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大学概要

学長メッセージ

平成24年度卒業式式辞

平成25年3月14日 新潟医療福祉大学学長 山本正治

春の息吹を感ずる頃になりました。そして万物が躍動を始めるこの時期に、学部卒業式と大学院修了式を挙行できることをうれしく思います。学部を卒業される方は574名、大学院を修了される方は22名、総勢596名です。皆さまの卒業を心からお祝いします。保護者の皆さまは、待ちに待ったこの良き日を迎え、喜びと同時にホッとされていることとお察しします。
ご来賓の方々にはご臨席を賜りありがとうございます。教職員の方々にもお礼を申し上げます。日夜寸暇を惜しんで教育や研究の指導に当たっていただきました。建学の精神である「優れたQOLサポーターの育成」を立派に成し遂げられました。今日は、ご自身のQOLを実感しておられることと思います。本当にありがとうございました。

学部卒業生の皆さまが入学されたのは平成21年4月でした。卒業までの4年間、社会は激しく揺れ動きました。1年次には50年以上続いた自民党政権が民主党に移りました。2年次の3月には東日本大震災が起こりました。3年次には震災後の混乱が続き、そして4年次には政権が民主党から再び自民党に戻りました。皆さまが大学で過ごした時代は、政治・経済・社会あらゆる面で大変な時であったと思います。大学院修了者の皆さまは今お話した4年間の一部を共有しております。
日本は激動の4年間でしたが、卒業生の皆さまは充実したキャンパスライフを送ったと確信しています。学部学生の方々には入学早々、自分の夢を語っていただきました。その後専門分野の授業・実習に加えて、連携基礎ゼミ、保健医療福祉連携学、連携総合ゼミなど保健医療福祉スポーツ分野の職種間連携の大切さを新しいカリキュラムで学びました。また大学院卒業生の方々は、学位論文作成という問題解決の手法を学び、今日の日を迎えました。

皆さまはこれから社会に出て行きます。大学で学んだ専門分野の知識や技術に加え、連携教育、さらに大学院生の場合は問題解決力を身につけていますので、これから思う存分活躍できると私は確信しています。
ところで、人事コンサルティングを専門とするJTBモチベーションズという会社があります。「入社3年の離職危機」について調査を行い、昨年、調査結果を発表しました。「就職後3年以上勤務を続けるか、中途退職するかは、本人の仕事に対するモチベーションで決まる」と報告しています。モチベーションの高い人は、仕事を通じて自分自身の成長を感じていますが、モチベーションの低い人は、現在やっている自分の仕事に対して給与が安いと感じ、また職場環境が自分に合わないと思っています。また特にモチベーションの高い男性は職場での適度な目標設定と評価を望んでおり、女性は他の職種との交流を望んでいることが明らかになりました。
私はこの報告書に接し、モチベーションの高い人の特徴を表す用語が、本学の建学の精神や連携教育などの説明で使われているキーワードと類似していると感じました。本学の建学の精神は、冒頭でお話したように「優れたQOLサポーターの育成」ですが、この建学の精神によって、皆さまは患者さんを始めとする対象者のQOLを支援しようとする高いモチベーションを持って卒業されたはずです。また優れたサポーターになるための行動目標として「5つのSTEPS」すなわち「5つの階段」を、私はあらゆる機会を通して皆さまに示して来ました。一つ目の階段で専門知識や技術の基礎を身につけたはずです。二つ目の階段で自分の専門領域だけでなく色々な職種の間でのチームワークの取り方を、三つ目の階段で対象者を力づけるためのコミュニケーションスキルを、四つ目の階段では、職場で起こる問題の解決方法を学んでいます。まさに先ほど紹介したモチベーションの高い男性が望んでいる「目標設定と評価」を、諸君は大学時代、既に経験したことになります。自分自身で目標設定を行い、そしてその評価を行うことによって、五つ目の最終階段として自分自身のQOLを感じ取ることができるようになります。
また連携教育は他の多くの職種とのチームワークの基礎と応用を学ぶ教育ですが、先ほど紹介したモチベーションの高い女性が望んでいる他の職種との交流そのものです。このように皆さまは、大学時代に高いモチベーションを既に獲得しております。
昨年の夏のことですが、新潟大学病院の院長からプライベートなメールをいただきました。そのメールの追伸に、「新潟医療福祉大学を卒業し、就職した人は、他の大学の卒業生に比べ3年間の離職率が最も低いこと、チームワークができること、専門職業人としての3年間の成長がもっとも目覚しい。」とありました。私はこのメールを今も大切に保存しております。何回も繰り返して読むたびに、職場で活躍している卒業生の姿が脳裏に浮かび、学長としての幸せを感じます。

今日の式典は大学あるいは大学院の課程を終えたことを祝うと同時に、これからの始まりを祝うものです。皆さまが学生時代に学んだ専門知識や技術、連携教育、建学の精神、5つのSTEPSなど、全てのノウハウを職場で実践すれば、患者さんを始めとする対象者に必ず笑顔が生まれ、その笑顔が皆さまを幸せにし、人の役に立つ喜びが湧いて来ます。この喜びが、皆さまの高いモチベーションにつながると信じています。モチベーションを持って3年を過ごせば、必ずや次の展望が拓けて来るはずです。これから社会に巣立つ皆さまは、何も恐れず、自信を持って日々の業務に取り組んでいただきたいと願っています。皆さまの門出の平安を祈って、学長式辞とします。

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