ローイング動作の反復による腰椎骨盤挙動と体幹筋活動の変化を明らかにしました - 新潟医療福祉大学 研究力

新潟医療福祉大学 研究力

2021.06.22

研究者 関根 千恵

ローイング動作の反復による腰椎骨盤挙動と体幹筋活動の変化を明らかにしました

関根千恵助教(理学療法学科,スポーツ医科学Lab,アスリートサポート研究センター,運動機能医科学研究所)の研究論文が国際誌『International Journal of Sport and Health Science』に受理されました!

研究内容の概要

ボート競技は,同じ動作を繰り返すことが特徴であり,競技力向上や傷害予防のためには動作の反復に伴う関節挙動や筋活動の変化を明らかにする必要があります.本研究では,ローイング動作の継続による腰椎骨盤挙動と体幹筋活動の変化を検討しました.

長時間のローイング動作により,骨盤後傾・腰椎屈曲挙動,多裂筋・脊柱起立筋の筋活動量が増加しました.背筋群は骨盤前傾・脊椎伸展の作用を持ちますが,その作用に反する挙動変化(骨盤後傾・腰椎屈曲の増加)を生じたことから,ローイング動作の反復により,腰椎の分節的運動制御や体幹固定機能が低下することが示唆されます.

関根先生からのコメント

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ボート競技は腰部障害や椎間板変性の頻度が高いことが明らかとなっております.本研究は競技レベルが高い選手を対象に行いましたが,エリート選手であってもローイング動作を継続すると,腰椎屈曲挙動が増加することが明らかとなりました.腰椎が屈曲位になると椎間板への負荷が増大するため,競技動作の継続により椎間板への負荷が増加することが示唆されます.しかし,本研究では,実際にどの程度の負荷量が増加したかは計測していないため,今後より詳細な検討が必要であると考えております.

本研究のポイント

ローイング動作の継続により,骨盤後傾・腰椎屈曲挙動,多裂筋・脊柱起立筋の筋活動量が増加し,腰椎の分節的運動制御や体幹固定機能が低下することが示唆されました.

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Pelvic inclination angle:角度が大きくなると骨盤後傾挙動が増加,Lumbar angle:角度が小さくなると腰椎屈曲挙動が増加

20%:試技前半(タイムトライアル所要時間の20%経過時点),80%:試技後半(タイムトライアル所要時間の80%経過時点)

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Multifidus:多裂筋,Erector spinae:脊柱起立筋,数値が大きくなると筋活動量が増加

20%:試技前半(タイムトライアル所要時間の20%経過時点),80%:試技後半(タイムトライアル所要時間の80%経過時点)

 

原著論文情報

Chie Sekine, Naoto Matsunaga, Koji Kaneoka. Changes in lumbopelvic motion and trunk muscle activity during 2000 m rowing ergometer trial. International Journal of Sport and Health Science (2021).

リハビリテーション学部 理学療法学科
助教 関根 千恵(せきね ちえ)

スポーツ外傷・障害予防に関する研究、運動器障害の発生メカニズム解明、腰痛治療に有効なリハビリテーションの解明に関する研究を行なっています