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【理学療法学科・運動機能医科学研究所】犬飼康人助教(理学療法学科、神経生理・運動生理Lab神経生理班、運動機能医科学研究所)らの研究論文が国際誌に掲載されました!

理学療法学科の犬飼康人助教らの研究論文が国際誌「Frontiers in Human Neuroscience」に掲載されました。

研究内容の概要:
微弱なノイズ電流刺激が安定して脳の興奮性を安定して増加させることを解明
―脳卒中患者の運動機能回復促進に期待―

これまでに、運動に関与する脳部位上(一次運動野上)に直流電流を通電する経頭蓋直流電流刺激(tDCS)、交流電流を通電する経頭蓋交流電流刺激(tACS)、ノイズ電流を通電するランダムノイズ電流刺激(tRNS)は、皮質脊髄路という運動に関わる神経経路の興奮性が増加することが報告されていました。本研究ではtRNSが最も安定して皮質脊髄路の興奮性を増強させることを明らかにしました。

本研究成果は、2016年12月15日に「Frontiers in Human Neuroscience」で公開されました。

研究者からのコメント:
tDCSは運動に関与する皮質脊髄路興奮性を増強させることが知られており、脳卒中患者の運動機能回復を促進させることを目的に臨床応用が試みられています。一方で、tDCSの刺激効果は個人間でバラツキが多いとの指摘も近年報告されています。本研究では、tRNSはtDCSより安定して刺激後に皮質脊髄路興奮性を増強させることが明らかになりました。脳卒中患者にtRNSを行うことで、従来の理学療法効果を増強させることが期待できます。

本研究のポイント
1.同一の被験者にtDCS、 tACS,、tRNS、Sham(擬似)刺激を別日にランダムに行い刺激後の皮質脊髄路興奮性変化を比較検証しました。
2.tRNSは刺激前やSham刺激と比較して、刺激終了後に有意に皮質脊髄路興奮性を増強させました。
3.本研究結果より、tRNSはtDCSやtACSより安定して刺激後に皮質脊髄路興奮性を増強させることが明らかになりました。

図1.各刺激後の皮質脊髄路興奮性の変化
http://www.nuhw.ac.jp/topics/news/20161219-1.pdf (PDF/127KB)
◯は刺激前と比較して、皮質脊髄路興奮性が有意に増強したことを示している。tRNS後は、刺激終了直後から終了後20分後まで一貫して皮質脊髄路興奮性が増強した。

図2.Sham(擬似)刺激と各刺激後効果の比較
http://www.nuhw.ac.jp/topics/news/20161219-2.pdf (PDF/127KB)

◯はSham刺激と比較して、有意に皮質脊髄路興奮性が増強したことを示している。tRNSは刺激前ではSham刺激と皮質脊髄路興奮性に差はないが、刺激後では刺激終了直後から終了後20分後まで一貫して有意に皮質脊髄路興奮性が増強した。

原著論文情報
Inukai Y, Saito K, Sasaki R, Tsuiki S, Miyaguchi S, Kojima S, Masaki M, Otsuru N, Onishi H.
Comparison of three non-invasive transcranial electrical stimulation methods for increasing cortical excitability.
Front. Hum. Neurosci. doi: 10.3389/fnhum.2016.00668

用語説明:
皮質脊髄路について
私たちが意図的に何か運動を行う際には脳からの命令を筋肉まで伝えなければなりません。この命令を伝えるのに関与している神経の経路を皮質脊髄路といいます。脳卒中患者ではこの皮質脊髄路が障がいされてしまい、脳からの命令が筋肉まで伝わりにくくなっており、そのため運動機能が低下してしまう「運動麻痺」が出現します。

>>犬飼康人助教のプロフィールはこちら
http://www.nuhw.ac.jp/faculty/medical/pt/teacher/inukai.html

>>運動機能医科学研究所の詳細はこちら
http://www.ihmms.jp/

>>理学療法学科の詳細はこちら
http://www.nuhw.ac.jp/faculty/medical/pt/

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