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大学概要

学長メッセージ

平成25年度卒業式式辞

平成26年3月13日 新潟医療福祉大学学長 山本正治

冬の名残がまだ去りやらぬ天候が続いています。しかし雪国・新潟にも、和やかな春が確実に近づいています。この境目の時期ですが、今日ここに学部卒業式と大学院修了式を挙行できることをうれしく思います。学部卒業生が675名、大学院修了生が34名です。総勢で709名となります。
学部を卒業される皆さまは本学に入学後、勉強のこと、試験のこと、就職のことなど大変だったと思います。しかし今やその多くの課題を解決し、今日の卒業式を迎えました。大学院生の多くは、本来の仕事を持ちながら、大学院での実験や調査、さらに論文作成などで大変だったと思います。皆さまの今の心境を私の経験から推察しますと、それは自分の心の中に、修士号や博士号という宝を積んだ喜びであると思います。
また保護者の皆さまは待ちに待ったこの良き日を迎え、喜びと同時にホッとされていることとお察しします。お子さまが無事卒業されたことに対し、心からお祝いを申し上げます。ご来賓の方々には、年度末のお忙しい中、ご臨席を賜りありがとうございます。卒業する学生の専門教育や実習を心温かく見守っていただきました。教職員の方々にもお礼を申し上げます。学生諸君のために昼夜の別なくお力添えをいただきお疲れ様でした。しかしこの良き日を迎えた現在、達成感で心が満たされていると確信します。

学部を卒業される皆さまが入学されたのは平成22年4月でした。この年度は私にとっても思い出深い年度であります。私が学長として初めて入学式の壇上に立った年でした。そこで諸君は、学長となって初めて送り出す卒業生であります。大役を果たせたことを嬉しく思います。
卒業までの4年間、社会は激しく揺れ動きました。1年次の3月には東日本大震災が起きました。2年次は震災後の混乱が続いた年でした。そして3年次にはロンドンオリンピックがあり、日本の女子パワーを実感しました。4年次には2020年の東京オリンピック開催が決まるなど嬉しいことがありました。しかし概してこの4年間、特に東日本大震災後は、政治・経済・社会あらゆる面で大変な時であったと思います。大学院修了生も、今ここにお話した時代の一部を共有しており、思いは学部学生諸君と同じと思います。

私は皆さまにお伝えしたいことがあります。皆さまが大学生活で身につけた知識や体験は社会人として新しいスタートラインに立つために必要なものであります。しかし、社会に出ますと、今まであまり関わりの少なかった政治・経済・社会問題と直面するかもしれません。私は人生の先輩として、問題を乗り越え、後悔しない生き方をするには、卒業後どのようなことができるのか考えてみました。「暮しの手帳」編集長の松浦弥太郎さんも「もし僕がいま25歳なら、こんな50のやりたいことがある。」という本を書いています。現在40代の後半ですが、もし自分が25歳に戻れたら何をしておくべきだったかをまとめたものです。「風邪をひかない」など当たり前のことも上げていますが、私はこの中から最も大事なこととして3つを選びました。一つ目は「まねをする」、二つ目は「"好き"を深掘りする」、三つ目は「社会の歯車になる」ことです。
松浦さんは「自分が憧れる素敵な人を見つけ、進んでまねをすること。」が大事と言っております。私は、仕事のできる先輩を見習うことから始め、世界一流と言われる人に触れることも大事と思います。今まで人まねをすることは良くないとネガティブに捉えられてきましたが、これからはポジティブに捉えるべきです。
次に「"好き"を深掘りする」ですが、「好きなことは、自分の仕事や生活と直結していなくてもかまいません。突拍子もないことでよいから、世の中はスペシャリストを求めています。広く浅くより、集中的になにかにくわしい人が、まずは必要とされている。自信をもってひとつのことを語れるようになればすごいことです。」と言っております。
私も同感です。本学は建学の精神として「優れたQOLサポーターの育成」を掲げています。そこでQOLサポーターとして、自分の好きな領域をさらに掘り下げることをお勧めします。
最後は「社会の歯車になる」です。松浦さんは「25歳はもう大人ですが、社会のなかではまだまだ一人前ではありません。そんな自分が、社会に参加する、貢献する、もしくは役に立つということを考えると、自分が社会の小さな歯車になるということではないか。」と言っております。今まで社会の歯車になることはネガティブに捉えられてきました。しかし「ネガティブな歯車から脱却してポジティブな歯車になること。これを意識しただけで、自分が社会に参加している一員だとあらためて自覚するはず。こう考えることができたら、それだけでも自分が成長したことになる。」とも言っております。
私は、皆さまが本学で学んだ専門領域を社会で活かし、優れたQOLサポーターとして、小さくてもピカリと光る歯車になっていただきたいと思います。

以上をまとめます。学部卒業生の場合は、職場の先輩や世界一流と言われる人の生き方を学ぶことから始めてみてはいかがでしょうか。次に自分が好きな領域をさらに掘り下げ、その道のスペシャリストになるよう心がけて下さい。大学院修了生はここから始めると良いと思います。
学部卒業生、大学院修了生共々、これからは何ごとも恐れず日々の仕事を着実に積み重ねることで、将来職場や地域社会の中で、小さくてもピカリと光るQOLサポーターになっていただきたいと期待しています。皆さまの門出を祝って学長式辞とします。

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