【臨床技術/生物医科学分析研究センター】中山憲司准教授の総説2編が日本臨床検査医学会誌に掲載! - 新潟医療福祉大学 研究力

新潟医療福祉大学 研究力

2026.02.20

研究者 中山 憲司

【臨床技術/生物医科学分析研究センター】中山憲司准教授の総説2編が日本臨床検査医学会誌に掲載!

この度、臨床技術学科/生物医科学分析研究センターの中山憲司准教授による2編の総説が、日本臨床検査医学会誌に掲載されました。

一編は、手術中に分子情報を即時に取得し診断へと結びつける『術中分子診断』という新領域を体系化した、本邦初レベルの包括的総説です。
もう一編は、医療機関の微生物検査室に広く設置されているマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析 (MALDI-TOF/MS) 装置の可能性を再定義し、臨床検査室発バイオマーカー探索研究の新たな展開を示した内容となっています。
なお、これらの総説は、2025年8月29日に開催された第72回日本臨床検査医学会学術集会におけるシンポジウム講演を基に執筆されたものです。

【総説概要】
術中分子診断に関する総説(1)では、手術中に組織を数秒で分子解析し、がんの分子型を即時に判定する術中分子診断を体系的に解説しています。大気圧下で直接イオン化する アンビエントイオン化質量分析(AIMS)法 や、非熱的レーザー脱離を用いる ピコ秒赤外レーザー質量分析(PIRL-MS)法 の原理と臨床応用を統合的に整理し、小児脳腫瘍を10秒以内に高精度で分類できる実証例を紹介しています。さらに、分子情報を手術判断に直結させる『分子外科』の可能性を提示しています。
また、定量MALDI解析法に関する総説(2)では、「MALDIは定量に不向き」という従来の常識を再構築し、世界の臨床検査室に広く普及しているMALDI-TOF/MS装置を活用した実践的なバイオマーカー探索研究の道筋を示しています。スポットばらつきを統計的に制御し、最小限の内部標準物質で複数分子を同時定量可能とする独自の qShot MALDI解析法 を詳述しています。簡便・迅速・実用的再現性を重視した設計思想に基づき、検査室発の新たな研究モデルを提示する包括的な総説となっています。

【研究成果のポイント】
 

【原論文情報】
(1) 中山憲司. 臨床検査と外科医療をつなぐ新しい質量分析技術:術中分子診断の可能性. 日本臨床検査医学会誌. 2026; 7(1):53-59.
(2) 中山憲司、後藤崇之*、小林恭*. 検査室で始めるバイオマーカー探索研究:簡単な定量MALDI-TOF/MS解析. 日本臨床検査医学会誌. 2026; 7(1):60-69.
*: 京都大学大学院医学研究科泌尿器科教室

【研究者情報】
医療技術学部 臨床技術学科
准教授 中山 憲司(なかやま けんじ)

【1】 マトリックス支援レーザー脱離/イオン化-飛行時間型質量分析法(MALDI-TOF/MS)の最大の利点は、極微量なサンプル中の低濃度ターゲット分子の精密質量分析・高感度分析が可能であることである。しかし、この優位性は、定量性と再現性の低さという重大なデメリットのために幅広い分野での応用が制限されている。これを打破するため、疾患バイオマーカーとして注目を集めているリン脂質とリゾリン脂質を用いて、MALDI-TOF/MSの定量性と再現性を高める方法を検討・評価している。
【2】 臨床検査室における化学物質管理とリスクアセスメントは、検査精度のみならず医療安全の基盤として極めて重要である。本研究では、ISO 15190:2020 および ISO 15189:2022 に基づき、化学物質の取扱い、リスク評価、保管・管理体制、ならびに教育の実態をアジア地域において比較検討している。特に、我が国における自律的リスク管理への制度転換に着目し、安全文化と品質保証を統合した持続可能な教育・管理体制のあり方について調査研究を進めている。