予め決められた着地(Proactive条件)と 地面が急に傾く着地(Reactiveな条件)では運動戦略が異なることを解明 - 新潟医療福祉大学 研究力

新潟医療福祉大学 研究力

2021.02.24

研究者 渡部 貴也

予め決められた着地(Proactive条件)と 地面が急に傾く着地(Reactiveな条件)では運動戦略が異なることを解明

渡部貴也さん(理学療法学科15期生,大学院修士課程2年,バイオメカニクスLab,運動機能医科学研究所)の研究論文が,国際誌『Physical Therapy in Sport』に掲載されました!!渡部さんは足関節捻挫に関する研究を多く行っており,今回は慢性足関節不安定症(CAI)とCoperと呼ばれる捻挫の経験はあるものの再発などを起こしたことがない人の運動の違いを明らかにした研究となっております.詳しい内容をご紹介します.

研究内容の概要

足関節捻挫は、最も一般的なスポーツ外傷で高い再発率が問題視されています。足関節内反捻挫の受傷機転の1つである着地動作において、予め決められた着地を行う場合(Proactiveな条件)と、着地した地面が急に傾く場合(Reactiveな条件)では生じる運動制御戦略と下肢の筋活動が異なる可能性があります。

 そこで本研究は、異なる着地条件{Proactive | Reactive}での着地動作において慢性足関節不安定症(CAI)群と足関節内反捻挫後に再発やgiving-wayを生じないcoper群の足関節キネマティクスと下肢の筋活動に与える影響を検証しました。本研究結果からCAI群はcoper群と比較して、Reactiveな条件のみ足関節内反角度の増加と長腓骨筋反応時間の遅延が明らかとなりました。

渡部さんからのコメント

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本研究結果からReactiveな条件におけるCAI群とcoper群の長腓骨筋反応時間の違いが足関節内反捻挫の再受傷の原因の一つである可能性が考えられます。今後の研究では、Reactiveな課題条件を用いることでCAI群とcoper群の違いがより詳細に明らかになる可能性が考えられます。

本研究成果のポイント

① CAI群・coper群・control群の足関節最大内反角度の違いを明らかにした点.

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② CAI群・coper群・control群の長腓骨筋反応時間の違いを明らかにした点.

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原著論文情報
  

Watabe T, Takabayashi T, Tokunaga Y and Kubo M. Individuals with chronic ankle instability exhibit altered ankle kinematics and neuromuscular control compared to copers during inversion single-leg landing. Physical Therapy in Sport. 2021.2.8 [accepted].

渡部貴也さん(理学療法学科15期生,大学院修士課程2年,バイオメカニクスLab,運動機能医科学研究所)