富小路公子が謎の死を遂げた。彼女に関わった27人のインタビューという異色の形式で展開する。友人知人、元彼、元亭主、そして息子。彼らから語られる公子は本当に同一人物なのか?何が真実で、何が虚構なのか?「女って怖いなぁ~」と思わず我が身を振り返させる(?)話です。複雑に錯綜する人間関係、存分に楽しんでください。女性はもちろん、男性の皆さん、ぜひ読んでみてください。あなたの彼女もひょっとして…?有吉作品の中でもピカイチに面白いです!!
第11回 高木昭輝(PT教員)
チャップリン自伝 チャップリン 新潮社 1991
精神を病んだ母と生活し、幼い頃から、貧しい生活のなかで生きて行くことの厳しさを体験た上で、ユーモアとペーソスを描ききった凄い人間を知って欲しいからです。1920年代末頃から主演し、作曲をし、監督をしていた。良きQOLサポーターになるには必読の書の一つと思われます。
『マリー・キュリー』(全2巻) スーザン・クイン みすず書房 1999
寒さと飢えに悩みながら、大学時代を勉学に励み、物理・化学だけではなく、女性として、妻として、親として、人間として努力した努力を知って欲しいからです。 良きQOLサポーターになるには必読の書の一つと思われます。
ヘレン・ケラー自伝 ヘレン・ケラー ぶどう社 1994
1歳9カ月目に、原因不明の高熱と腹痛におそわれ、一時は医師も見放すほどの重体に陥ったが、医師の努力で辛うじて一命だけはとりとめたものの、耳と目をおかされ、光と音の世界から完全に隔離されてしまった。その後、22歳のサリバン先生と出会い、先生は70歳で亡くなったが、その間、ハーバード大学を卒業し、世界の平和にも強く感心を持っていた人間がいたことを知って欲しいからです。 良きQOLサポーターになるには必読の書の一つと思われます。
あなたは私の手になれますか-心地よいケアを受けるたに- 小山内美智子 中央法規 1997
著者は、脳性まひのため重度の機能障害がある女性です。両手を使うことができないので、自分で自分のお尻を、自分が納得するように拭くことができません。介護をする人で、著者のお尻を気持ちよく拭くことができたり上手にコミュニケーションをとることができる人は大変少ないし、多くの場合、介護を受ける側が我慢しなくてはいけない現状で、その上率直にいろいろと注文をつけています。幾つか恋愛をし、失恋もし、母親にもなり、現在は自分の息子と二人で生活しています。そして「自立する」という心意気がいつも気持ちの中心にあります。良きQOLサポーターを掲げる当大学の学生さん、是非、読んでみてください。
第10回 相場恵美子(ST教員)
宇宙の風に聴く 佐治晴夫 カタツムリ社 1994
「夜はなぜあるの?」と私たちが子供と交わすなにげない会話の中に「宇宙の始まりがあった」ということが隠されている。 もともと音楽家志望だった宇宙物理学者が、とてもわかりやすく宇宙と人間の本質に迫る。
人間の土地 改版 サン=テグジュペリ 新潮文庫 1998
飛行機の黎明期、命をかけて手紙を運ぶ男たちがいた・・・。 砂漠や雪山で遭難した時にも、その自然の美しさに感嘆する強さが、すごい。死に直面した時にも決して生を諦めないのは、彼が、友達や妻などの周囲の人々を、ひいてはこの世界に住んでいる全ての人々を限りなく愛しているからだ。堀口大學の訳も秀逸。美しい、詩のような文章。
帰りたい風景-気まぐれ美術館- 州之内徹 新潮文庫
いつ何が起こるとも知れず、薄氷をふむ思いで生きているような、 この人生。だが実のところ、生にたいする幻滅なしには、本物の芸術への希求もまた、ない。心にじかに響く、血のかよった風景の匂いと懐しさ。見ることの喜びに恵まれたがゆえに、描かねばならぬという宿業を背負った画家たち…。彼らとの出逢い、その作品との出逢いのなかに、人生の苦悩と至福とを見つめる美術随想33話.。
とっときのとっかえっこ ウィットマン 童話館出版 1995
バーソロミューは、ネリーの隣に住むおじいさん。ネリーが赤ちゃんだった頃、毎日カートに乗せて散歩に連れていき、必要な時だけそっと手を貸してくれた。いつも一緒だった2人…。やがてネリーは小学生になり、バーソロミューはもっと年をとった。ある日、バーソロミューは階段で転び入院する。車いすにのって退院した彼を今度はネリーが散歩に連れ出すようになる。子どの成長と老人の老いという時の流れが、季節の移りかわりのように自然に描かれた、心あたたまる絵本。
