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研究報告

担当:北澤

研究テーマ:足関節回外位の歩行が身体アライメント及び関節モーメントに及ぼす影響

要旨

  • 背景:片麻痺症例の機能障害にはさまざまなものがあるが,その中の一つに足部の機能障害が挙げられる.足関節機能に関する先行研究では,足関節と距骨下関節の複合体は斜め継手であり,脛骨が外旋すると足部は内返しし,脛骨が内旋すると足は外返しをする,足関節を過回内にした立位では,脛骨は内旋,大腿骨内旋,骨盤前傾するなどといった,足部が運動連鎖的に上位関節に及ぼす影響が報告されている.このように,足部の運動連鎖的な知見は多く見られるが,歩行というダイナミックな動作の力学的に解析した報告は見られない.
  • 目的:実験的に足関節回外位にした歩行において,全身的なアライメント,関節モーメントがどのように変化するかを調べる.
  • 方法:対象は健常男性数名とし,三次元動作解析装置にて定常歩行課題を計測する.課題の条件は,裸足歩行,足底板使用,もしくはテーピングにて足関節回外位に操作した3つの条件で行う.足部の動きを細かく見るためにoxford foot model,下腿,大腿の回旋の動きを見るためにpoint cluster法を使用する.計測データの誤差を補正後,各条件下でのCOPの位置と関節アライメント,モーメントの変化を調べる.
    現在,データ補正のためのプログラムや足底板を作成している段階であり,今後計測,解析を進めていく.

文献抄読

担当:豊栄

論文:Butler et al, Origin of the low-level EMG during the silent period following transcranial magnetic stimulation. Clinical Neurophysiology 123(2012) 1409-1414.

要旨

  • 背景:silent periodは随意収縮中の運動皮質上へのTMSによって誘発される.silent periodの間にはlow level EMG活動の存在が知られており,この活動は脊髄性のsilent period後に開始する.発生の由来については,TMSに影響を受けない同側性の皮質または皮質下(Wilson et al, 1995),反射(Sammut et al, 1995; Wilson et al, 1995)によって生じると仮定されている.著者らは以前,持続的収縮課題を用いた研究結果より脊髄メカニズムによってlow level EMGが誘発されると仮定した(Taylor et al, 1996).
  • 方法:今回low level EMGの誘発が脊髄メカニズムによるという仮説をテストするために,等尺性収縮,求心性収縮,遠心性収縮の5つのコンディションの際にTMSを用いた.TMSにより誘発される,low level EMGの振幅,silent periodのdurationを測定し検討した.
  • 結果:low level EMG振幅は,求心性収縮で低下を示したが,他の4つの収縮コンディション全体では差がなかった.durationは,3つの等尺性収縮コンディションと比較して求心性収縮コンディションでより延長した.そして,等尺性収縮のfirstとlastのコンディションと比較して遠心性収縮コンディションでより延長した.
  • 考察:今回,low level EMGの量は求心性収縮の間有意に低下した.これは筋紡錘の活性化によって誘発されるreflex facilitationによって媒介されることを示唆する.我々は,TMSによって誘発されるsilent periodのフォースの著しい低下(see Todd et al, 2005,;2007)が,筋紡錘の発射を上昇させる筋の伸張と関連していることを提案する.そしてそれは,脊髄運動ニューロンをfacilitationして,silent periodの間に生じるEMG活動を誘発する.求心性収縮では筋紡錘発射が低下するのでEMGが筋紡錘活性化によってreflex facilitationによって誘発されるという仮説をサポートする.