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【臨床技術学科】4年生の出牛雅也さんが第18回群馬県臨床工学技士会学術大会で最優秀賞を受賞しました!

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2019年7月28日(日)に、第18回群馬県臨床工学技士会学術大会が群馬県前橋市の群馬大学で開催されました。臨床技術学科からは、4年生の出牛雅也さんが「各種カテーテルに起因するへばりつき現象は血管の湾曲により改善するか」と題し口頭発表したところ、最優秀賞を受賞しました。

出牛雅也さんは、以下のようにコメントしています。
「実験方法からシステムの作成、実験データの測定など、発表に至るまでの準備に大変苦労しましたが、研究室メンバー、先生方のご協力もあり最優秀賞を頂くことができました。また、学会発表者として参加するのは二回目になりますが、壇上での緊張と不安は慣れるものではありません。しかし、得ることができる経験や知識は非常に大きいものだと思います。私が理想とする臨床工学技士に少しでも近づくために、こういった機会があればこれからも積極的に参加していきたいです。
最後に、学会参加機会から論文作成、発表練習など多くのご指導を頂いた先生、研究室の皆様に深く感謝いたします。」

出牛雅也さんは、髙橋ゼミに所属しており、就職活動や国家試験勉強のみならずオープンキャンパスに学生スタッフとして参加するなど、何事にも熱心に取り組んでいます。

以下に研究概要を記載します。
【目的】
へばりつき現象とは、血液浄化用カテーテル(以下カテーテル)の脱血孔が血管壁を吸引することが原因で脱血不良に陥り、血液ポンプが停止に陥ることである。へばりつき現象は、具体的な改善策が確立していないのが現状である。そこで、カテーテルのへばりつき現象を血管の湾曲により改善するか検討した。

【対象】
Niagara Slim、Twin End、Dolphinの3種類のカテーテルを比較対象とした。

【方法】
模擬体外循環システムとして経皮的心肺補助装置(TERUMO社製キャピオックス遠心ポンプコントローラーSP‐101K)を使用し、循環血流量(以下Qv)700mL/minで維持させた。血液の粘性を模擬するため50%グリセリン溶液、模擬血管としてブタ静脈血管(以下静脈血管)を模擬体外循環システムに使用した。また、治療側の回路は血液浄化用装置としてKM‐8700(川澄化学工業社製)とその血液回路(川澄化学工業社製)を使用して作成した。この治療側回路に3種類のカテーテルを用いて、模擬体外循環システムに接続された静脈血管に挿入した。血液浄化用装置の設定血流量(以下Qb)は 100, 120mL/minの条件下で循環させた。カテーテルは脱血孔が上向きとなるようにかつ先端が血管壁付近に位置するように留置した。へばりつき現象が発生し血液ポンプが自動停止した後、血管を湾曲させた。その後に血液ポンプを再始動させた。湾曲方法は、カテーテルと血管が直線の状態を標準状態として、カテーテル先端付近から45°に血管を湾曲させた。測定は10回ずつ実験を行い、へばりつきが改善した回数をカテーテルごとに比較した。

【結果】
へばりつき現象が最も改善された湾曲角度、回数の結果を以下に示す。Qb100mL/minで湾曲角度45°においてNiagara Slimでは9回、Twin End では10回、Dolphinでは4回を示した。 Qb120mL/minで湾曲角度45°においてNiagara Slimでは8回、Twin End では9回、Dolphinでは4回を示した。

【考察】
へばりつき改善回数と血管の湾曲角度について、Qb100mL/min、120mL/minで湾曲角度45°の結果からTwin End、Niagara Slim、Dolphinの順でへばりつき現象の改善が最も多く確認できた。Qb100mL/min、120mL/minで湾曲角度45°において各カテーテルの改善回数の差は先端構造の違いであると考えられる。Twin Endにはサイドホールが存在し、血管の湾曲によりこのサイドホールと血管壁が離れやすくなることでへばりつきの改善がしやすくなると考えられる。Dolphinのへばりつきの改善回数はNiagara Slim、Twin Endより明らかに少ない結果を示した。これはNiagara Slim脱血孔の開口角度が150°であるのに対してDolphinの脱血孔の開口角度は155°である。この脱血孔の横幅が広く角度変化が大きい構造が血管壁を吸いこみやすくしており、血管の湾曲では改善が難しかった原因であると考えられる。

【結語】
持続的血液浄化療法施行時の条件で発生するへばりつき現象は血管の湾曲により各種カテーテルで確認することができた。

>>臨床技術学科の詳細はこちら
https://www.nuhw.ac.jp/faculty/medical/mt/

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