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【理学療法学科】佐々木亮樹さんの研究論文が国際誌に掲載されました!

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日本学術振興会海外特別研究員として、オーストラリアのアデレード大学に留学中の佐々木亮樹さん(理学療法学科11期生、大学院博士後期課程2018年度修了、運動機能医科学研究所)の研究論文が「Brain Sciences」に掲載されました。




【研究内容の概要】
脳由来神経栄養因子(Brain-derived neurotrophic factor, BDNF)は、神経細胞の成長や維持を促す蛋白質の一種です。
BDNFを産生する役割を持つ遺伝子は3つのタイプに分けられますが、最も一般的なのがVal/Valタイプで、他にVal/MetとMet/Metタイプが存在します。
先行研究では、Metを含む変異型は、認知機能、精神機能、脳卒中後の運動機能回復などに影響を与えることが報告されています。
本研究では、運動を司る領域である一次運動野に着目し、BDNF遺伝子タイプに依存してその脳活動に差異があるのか否かを神経生理学的手法によって調査しました。
はじめに、遺伝子解析によって各被験者の遺伝子タイプを特定し、その後一次運動野に対して経頭蓋磁器刺激を行い抑制活動を計測した結果、Val/Valタイプと比較してMetを有する変異型では、その抑制活動が有意に高いことが明らかになりました。
また、magnetic resonance spectroscopyを使用して、一次運動野の興奮性の神経代謝性物質の集積量も計測した結果、興奮性の神経伝達物質を含むGlx(Gln+Glu)濃度がMetを有する変異型では有意に低下していることが示されました。
以上より、BDNF遺伝子タイプの多型は、一次運動野における興奮性・抑制性の両方の神経活動に影響を及ぼすことが示されました。

>>詳しい研究内容はこちら
https://www.nuhw-pt.jp/2021/03/-20210325.html

【佐々木さんからのコメント】
BDNF遺伝子の多型は、認知機能や運動機能に影響を及ぼすことが明らかになっております。一方で、行動学的な評価は数多く行われてきましたが、その基本的な脳内メカニズムを調査した研究は少ないのが現状でした。本研究では、運動を行う中枢である一次運動野の神経活動に着目しました。その結果、脳活動に重要な興奮性および抑制性サイクルに影響を及ぼしている可能性が示唆されました。このことから、BDNF遺伝子型に依存した運動機能の違いには、一次運動野における神経活動の変化が起因しているかもしれません。

【原著論文情報】  
Ryoki Sasaki, Naofumi Otsuru, Shota Miyaguchi, Sho Kojima, Hiraku Watanabe, Ken Ohno, Noriko Sakurai, Naoki Kodama, Daisuke Sato, Hideaki Onishi. Influence of brain-derived neurotrophic factor genotype on short-latency afferent inhibition and motor cortex metabolites. Brain Sci. 2021, 11, x.


>>理学療法学科の詳細はこちら
http://www.nuhw.ac.jp/faculty/medical/pt/

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