4/15 勉強会

文献抄読

担当:北澤

論文:Judit Takacs, Michael A.Hunt, The effect of contralateral pelvic drop and trunk lean on frontal plane knee biomechanics during single limb standing. J Biomech 45:2791-2796,2012

要旨

  • 目的:片脚立位で骨盤の下制と体幹の傾きを意図的に変化させ、身体質量中心の位置の変化が膝関節内転モーメントに及ぼす影響を調べる.
  • 方法:健常成人を対象とし,3つの条件で聞き足で片脚立位を行い,3次元動作解析装置、赤外線反射マーカーを用いて,膝関節内転モーメント,床反力,身体質量中心,足圧中心、骨盤,体幹の傾斜角度を計測.3つの条件、①骨盤と体幹を中間位で維持する②骨盤を支持脚と反対側に下制し体幹は中間位で維持する③骨盤を支持脚と反対側に下制し体幹も傾けた状態のそれぞれ身体質量中心と膝関節内転モーメントの関連を調べる.
  • 結果:膝関節内転モーメントは,条件①に比べ②③で有意に増加,、さらに足圧中心と身体質量中心の距離が遠くなるほど膝関節内転モーメントは増加した.
  • 考察:膝関節前額面での荷重において,身体質量中心の動きは直接膝関節内転モーメントの変化に影響を及ぼすことが明らかとなった.

研究報告

担当:鈴木

研究テーマ:報酬確率が相反筋に投射する運動野興奮性に及ぼす影響

  • 目的:報酬確率を統制した行動学習に伴う一次運動野活動の相反的変化を検証することを目的とした.
  • 方法:10%,50%,90%の報酬確率を用いて手関節屈曲開始合図の0.05秒前および報酬提示の2秒後に経頭蓋磁気刺激を呈示し,橈側手根屈筋(FCR)および橈側手根伸筋(ECR)における運動誘発電位(MEP)振幅の相反的変化を観察した.
  • 結果:手関節屈曲開始直前におけるMEP振幅相対値(FCR/ECR)は,10%報酬確率が90%報酬確率よりも大きかった(P =0.008).一方,報酬提示後におけるMEP振幅は,90%報酬確率が10%(P = 0.001)および50%報酬確率(P =0.001)よりも大きかった.
  • 考察:行動学習課題における報酬確率の変化に伴って,主動筋と拮抗筋に投射するM1興奮性の相反的な変化が観察された.低い報酬確率(10%)では主動筋に投射するM1興奮性増加と拮抗筋の興奮性低下をきたすことが示唆された.一方,高い報酬確率(90%)では主動筋に投射するM1興奮性増加と拮抗筋の興奮性低下をきたすことが示唆された.