【診療放射線】MCIの早期発見に新たな選択肢 視線追跡VRを用いた認知機能評価ツールの信頼性を実証 - 新潟医療福祉大学 研究力

新潟医療福祉大学 研究力

2025.07.14

研究者 児玉 直樹

【診療放射線】MCIの早期発見に新たな選択肢 視線追跡VRを用いた認知機能評価ツールの信頼性を実証

◆研究概要
児玉直樹教授らの研究チームは、株式会社FOVE(本社:東京都港区、代表取締役社長兼CEO:唐木信太郎)と東和薬品株式会社(本社:大阪府門真市、代表取締役社長:吉田 逸郎)と共同で実施した、視線追跡型VRデバイス「認知機能セルフチェッカー」に関する臨床研究の成果が、国際学術誌であるFrontiers in Agingに掲載されました。本研究は、認知機能評価ツールである「認知機能セルフチェッカー」の信頼性と妥当性、およびMCI(軽度認知障害)の評価における有用性を検証することを目的として、2023年1月より共同研究を開始し、児玉直樹教授を研究実施責任者とし、鳥取大学医学部の浦上克哉教授の協力のもと、協力医療機関の連携により進められました。

◆研究成果のポイント
● 「認知機能セルフチェッカー」は、健常群と軽度認知障害(MCI)群の識別能力を評価する分析においてAUC 0.857、認知症群とMCI群の識別能力はAUC 0.870を示し、確立された既存の神経心理学検査MoCA-J(各々AUC 0.915、AUC 0.878)と同等の高い評価精度を示した。
● 「認知機能セルフチェッカー」の総合評価スコアは、MMSEの評価スコア(r=0.566, p<0.001)およびMoCA-Jの評価スコア(r=0.648, p<0.001)と中程度の有意な相関を示し、確立された既存の認知機能評価手法との整合性を示した。
● 「認知機能セルフチェッカー」の認知課題を構成する5領域(記憶、判断、空間認知、計算、言語機能)の各領域別スコアが3群間(健康群・MCI群・認知症群)で統計的に有意な差(p<0.001)が認められ、総合スコアによる評価のみならず、領域別の多角的評価の有用性を示した。

◆研究者のコメント
国際学術誌であるFrontiers in Agingへの論文掲載により、「認知機能セルフチェッカー」は認知機能評価ツールとしての医学的な信頼性と妥当性を裏付ける新たなエビデンスとなりました。認知症予防においては、MCI(軽度認知障害)段階での早期発見と早期介入が極めて重要とされています。世界で最も高齢化が進む日本において、その可能性がある対象者へいかに効果的にアプローチし、医療機関への受診勧奨から連携体制を構築していくかは、喫緊の社会課題となっています。本研究成果は、特にMCI段階の評価において新たな価値を示す可能性があることを示唆しており、今後の診断支援への応用が期待されます。

◆原論文情報
Naoki Kodama, Sou Takahashi, Masazumi Tsuji, Yuji Kawase, Satoshi Naruse and Katsuya Urakami. Possibility of screening for mild cognitive impairment via an eye tracking-based cognitive scale. Frontiers in Aging, Volume 6, 1532550, 2025
DOI: 10.3389/fragi.2025.1532550

株式会社FOVEプレスリリース
https://fove-inc.com/2025/07/04/3363/

東和薬品株式会社プレスリリース
https://www.towayakuhin.co.jp/whatsnew/news/2025/07/info25

【研究者情報】
医療技術学部 診療放射線学科
教授 児玉 直樹(こだま なおき)

日本では少子高齢化が進み、認知症高齢者の増加が大きな社会問題となっています。認知症は早期に発見することができれば、より積極的に脳リハビリテーションを行なうなど、効果的な治療を行うことができます。そのため、認知症患者の臨床経過やMRI画像、認知機能検査などのデータをコンピュータで解析し、早期発見できる情報を自動的に抽出して医師に提示できれば、医師の診断の手助けになります。さらに患者さんのQOLの向上、患者さんおよびその家族の精神的負担の軽減や満足度の向上にも繋がります。