精霊の守り人・闇の守り人・夢の守り人・虚空の旅人 上橋菜穂子 偕成社
いつの世も、どんな世界でも人を想う心は生まれ、そしてめぐる。人の世界と精霊の世界の交錯を巧みに、大スケールで描いた、甘く切ない冒険ファンタジー「守り人」3部作とその外伝。 『精霊の守り人』あちらの世界「ナユグ」からこちらの世界「サグ」を見守る精霊は100年に一度「サグ」の人に宿るという。 『闇の守り人』女用心棒のバルサ。幼くして亡くした父の代わりに、面倒を見てくれた親友ジグロ。バルサは彼にきせられた謂れの無い汚名を晴らそうとする。 ほか2冊
第9回 山手茂(社会福祉学部長)
医療福祉学がわかる アエラ・ムック編集部編 朝日新聞社 2001
保健医療と社会福祉がいま手をつなごうとしている。両者を結ぶ医療福祉学という新たな学際的領域に挑戦すべく、その学びの焦点、医療福祉の現場、各国の医療福祉を具体的に紹介する。
脳を鍛える 立花隆 新潮社 2000
脳研究に基く英語学習法、砂糖粒から考える生命の誕生…。最先端科学から文学、哲学、思考の技術までを縦横無尽に語り尽くす前代未聞の授業が開講! 東京大学での講義を基にした21世紀の「学問のすすめ」。
人はどうして疲れるのか 渡辺俊男 ちくま新書 2000
「疲労するのはよくないことだ」と思っていませんか?その考え方は間違いです。生きているものは必ず疲れます。疲労することによって自らの休息の必要を知り、休息の結果、体力・気力が回復して、次なる活動が可能になるのです。半世紀以上を生理学の研究に捧げてきた著者が、人間が疲労する生化学的システム、回復方法などをわかりやすく説きながら、疲労というもの、さらには人間の労働や生命までを語る平明な一冊。
人間の事実 Ⅰ・Ⅱ 柳田邦男 文春文庫 2001
この事実の重み、日本人はどこから来て、どこへ行くのか?日本が、そして日本人が今、変わりゆく―この激動の四半世紀に、ノンフィクションは何を書いてきたのか、その表現法はなぜ必要とされ、どんな可能性をもっているのか。一万冊を読破した著者がそこに見た、同時代日本人の自画像。
患者革命 中島みち 岩波アクティブ文庫 2001
いま日本の医療は,私たちの考え方次第で,患者の立場を革命的に変えることができるかどうかの正念場に立っている.自らの乳がん体験,誤診による家族の死,そして取材者として接した多くの死を通して,30年間にわたって医療のあり方について発言を続けてきた著者が,患者にとって役立つ具体的な情報を平明に語りかける。
第8回 豊田保(SW教員)
俺たちの少年期 西野勝久ほか 京都法政出版 1995
少年に深い愛情と情熱をこめて支援する大人たち。それに応える少年たちとの心の交流を描いた本。教護院OB生自身が綴り、世の人に「俺たちの生きざま」を問う。児童福祉施設の職員はじめ、福祉を志す若者、子育てや教育に悩む親や教師に、少年への理解について多くの示唆を与えてくれる。
巣立ちへの伴走 武藤啓司 社会評論社 2001
いま、新しい扉をひらく子どもたち。さまざまな個性をもつ子どもたちと向き合い、未知の世界に挑む、フリースクールの現在を描く。
種まく子供たち 佐藤律子 ポプラ社 2001
「いまは、ガンになった自分が好きです。」いのちの重さとむかいあい、心に種をまいた、七人の記録。
子どもの虐待防止 児童虐待防止制度研究会 朱鷺書房 2001
これまで虐待問題の援助にかかわってきた、弁護士、医師、保健婦、児童相談所職員、施設職員、そして大学教員たちが、それぞれの体験をふまえ、いま一度、虐待防止にむけて取り組むべきなのか、防止のための課題は何か、を問う。
コルチャック先生と子どもたち 新保庄三 萌文社 1996
子どもの権利条約をなぜポーランドが国連に提案したのか? そのきっかけを作った、医者、哲学者、文学者、教育者であったヤヌシュ・コルチャック博士の哲学と教育の思想を中・高校生にもわかるように解説。
死に場所づくり 斎藤芳雄 教育史料出版会 1992
「あなたはどんな老い方・死に方をしたいですか?」地域住民の“生"と“死"を支える「徹底した予防活動」「良心的医療」「充実した福祉」の一体システム。新潟・大和医療福祉センターの20年の実践と、老人たちとのふれあいを通して綴る21世紀の老い方・死に方論。
