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大学概要

学長メッセージ

平成24年度入学式式辞

平成24年4月9日 新潟医療福祉大学学長 山本正治

新潟にもやっと"春の訪れ"を肌で感ずる季節が来ました。特に今年の冬は、家が埋もれるほどの豪雪に見舞われた地域もありましたので、私たちは春が来るのを待ちわびていました。春が到来したこのよき日に、ご来賓の皆様のご列席のもと、入学式を行えることを学長として大変うれしく思います。
入学される方々は、学部学生が4学部10学科の835名、大学院が45名です。総勢880名をお迎えすることになりました。新入生の皆様のご入学を心から歓迎します。また保護者の皆様は、今日のよき日を心待ちにしていたこととお察しします。お子様のご入学を心からお祝い申し上げます。

皆さんは今、将来の夢に胸を膨らませ、これからの学生生活を送ろうとしていると思います。あるいは入学時点では明確な夢をまだ描いておらず、これからの人との出会いや様々な学問に触れることで、将来の夢を在学中に具体化したいと思っている人もいるかもしれません。私の場合は、大学に入ってから自分の夢を具体化した一人であります。
私が人生の目標や夢について真剣に考えたのは、大学3年の時でした。それは今から50年近く前の昭和39年6月16日、新潟地震の時でした。地震で石油タンクが炎上したり、アパートが倒壊したり、橋げたが落ちるなど大きな被害が発生しました。大学は2カ月近く休校になりました。そこで私たちは先輩医師が組織するボランティア活動に参加することになりましたが、私はまだ解剖学しか習っていませんでしたので、血圧測定さえもできない状態でした。先輩の先生方の診療活動を手伝うことすらできず、何もできない自分自身を情けなく、また悔しく思いました。この時、地域社会が私たちに期待しているものは、医療だけでなく保健や福祉の分野も求めていると肌で感じました。この時の教訓から、医学だけでなく、もっと保健や福祉の専門知識や技術も学びたいとの思いを強くし、その後も自分の目標、そして夢に向かってひたすら邁進してきました。この人生における目標と夢がなければ、私は今、本学の学長として、この場にいなかったかもしれません。

私は、皆様が大学生活をスタートするにあたり、お願いしたいことがあります。それは、人生における目標や夢を大学生のうちに確立してほしいということです。これから将来、昨年発生した東日本大震災のような予期せぬ大きな災害がまた起こるかもしれません。また国際化が進み、多くの情報が飛び交い、猛烈なスピードで社会は変化しております。今までの常識が役に立たなくなって来るかも知れません。これからの時代を生き抜くためには、世の中の常識や他人の生き方にとらわれず、自分らしい生き方を決めること、すなわち自己の確立をしなければなりません。自己を確立するためには、何ものにも左右されない将来の目標や夢をしっかり持つことが重要であります。

本学は保健・医療・福祉・スポーツ分野の専門職を養成する大学として11年前に開学しました。建学の精神として「優れたQOLサポーターの育成」をあげております。QOL、これはQuality of Lifeの略ですが、生き方の質や満たされた人生、生きざまを大切にしようということです。本学で学ばれる皆さんには、人生におけるQOLの大切さを学んでいただき、患者さんを始めとする対象者のQOLを支えるための高度な知識と技術を身につけたエキスパートになっていただきたいと願っています。そのエキスパートとして地域社会に貢献できる専門職の心がけを、私は5つの英語の頭文字S、T、E、P、SをまとめてSTEPSとしました。STEPSは階段を意味します。
最初のSですがScienceのことです。科学的な専門知識と技術を身につけることを意味します。特に大学院に入学された方々は、さらに高度な専門知識と技術を本学で学んでいただくことを期待しています。TはTeamworkのことです。Teamworkを大事にした上で、ティームのリーダーシップも取っていただきたいと思います。次のEはEmpowermentです。初めて聞く英語と思いますが言葉の中にpowerが入っていますので、これをヒントに理解できます。Empowermentとはpowerを人に与えることを意味しております。対象者にパワーを与える、即ちやる気を起こす力を与えることを意味します。やる気を引き出すためには、あなた方のコミュニケーション力が必要となります。コミュニケーションは挨拶から始まりますので、皆様には入学後、お互いに挨拶することを心がけていただきます。Pは Problem-solvingです。自ら問題を見つけ、解決する力です。特に大学院に入学された方々は、この問題解決力を身に付けることが重要です。最後のSはSelf-realizationです。自分の可能性の実現に向けて努力することを意味します。以上がSTEPSです。

学生時代にSTEPSの基礎を一通り学ぶ必要がありますが、私はこの中で、最初の段階のS即ちScienceを優先すべきと考えます。地域社会が専門的職業人にまず求めることは、科学的専門知識と技術であるからです。学生時代に5つのステップを一段一段上がることで目標や夢の実現を具体化していただきたいと思います。身近な問題が解決できた時、大学生活をきっと意気に感ずると思います。

入学後、目標や夢の実現に向けて何をすべきか? 答えは簡単です。大学生活の中で、毎日の授業や実習に積極的に参加することを優先し、その中で様々なことに挑戦してみることです。「よく学び、よく遊べ」の順です。挑戦すると失敗もします。しかし失敗を恐れて挑戦しないと、人間は成長しません。失敗を恐れない気持ちを大切にして下さい。一歩後退しても二歩前進する心意気が大事です。将来の目標と夢に向かって充実した大学生活を送ってください。本学は「めんどうみのよい大学」として、惜しみない支援を約束します。これからの皆様の充実した大学生活を期待し、学長式辞と致します。

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