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【理学療法学科】佐々木亮樹さん(理学療法学科11期生)と大西秀明教授らのレビュー論文が「European Journal of Neuroscience」に採択されました!

日本学術振興会海外特別研究員として、The University of Adelaide(生理学教室)に留学中の佐々木亮樹さん(理学療法学科11期生、大学院博士後期課程2018年度修了、運動機能医科学研究所)と大西秀明教授らのレビュー論文が「European Journal of Neuroscience」に採択されました。

〔研究の概要〕
脳卒中後には、約50-80%の高頻度で体性感覚障害が生じます。しかし、体性感覚機能を再建するためのリハビリテーション効果は、高いエビデンスが示されていないのが現状です。近年、損傷した脳部位に反復的な磁器刺激や微弱な電気刺激を行う非侵襲的脳刺激(NIBS)が注目を集めており、機能向上を目指して運動に関与する一次運動野に対しての使用が特に普及してきています。一方、体性感覚機能の向上を目的として一次体性感覚野(S1)にも使用されることがありますが、一次運動野と比較して、報告数が少なく、研究間で結果が大きく異なっております。したがって、本研究ではS1へのNIBSが体性感覚機能を効果的に変調させるのかを明らかにするため、システマティック・レビューを行いました。その結果、様々な種類のNIBS手法は、体性感覚機能に対して比較的低い効果に留まることが示されました。一方、体性感覚刺激で誘発される体性感覚誘発電位(SEP)は、体性感覚機能を表すバイオマーカーになる可能性が示唆されました。これらの結果を踏まえ、私たちは、体性感覚機能をより効果的に変調させる新たなNIBSプロトコールを開発する必要があると考えています。
本研究成果は、国際誌『European Journal of Neuroscience』に掲載予定です。

>>詳しい研究内容はこちら
https://www.nuhw-pt.jp/2022/06/20220611.html

〔研究者からのコメント〕

脳卒中後の体性感覚機能の喪失は、運動麻痺の有無にかかわらず日常生活活動能力を低下させます。そのため、体性感覚機能に対するリハビリテーションは、脳卒中後の機能回復に重要であると言えますが、十分なエビデンスが示されていないのが現状です。今回のシステマティック・レビューでは、健常成人を対象としてNIBSは体性感覚機能を向上させる有効な手法になり得るのかを調査しています。

〔原著論文情報〕
Ryoki Sasaki, Hiraku Watanabe, Hideaki Onishi. Therapeutic benefits of noninvasive somatosensory cortex stimulation on cortical plasticity and somatosensory function: a systematic review. European Journal of Neuroscience. In press.

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