第7回 伊東正裕(SW教員)
<子どもの虐待>を考える 玉井邦夫 講談社現代新書 2001
児童虐待について臨床心理学の立場から平易にまとめられた書。特に虐待をしてしまう親の心理について考察し、どのように援助したらよいかを解説している点が出色。
心の傷を癒すということ 安克昌 角川文庫 2001
阪神・淡路大震災の際に精神的ケアのネットワークの中心として活動した精神科医の記録。心的外傷と癒しの問題について深く考えさせられる。
地獄の季節―「酒鬼薔薇聖斗」がいた場所 高山文彦 新潮文庫 2001
神戸の連続児童殺傷事件についての丹念な取材を元に、時代や社会的な背景を探っていく。単に「異常な」少年による、「特殊な」犯罪としては片付けられないことがわかる。
同じ年に生まれて―音楽・文学が僕らをつくった 大江健三郎・小澤 征爾 中央公論新社 2001
同じ年(1935年)に生れた二人の世界的芸術家による対談集。「開かれた個」の重要性、芸術が人間を支える、など若者が21世紀を生きていく上で参考になる発言が多い。
がんばらない 鎌田實 集英社 2000
著者は、「住民とともにつくる医療」を実践してきた、長野県の諏訪中央病院の院長。病院でのエピソードを通して、地域医療や終末期医療にかかわる医療者の姿を生き生きと描いている。医療・福祉に真摯にかかわろうとする者に参考になる。
第6回 岡村太郎(OT教員)
青い鳥のゆくえ 五木寛之 角川文庫 1999
慈悲という言葉があります。慈しむという言葉には、父親のように励ましたり元気つけたりするという意味があるそうです。悲しむという言葉には、母親のようにともに悲しむこと、感情移入のようなものが意味されるそうです。人と接するときちょっと役に立つかもしれません。3時間で読めますよ。
ブッタとシッタカブッタ 小泉吉宏 Media factory 1993
朝日新聞の記事に「癒しのマンガ静かなブーム」と3年前に紹介されてました。4コマ漫画なのですが「精神科で売れた漫画なんて初めて」とのことです。記事の中でA子さんは「死んでしまったら楽だな」と考えていたそうです。「もちろん通院では治療が1番だったけれども、この文読んだことで余計に肩の力が抜ける部分がある」。そのだろうなぁと思える1冊です。この漫画は私もよく読み返しています。面白いよ。
人生の贈り物 あなたの探し物は何ですか? スペンサー・ジョンソン 扶桑社 2001
この本はちょっと理屈が見え隠れするのですが、読みやすい物語りです。30分もすれば読めます。まあ気休めに読んでください。
百万回生きた猫 佐野洋子 講談社 1997
いい本です。絵本です。読んでいて「なんだかなぁ」と思うのですが「なんだろうなぁ」と感じる本です。若いときに見たときと、中年になった今読むのとでは「なんだろうなぁ」がずいぶん違う本だと思います。10分もかからないで読める本ですのでちょっとながめてください。いいことが起こるかもしれません!?よ。
リトル・ターン ニューマン・ブルック 集英社 2001
飛べなくなった小鳥の話です。どうして飛べなくなったか?どうして飛べるようになったか?心に障害をもたれた方も、できなくなったり、できるようになったり不思議なことがよく起ります。どうしてなんだろうか,と思うときちょっとパラパラ読んでみてください。「あーそうか」と感じるところがあるかもしれませんね。40分以内に読めますよ。
第5回 堀田康雄(図書館長)
愛と性の美学 松本侑子 角川文庫 1998
基礎ゼミⅠで新潟大学(医)からの講師の話をより詳しくしてあり、勉強になる。値段も\495と安い。性と性行動・性心理に興味を持ち、更に人体、人の心理の多様性を理解して欲しい。
ウーマン・オブ・トゥモロウ―女の旅立ち、2001 キートン・キャシー 旺文社 1986
菅原 真理子【訳】。アメリカ社会、人と人との関係を調査データの比較から科学的に分析している。科学を中心に発展してきたアメリカ社会と霊を信じてきた日本社会の対比をして、21世紀の家族・男女社会の関係を見つめ、予測すると面白い。薬はなぜ効かなくなるか―病原菌は進化する 橋本一 中公新書 2000
病原菌の進化、耐性菌の出現、薬剤耐性の仕組み、効かない菌への対応策等、生命科学の基礎進化と、適応の問題を扱っている。医療現場や日常生活の環境について考える原点となる。
