12/2 勉強会

【研究報告】

担当:稲井

タイトル:2つの筋張力推定法を用いた平行棒使用方法の違いによる立ち上がり動作時の膝関節圧迫力の検討

要旨

  • 目的:平行棒の使用方法の違いによる立ち上がり動作時の膝関節圧迫力を検討すること.
  • 方法:課題動作は椅子からの立ち上がり動作とした.平行棒使用方法を3つ設定し,Free(平行棒を使用しない条件),Push(平行棒を下方へ押す条件),Pull(平行棒を引きながら立ち上がる条件)とした.筋張力推定法は機能別実効筋理論および筋疲労最小化理論による3対6筋の大腿矢状面筋骨格モデルとした.
  • 結果:膝関節圧迫力に関して,両者の筋張力推定法ともにPushはFreeおよびPullと比較して有意に低値を示した.
  • 考察:Pullの平行棒使用方法では膝関節圧迫力に負担が軽減されないことが明らかとなり,荷重軽減の必要性がある立ち上がり練習に対して動作指導の一助になると考えられる.

【文献抄読】

担当:高井

タイトル:Skin blood flow influences cerebral oxygenation measured by near-infrared spectroscopy during dynamic exercise

要旨

  • 目的:動的運動中の近赤外分光法(NIRS)由来の信号に額の皮膚血流量が与える影響を明らかにする
  • 方法:健常成人男性10名を対象に,最大心拍数の60%の強度での定常負荷エルゴメータ運動を行わせた.運動課題中,一過性に皮膚血流量を操作するため冷水スプレーと送風による顔面冷却刺激を3分間行った.前額部皮膚血流量と酸素化ヘモグロビンは連続して計測された.
  • 結果:中大脳動脈血流速度は運動中有意に上昇し,顔面冷却中は不変であった.酸素化ヘモグロビンおよび皮膚血流量は運動中に有意に上昇したが,顔面冷却中には減少し,冷却をやめると冷却前の値まで回復した.各被験者の酸素化ヘモグロビンと皮膚血流量の相対的な変化率は,有意に強い相関を認めた.
  • 考察:動的運動中のNIRS由来の酸素化ヘモグロビン信号は,体温調節性皮膚血管拡張による皮膚血流量上昇の影響を受ける可能性があり,脳の酸素化および脳神経活動を必ずしも反映していない場合がある.