10/28 勉強会

【日本臨床神経生理学会予演会】

担当:丸山

タイトル:筋疲労が短間隔皮質内抑制および短間隔皮質内促通に及ぼす影響

要旨

  • 目的:二重TMSの短間隔皮質内抑制(SICI)の刺激間隔(ISI)3msでは抑制性介在神経が, 短間隔皮質内促通(SICF)のISI3msでは興奮性介在神経が関与すると言われる。そこで、筋疲労がSICF およびSICIに及ぼす影響を検討した。
  • 方法:8名の被験者に右FDI筋での3回の筋疲労を起こしその後30分間を回復期とした。SICIおよびICFの条件刺激強度は80%AMT、SICFの第二刺激強度は100%RMTとした。SICIとICFの条件刺激‐第一(テスト)刺激のISIは3msと10ms、SICFの第一刺激と第二刺激のISIは3msである。
  • 結果:各筋疲労直後でSICI低下とSICF増大が同時に見られた。ICFとSICFの時間経過は異なる様相を見せた。
  • 結論:筋疲労によるSICI低下とSICF増加の関係は興奮性介在神経興奮性の増大が抑制性介在神経興奮性の低下を引き起こす可能性を示唆した。

担当:佐藤

タイトル:手部への流水刺激が一次運動野の興奮性に及ぼす影響

要旨

  • 目的:本研究は,持続的な流水刺激による求心性入力が,一次運動野の興奮性に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした.
  • 方法:成人男女10名を対象に,3条件の介入(浸水条件,流水条件,非浸水条件)を15分間実施し,各条件前後の一次運動野の興奮性を評価した.一次運動野の興奮性は,rMT,aMT,I-O curve(実験1),短間隔皮質内抑制(SICI)および皮質内促通(ICF)(実験2)によって評価した.浸水方法は,右前腕部のみを浸水し,流水条件では40Hzの流水刺激を手掌に呈示した.
  • 結果:I-O curveは,流水条件において介入後にMEPの有意な増加が認められた.また,流水条件においてのみSICIの減少およびICFの増加が認められた.
  • 考察:上記の結果から,流水刺激が一次運動野の興奮性を高めることが明らかとなった.これは,水の流れによって生じた求心性入力が一次運動野に可塑的変化を引き起こすことを示唆している.

担当:岩波

タイトル:鏡像手注視が皮質脊髄路興奮性に与える影響と運動イメージとの関連

要旨

  • 目的:ミラーセラピー時の注視条件が皮質脊髄路興奮性に与える影響を検証するとともに,皮質脊髄路興奮性の変化と個々の運動イメージ鮮明性との関連を検討した.
  • 方法:10名の健常被験者を対象に,左示指の内外転反復運動中の運動誘発電位を右FDIより,(1)鏡像手注視および(2)自身の右手注視の2条件で導出した.また運動イメージの鮮明性(筋感覚性・視覚性)をMIQ-RSで評価した.
  • 結果:鏡像手注視条件のMEP振幅値は安静時と比較し有意に高い値を示したが,右手注視条件とは有意差は認められなかった.また鏡像手注視条件と筋感覚性運動イメージの鮮明性との間で相関を認めた.
  • 考察:ミラーセラピー時の皮質脊髄路興奮性には,鏡像手注視による視覚情報の影響することが明らかとなり,これには筋感覚性運動イメージの鮮明性が関与する可能性が示唆された.