ユーモア革命 阿刀田高 文春新書 2001
人にはいろいろな生き方があり、善悪の問題ではない面が多い。明るく楽しく生きることを望み、それを実行しようとする人には役立つ。
生命の知恵・ビジネスの知恵 西川賢一 丸善ライブラリー 2000
前半:生命の情報について、時間・進化・淘汰・環境、脳の構造が読み易く面白い。後半:文化人類学の立場から将来を見る部分にも興味を持つ人があると思います。対談「バイオ・パラグラムと新しいビジネス・デザイン」も新しい考えを生み出す出発点となるかもしれません。
第4回 能登真一(OT教員)
ノルウェイの森(上・下) 村上春樹 講談社文庫 1987
これは著者が言うようにまるっきり恋愛小説なのですが、その流れの中に息づいているのは紛れもなくリハビリテーションの心そのものです。他人の心を理解するのはこんなにも難しく、そして切ないものかと感じずにはいられません。読書が好きになったのは、まさにこの本のおかげです。自信を持ってお勧めする珠玉の一冊です。
病院で死ぬということ 山崎章郎 文春文庫 1990
この本は著者である医師が末期のがん患者を対象にホスピス病棟を開設し、ターミナルケアを実践した様子が書かれています。これはすべて実話です。人生、そして生きるとはどういうことか、家族とは、そして我々にできることとできないことの違いについて静かに教えてくれます。聞こえるのは、涙が滴る音だけかもしれません。
モラトリアム人間の時代 小此木啓吾 中央公論新社 1981
この本が出版されて20年も経ちますが、今もって新鮮な、自分の進路を決めたくないか決められない人たちの話です。フリーターと呼ばれる人たちも当てはまるかもしれませんし、大学に入ってもその進路に悩む人たちのことであるかもしれません。私もその一人でした。モラトリアムは決して無駄な時間ではないということを保障いたします。
おおきな木 シェル・シルヴァスタイン 篠崎書林 1976
これは絵本です。読むのに5分とかからない本ですが、考えるのには5年いやそれ以上を要するかもしれません。人間の欲と自然のやさしさ、高度文明社会の課題がここにも見つけられます。読書で疲れた目を休めるためにもお勧めします。
未知との遭遇-癒しとしての面接 奥川幸子 三輪書店 1997
奥川先生はソーシャルワーカーで、この本は先生の実践に基づいて書かれています。対象者やその家族との出会いを通じて、自分自身を見つめ直すことの意味をこの本は教えてくれます。面接の技法や注意点が書かれてありますが、その前に必要な人と関わる仕事の魅力を学ぶことができる本です。
第3回 伊藤冨士江(SW教員)
あなたに今できること―犬養道子、若き女性に語る 犬養道子 中央公論社 2001
新刊の本書の帯には「人間の問題を見つめつづける著者が新世紀を担う若者におくるメッセージ」とある。犬養氏が3年前に社会福祉専攻の大学生を前に、「人を援助するとはどういうことか、なぜか」を真摯に問い、心を開いて語りあった講義の記録である。『犬養道子、若き女性に語る』の副題がついているが、広く現代の若者、とくにQOLサポーターをめざす本学の学生たちにぜひ読んでほしいと思う。
人間の大地 犬養道子 中央公論社 1983
当時の難民と飢餓の実情を、著者の観察と資料分析にもとづいて克明に描き出した本。20年ほど前に、私は犬養氏の迫力ある筆致に引きずり込まれるようにして本書を読み、世界的視野から「南北問題」について真剣に勉強しようと思った。
お嬢さん放浪記 犬養道子 岩波書店 1998
犬養氏の文壇デビュー作。昭和23年に初めてアメリカに渡った著者の留学体験記が生き生きと描かれている。アメリカ留学を志す人にとっては必読の書といえる。
私のヨ-ロッパ 犬養道子 岩波書店 1998
スイス国ユラの小村で過ごした25年をもとにつづられている。ヨーロッパの自然を愛し、人を愛し、歴史を愛した犬養氏。「国境線を越える」という著者の希求を読み解くことができる。
幸福のリアリズム 犬養道子 中央公論社 1980
「幸福とは何か」「心を開くとは」「成功とは何を意味するか」「希望とは」など、若い頃いだく疑問に、力強く明快に、普遍的観点から答えてくれる本。
第2回 横山豊治(SW教員)
