本学では、全国でも数少ない看護・医療・リハビリ・栄養・スポーツ・福祉・医療ITの専門職を養成する総合大学の強みを最大限に活かした教育・研究活動を行っています。「スポーツ」×「医療」「福祉」を融合した基礎的研究から実践、地域貢献、アスリート育成に至る様々な活動を通じて、新時代のQOLサポーターを育成します。
TOPICS
2022年1月に文部科学省が発表した「令和3年度(2021年度)科学研究費採択件数〈過去4年間の新規採択の累計数〉」において、「スポーツ科学、体育、健康科学、およびその関連分野(リハビリテーション科学を含む)」で、本学が全国第4位となりました(私立大学では第2位)。スポーツ科学とは、科学的な視点からスポーツを分析し、スポーツや健康に関して実験や調査を通じて理論的に研究することです。近年では、技術や戦術が高度化し、より高い科学性に基づいたコーチングやトレーニングが不可欠な競技スポーツをはじめ、アスリートをサポートするコーチやトレーナー、さらに中高年や障害者への適切なアドバイスやトレーニングプログラムの作成など、幅広い分野でスポーツ科学に対する関心が高まっています。
本学独自の教育・研究環境を活かした実践的な活動と研究を通じて、学生たちはトレーニング、コンディショニング、傷害予防、栄養指導などの専門知識と技術を修得し、幅広いフィールドで活躍できる人材を育成します。
多学科の学生が混成チームを形成して学ぶ「連携教育」を全学科共通科目として配置し、他職種への理解やチームワーク技法について実践的に学びます。
水泳・サッカー・バスケットボール・陸上・バレーボール・ダンス・硬式野球・卓球・テニスを強化指定クラブとして設置。また、プロクラブチームを運営するアルビレックスグループとの連携活動を実践しています。
ヒトの感覚機能や運動機能、運動器障害に関する研究を行う「運動機能医科学研究所」、スポーツ傷害予防に関する研究を行う「アスリートサポート研究センター」などの研究機関を設置しています。
アスリートサポート研究チームの教員による指導のもと、トレーナー部の学生が強化指定クラブの練習や試合に帯同し、選手のコンディショニングや傷害予防に向けたトレーニング指導などのサポート活動を行っています。
学内で実施する“義足利用者のランニング教室”のサポートスタッフとして学生が参加しています。学生は、スポーツ用義足の調整や走行動作の計測などを行うことで、障害者アスリートの支援について実践的に学んでいきます。
子どもから高齢者まで地域住民を対象としたスポーツ教室の実施、言語発達障害児への支援活動など、健康増進をサポートする様々な活動を実践し、多くの学生がサポートスタッフとして参加しています。
理学療法学科
研究・産官学連携担当副学長
リハビリテーション学部長
教授
大西 秀明
リハビリテーションの臨床現場や、スポーツのトレーニング現場などにおいて、運動機能・感覚機能を強化する方法を導入する際には、しっかりとした基礎研究を重ねて、エビデンス(根拠)を示すことが重要になります。私は、運動を行った際、あるいは触覚刺激などを与えられた際の脳の活動を解析する基礎研究に取り組んでいます。研究手法は「脳機能イメージング手法」と呼ばれる、脳内の機能を多様な機器で測定し、画像化する研究方法です。遺伝子の影響、神経ネットワーク、神経伝達物質の濃度のバランスなど、個々の脳の特徴を把握することで、一人ひとりに適したテーラーメイド型のリハビリ法の開発を目指しています。
理学療法学科
教授
田口 徹
「Pain Lab」では、罹患者が多い痛みの基礎的な仕組みの理解と治療・予防法の研究を行っています。具体的には、肩こりや腰痛、運動後の筋肉痛などの身近な痛みから、関節や筋肉など全身に強い痛みが生じる線維筋痛症やギプス固定などの影響で起こる慢性難治性疼痛に至るまで、幅広く痛みの研究を行っています。本Labは、最先端の設備と技術を有し、国内外の大学や研究機関との共同研究を行うなど、運動器疼痛において唯一無二の研究を推進しています。特に、発痛や鎮痛の仕組みをマクロからミクロレベルで理解することで、根拠に基づくリハビリが実現できる理学療法士の育成を目指しています。
理学療法学科
教授
江玉 睦明
アキレス腱は人体で唯一、ねじれている組織です。腱のねじれは一人ひとり異なり、軽度、中等度、重度に分けられます。障害の発生率は、軽度、重度のほうが高く、両方とも歪みが生じて、障害が発生しやすくなっています。一方で中等度のねじれでは、どの方向に動かしても、ストレスがかかりにくく、強いことが明らかになりました。こうした中等度のねじれの力学的特性を、マッサージや電気刺激、トレーニングに応用することで、スポーツ障害を改善する可能性があります。本研究結果をさらに発展させ、一人でも多くのアスリートがけがを予防しながら競技に打ち込めることができるように取り組んでいきたいと思います。
健康スポーツ学科
社会連携担当副学長
同窓会・生涯学習担当副学長
健康科学部長
教授
西原 康行
『知』は、言葉や本などから得られる『形式知』と、阿吽の呼吸、勘、経験則などの『暗黙知』に分かれます。特にスポーツの世界では、言葉ではなかなか伝えにくい暗黙知を有する熟達者が、たくさんいると考えられます。その暗黙知をVR(バーチャル・リアリティー)のアイトラッキング機能で顕在化することによって、ノービス(初心者、学生)の学びを促そうというのが、私の研究です。例えば、プロスポーツ選手が試合中に、どこを見て判断・行動しているのか、VRで視覚映像として捉えることできれば、データをもとに運動技術の向上や選手育成に貢献できます。暗黙知に触れるためのツールとして、VRは今後も期待が高まる技術といえるでしょう。
健康スポーツ学科
医療福祉学研究科長
医療福祉学研究科
健康科学専攻長
教授
佐藤 大輔
女性には、様々なライフイベントに欠かすことのできない月経周期という特有の生体リズムが存在しています。このリズムは、心身の変化を引き起こし、仕事や私生活に大きな影響を及ぼしています。近年、社会では、「働く女性の増加」や「女性の活躍増進」を目指した取り組みがなされており、女性の健康について注目が高まっています。しかし、自身のリズム、それに伴う心身の変化を深く理解している女性は少なく、女性の健康に対する、企業や男性からの理解度も低いのが現状です。そこで、月経周期による競技や仕事などパフォーマンスの変化に着目し、その原因を技能面や行動面および神経生理学的観点から解明する研究を進めています。
診療放射線学科
医療福祉学専攻長
診療放射線学科長
教授
児玉 直樹
高齢化の進行に伴って、認知症高齢者の増加が社会問題になっています。認知症発生のメカニズムは、完全には解明されていないため、特効薬はありませんし、予防法も確立されていません。しかし、認知症になったら何の手立てもないというのでは、家族は救われません。そこで考えたのが、完治は困難でも、症状の進行を緩やかにすることが重要な予防のひとつだということです。また、認知症の人が共生でき、その人らしく人生を全うできる街づくりを目指すことも大切になります。MRI(磁気共鳴画像)や認知機能検査などのデータを解析し、軽度認知障害やフレイル(※)になった人の脳機能メカニズムや、脳内物質の変化などを調べ、認知症予防の研究を進めています。
(※)健康と要介護の中間の状態で、身体的機能が低下した状態。