11/18 勉強会

【研究報告】

担当:東原

タイトル:股関節周囲筋の柔軟性および筋力比がスプリント時のキネマティクスに与える影響

要旨

  • 目的:関節周囲筋の柔軟性および筋力比が,スプリント動作時の関節角度およびハムストリングスの筋長に及ぼす影響を検討すること.
  • 方法:男子陸上競技短距離走選手12名を対象とし,スプリント時の骨盤前傾角度,股関節屈曲角度,膝関節屈曲角度,およびハムストリングスの筋長と,SLR test,Thomas test,HBD test,股関節伸展/屈曲筋力比,および膝関節屈曲/伸展筋力比との関連をPearsonの相関係数を算出することにより検討した.
  • 結果:Thomas testおよびHBD testのスコアとスプリント時の骨盤最大前傾角度との間に有意な正の相関が認められた(p < 0.05).また,股関節伸展/屈曲筋力比と遊脚期後半における膝関節最大伸展時のハムストリングス筋長との間に有意な負の相関が認められた(p < 0.05).
  • 考察:股関節屈筋および大腿直筋のタイトネスが,スプリント時の骨盤前傾角度増大に影響していると考えられた.また,股関節伸展/屈曲筋力比の低下が,接地直前のハムストリングス伸張に影響していると考えられた.

 

【文献抄読】

担当:小島

タイトル:Short-Latency Afferent Inhibition Modulation during Finger Movement

要旨

  • 目的:運動課題中のSAIの変化を明らかにすること.
  • 方法:右利き健常成人を対象に,右示指による単純反応課題を実施し,4条件(Rest,Pre-movement,Phasic,Tonic)におけるSAIおよびF-wave振幅の変化を検討した.SAIの計測には,正中神経刺激および右示指への皮膚刺激の2条件を用いて検討した.
  • 結果:Rest条件に比べ,Pre-movement条件,Phasic条件,Tonic条件においてSAIの減弱が認められた.またRest条件およびPre-movement条件に比べ,Phasic条件,Tonic条件においてF-wave振幅の増大が認められた.正中神経刺激および皮膚刺激による運動課題中のSAIの減弱度合いには違いが見られた.
  • 結論:本研究結果より,運動課題中にSAIが減弱することが明らかとなった.またPre-movementにおけるSAIの減弱には,皮質性の興奮性調節が関与している可能性が示唆された.さらにSAIの減弱度合いには,刺激により発火する神経の特異性が関与する可能性が考えられた.