TOPICS

【理学療法学科】大学院修士課程2年生の吉田卓麻さんらの研究論文が『理学療法学』に掲載されました!

画像1画像2

大学院修士課程2年生の吉田卓麻さん(バイオメカニクスLab、富永草野病院勤務)らの研究論文が『理学療法学』に掲載されました!
今回の研究では、膝蓋骨の傾きについて超音波画像診断装置を使用して研究したものです。

詳しい研究内容は以下に説明いたします。

膝蓋骨後方傾斜は膝関節の屈曲角度と伸展筋力で変化し、屈曲60°で最大膝関節伸展筋力発揮時に最も後方へ傾斜する。
~ジャンパー膝に対する治療法や予防法の考案につながることが期待~

研究内容の概要:
スポーツ活動時には膝関節には大きな負荷が繰り返しかかるため、膝関節障害が生じやすいです。その中でも、バレーボールやバスケットボールなどの跳躍動作を繰り返すスポーツに多いoveruse syndrome の一つにジャンパー膝があります。ジャンパー膝の病態や発生因子には様々なものが報告されていますが、明らかになっていない部分も多いです。発生因子に着目すると、膝関節運動時の膝蓋骨の過度な後方傾斜が関与していることが報告されています。

生体内における膝蓋骨の後方傾斜を含めた膝蓋骨のトラッキングの計測にはレントゲン透視画像とCTやMRIを組み合わせる方法やOpen MRIを用いた方法などが報告されています。しかし、これらの方法では放射線被曝などによる生体への侵襲や撮影時間に時間がかかるなどの制約が生じてしまいます。一方で、エコーを用いた方法の場合、比較的簡便に使用でき、生体への侵襲もないといった利点がありますが撮影精度に問題点があります。
そこで本研究では、光学式モーションキャプチャーシステムを併用することで、エコーの撮影精度を最大限に付与した状態で様々な膝関節屈曲角度、膝関節伸展筋力での膝蓋骨後方傾斜を観察しました。
その結果、膝蓋骨の後方傾斜はジャンパー膝に関与するとされている膝関節屈曲60°において膝関節伸展筋力が強く作用した際に最も後方傾斜することが明らかとなりました。

本研究は「理学療法学」に掲載予定です。

吉田先生からのコメント:
生体内にて膝蓋骨の後方傾斜を含む膝蓋骨のトラッキングを調べた研究は放射線被曝などの侵襲的な方法や時間、空間の制約がある方法が多いといった難点があります。そこで本研究では、生体への侵襲がなく比較的簡便に使用できるエコーを用いて検証することにしました。しかし、エコーを用いた方法の場合、測定精度の面で問題点があるとされています。本研究では、エコー撮影時に光学式モーションキャプチャーシステムを併用し、エコー撮影時に生じるプローブのズレに伴うエコー画像の変化を補正することで測定精度を付与することを試みました。これは非常に新規性の高い方法となります。

本研究結果より、膝蓋骨後方傾斜の計測にエコーと光学式モーションキャプチャーシステムを併用することでOpen MRIなどを使用した先行研究と同様の傾向を捉えられることが明らかとなりました。また、膝蓋骨後方傾斜は膝関節屈曲角度と膝関節伸展筋力により変化し、ジャンパー膝に関与する膝関節屈曲60°において膝関節伸展筋力が強く作用した際に最も後方傾斜することが明らかとなりました。

本研究成果のポイント:
①エコーと光学式モーションキャプチャーシステムを併用して膝関節屈曲角度と膝関節伸展筋力の変化による膝蓋骨後方傾斜への影響を検証した点
http://www.nuhw.ac.jp/topics/news/190715-1.pdf (16.6KB)

②膝蓋骨の後方傾斜は膝関節屈曲角度と膝関節伸展筋力により変化し膝関節屈曲60°で最大膝関節伸展筋力発揮時に最も後方傾斜する(Tendon - Patellar angleの低下が膝蓋骨の後方傾斜の増大を意味する)
http://www.nuhw.ac.jp/topics/news/190715-2.pdf (10.2KB)

原著論文情報
吉田卓磨、高林知也、徳永由太、Nguyen Dang Khoa、久保雅義
膝関節角度と膝関節伸展筋力の変化による膝蓋骨後方傾斜への影響: エコーを用いた検証、理学療法学

>>理学療法学科の詳細はこちら
http://www.nuhw.ac.jp/faculty/medical/pt/

>>理学療法学科オリジナルサイトはこちら
http://www.nuhw-pt.jp/

>>SHAINプロジェクトの詳細はこちら
https://www.nuhw.ac.jp/shain/

画像1画像2

このページのトップへ