世界がもし100人の村だったら 池田香代子 再話 マガジンハウス 2001
話題を呼んだ本であり、既に読んだ人も多いはず。興味深い統計データをごくわかりやすい表現で説明してあり、視野を世界的なスケールに広げてくれる。膨大な貧困と対照的な富の集中。その中で我々日本人の暮らしはどのあたりに位置しているのか。カラフルな絵本の頁に簡潔明瞭な文章が和英両方で書かれており、語学の勉強にもなる。
口からうんちが出るように手術してください 小島直子 コモンズ 2000
脳性小児麻痺により移動、更衣、排泄、入浴などに介護を要する重度障害者の女性が、21歳で愛知県の日本福祉大学に入学。東京の自宅を離れ、24時間体制の介護を受けながら一人暮らしをし、大学を卒業。様々な困難に直面しながらもその体験を明るく語っており、ノーマライゼーションを考えさせられる。イラストや写真も多く楽しく読める。
ジェンダーで読む福祉社会 杉本貴代栄 有斐閣 1999
社会福祉の様々な問題や出来事についてジェンダーの視点を切り口に論じられている。日本だけでなくアメリカ社会にも、またセクシュアリティや人権をめぐる現代社会種々の事象にも目を向けている。歌(ポップス)や映画、小説、コミック、テレビCMなど身近なメディアでの表現が検討材料に取り上げられており、若者にも読みやすい。
バリアフリーの商品開発-ヒトに優しいモノ作り-E&Cプロジェクト編 日本経済新聞社 1994
テレフォンカードの淵にある小さなくぼみプッシュホンの「5」のボタンについている小さなポッチ、シャンプーの容器の側面についているギザギザなど、身近に利用している物の中に障害者(特に視覚)への配慮が施された部分がある。現在では「ユニバーサルデザイン」と呼ばれるようになった「共用品」開発の先駆的な実例を多数紹介。
これだけは知っておきたい介護の禁句・介護の名句 星野政明他編著 黎明書房 1998
在宅や施設で介護サ-ビスを受けている方々が、ホームヘルパーや施設職員からのひと言によってどれだけ傷つけられたり、励まされたりしているか。言葉のやりとりがその後の援助関係をこじらせたり円滑にさせたりすることはよくあるが、様々な場面から95の事例が簡潔に紹介されており、対人援助の基本や「ツボ」が実践的に理解できる。
第1回 永井洋一(OT教員)
心病める人たち-開かれた精神医療へ- 石川信義 岩波新書 1990
地域に根ざした開放病棟しか持たない精神病院で悪戦苦闘してきた医師が「日本は精神病者に冷たい国である」と現在のシステムを批判し、進むべき道を怒りと情熱を込めて語る。「心ならずも心病める人たち」へのメッセージはかぎりなく優しく暖かい。
老いを生きる意味-精神科医の診察室から 浜田晋 岩波現代文庫 2001
「豊か」なはずの社会で迎えたの老後がなぜこんなにも「貧しい」のか?東京の下町で老人や障害者と取り組んできた市井の精神科医が、人間の生き方や家族・地域・医療のあり方を考察する。老いとは何か、老いは受容できるか、病は避けられるのか、など具体的なアドバイスに富んでいて、かつ深く考えさせられる本。
学問はおもしろい-<知の人生>へどう出発したか選書メチエ編集部 選書メチエ編集部 2001
哲学、歴史、文学、真理、自然科学、社会科学など各分野から23人の<知の達人>が選ばれ、自分がなぜ学問へ旅立ったのか、どのように格闘してきたのか、どこがおもしろいのか、などをわかりやすく語った本。意外なところに学問との出会いが潜んでいる、という意味で興味を引く本。
障害者が社会に出る-その後の五人の人生 松兼功 筑摩書房 2000
ワープロを鼻で打ち、お酒をストローで飲む評論家こと松兼功氏が、養護学校の同級生5人と卒業後20年目に会って取材したそれぞれの「物語」。いかに彼らが「拒否される人生」を拒否して自立していったか、心のバリアはどうすれば乗り越えられるのか、等々、「大変さ」を軽妙な筆で(鼻で?)描く本。
「無償(ただ)」の仕事-ぼらんてぃあ 永六輔 講談社+α新書 2000
ボランティアってなぜするの?他人のため?自分のため?それとも??? こんな疑問にご存じ永六輔さんがズバリ答える、一読後に目からウロコの落ちるような本。「がんばって下さい」なんて言っちゃいけない、押しつけちゃいけないが、続けなくちゃいけない、それがぼらんてぃあ。何かが見えてくる本。