4/8 勉強会

文献抄読

担当:岩波

論文:E. Shibata, F. Kaneko, Kinesthetic perception based on integration of motor imagery and afferent inputs from antagonistic muscles with tendon vibration. Neuroscience Letters, 2013.02. [Epub ahead of print]

要旨

  • 目的:2つの拮抗する筋を同じ周波数で振動刺激した際,運動イメージを行うことで運動錯覚がどのように生成されるかを明らかにすること.
  • 方法:健常成人を対象とし,手関節屈筋と伸筋に対し周波数の異なる4種類の腱振動を加えた.被験者は腱振動時に,①早い手関節屈曲イメージ,②遅い手関節屈曲イメージ,③運動イメージしない,の3条件が要求された.各試行後,知覚した運動感覚を同側手による模倣運動で速度と方向に基づき定量化した.
  • 結果:運動イメージなし条件では被験者は運動錯覚を知覚しなかったが,運動イメージを行った条件では運動錯覚が生じた.更に,遅い運動より早い運動をイメージした方が顕著な運動錯覚を体験した.
  • 考察:手関節屈筋と伸筋に加えた振動刺激に差がない場合でも,筋紡錘からの求心性入力は運動イメージと相互に作用し運動錯覚を生じさせ,その運動感覚は振動刺激の周波数によって増加することが明らかとなった.

研究報告

担当:佐藤

研究テーマ:下肢への流水刺激が一次運動野の興奮性に及ぼす影響

  • 目的 本研究は,腋下浸水中の持続的な流水刺激による求心性入力が一次運動野の手指領域における皮質脊髄路興奮性,短間隔皮質内抑制および皮質内促通に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした.
  • 方法 実験1では,成人男性8名を対象に,静水浸水した条件(静水条件)および40Hzでの流水刺激を付加した条件(流水条件)において皮質脊髄路興奮性(MEPtest),短間隔皮質内抑制(SICI)および皮質内促通(ICF)を測定した.両条件における浸水時間は,15分間とし,浸水前(T0),退水直後(T1),15分後(T2),30分後(T3),45分後(T4)に測定を行った.実験2では,(流水刺激呈示によって増加した)MEPtestを1mVに合わせてSICIおよびICFを測定した.
  • 結果 実験1において,MEPtestは流水条件でのみT1,T2,T3で有意に増加した.また,SICIによる抑制効果は,流水条件のT1,T2,T3において有意に減少した.一方,ICFにおいては有意な変化が認められなかった.実験2においても,SICIによる抑制効果は,流水条件のT1,T2,T3において有意に減少し,ICFにおいては有意な変化が認められなかった.
  • 結論 上記の結果から,15分間の流水刺激が一次運動野の興奮性に影響することが明らかとなった.これには,持続的な流水刺激による求心性入力が影響していると考えられる.