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【理学療法学科】犬飼康人講師と小林奈槻さんらの研究論文が国際誌に掲載されました!

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犬飼康人講師(理学療法学科、神経生理Lab、運動機能医科学研究所所属)と小林奈槻さん(理学療法学科16期生、横浜なみきリハビリテーション病院勤務)の研究論文が国際誌『Journal of Clinical Neuroscience』に掲載されました!
詳しい内容を以下にご紹介いたします。


【研究概要】
バランス障害は高齢者の転倒を引き起こす危険因子であり、バランス障害を効果的に改善させる治療法の開発は、高齢者の転倒予防に貢献する可能性があります。
これまでに、バランス機能に関与する感覚システムの1つである前庭器官に対してノイズ様の電流刺激を加える「前庭ノイズ電流刺激」は、バランス機能を向上させることが明らかになっています。
しかしながら、これまでの研究では、安静立位といった安定した姿勢でのバランス機能にのみ着目していたため、前庭ノイズ電流刺激が安静立位以外のバランス機能に与える影響は明らかになっていませんでした。
そこで、本研究では、前庭ノイズ電流刺激が片足立ち時のバランス機能に与える影響を検証しました。

その結果、前庭ノイズ電流刺激は、片足立ち時のバランス機能を即時的に向上させることが明らかになりました。
さらに、前庭ノイズ電流刺激の片足立ちの安定性を向上させる刺激効果は、刺激強度により異なることが明らかになりました。
本研究成果から、適切な刺激強度で前庭ノイズ電流刺激を行うことにより、即時的に片足立ちの安定性を向上させることができる可能性が示唆されました。

【犬飼先生からのコメント】
私たちは、耳の後ろに貼付した刺激電極からノイズ電流を付加する「前庭ノイズ電流刺激」は、若年者ならびに高齢者のバランス機能を向上させることを明らかにしてきました(Inukai et al., 2018a, 2018b, 2020a, 2020b)。しかしながら、これまでの研究では安静立位でのバランス機能にのみ着目していたため、前庭ノイズ電流刺激が他のバランス機能に与える効果は不明でした。本研究では、適切な刺激強度で前庭ノイズ電流刺激を行うと、即時的に片足立ちのバランスが向上することが明らかになりました。本研究成果から、前庭ノイズ電流刺激は、安定している安静立位だけでなく片足立ちのような不安定な姿勢でのバランス機能の向上にも有効であることが示唆されました。

【本研究のポイント】
1.0.2 mAの刺激強度で前庭ノイズ電流刺激を行うと、刺激前に比べて刺激中の片脚立位時の重心動揺(A:総軌跡長、B:左右平均動揺速度、C:前後平均動揺速度)が有意に減少することが明らかになりました。
>>図1
http://www.nuhw.ac.jp/topics/news/2010223.pdf (43.2KB)
黒丸:偽刺激群、赤丸:0.2 mA群、青丸:0.4 mA群

2.前庭ノイズ電流刺激の片脚立位時の重心動揺を減少させる効果は、偽刺激や0.4 mA刺激よりも0.2 mA刺激で大きいことが明らかになりました。
>>図2
http://www.nuhw.ac.jp/topics/news/2010224.pdf (25.4KB)
A:総軌跡長を減少させる効果、B:左右平均動揺速度を減少させる効果、C:前後平均動揺速度を減少させる効果

【原著論文情報】
Inukai Y, Miyaguchi S, Kobayashi N, Otsuru N and Onishi H (2020) Noisy galvanic vestibular stimulation effect on center of pressure sway during one-legged standing. Journal of Clinical Neuroscience [in press]


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