2/17 勉強会

【研究報告】

担当:高井

タイトル:一次運動野領域への経頭蓋直流電流刺激が頭蓋内血流動態に与える影響 -近赤外分光法を用いた経時的観察-

要旨

  • 目的:一次運動野領域へのtDCS中の経時的な頭蓋内血流動態変化を明らかにすること.
  • 方法:3分のベースライン計測の後,1mAで20分間の陽極(または陰極)tDCSと擬似刺激を行い,その全行程で近赤外分光法による脳血流測定を行った.関心領域は,対側の運動前野,補足運動野,一次運動野,一次体性感覚野とした.
  • 結果:運動前野,補足運動野,一次運動野において,陽極刺激・陰極刺激は擬似刺激に比べ有意に低いoxy-Hb値を示した.また,一次体性感覚野では,oxy-Hbは陰極刺激・擬似刺激に比べ陽極刺激で有意に高値であった.
  • 考察:陽極または陰極 tDCSは,皮質の他の領域の血流動態にも広く影響し得る可能性が示唆された.陽極 tDCSは,一次体性感覚野における特異的なoxy-Hb上昇に作用することが考えられた.

【文献抄読】

担当:高橋

タイトル:Effects of Exercise Level on Biomarkers in a Rat Knee Model of Osteoarthritis

要旨

  • 背景:変形性膝関節症はストレス負荷の蓄積により,Ⅱ型コラーゲンの同化・異化のインバランスによって発症する.一方で運動負荷がポジティブな影響をもたらすことは明らかであるが,至適負荷量の基準は明確ではない.
  • 目的:ACL切断モデルラットを用いて,運動負荷の違いがOA進行程度と血清バイオマーカー(同化・異化の指標)に与える影響を明らかにする.
  • 方法:対象は8週齢Wistar計雄性ラット47匹.Native群,ACL切除Cont群,ACL切除Moderate群,ACL切除Intense群の4群とし2週間および4週間の運動を実施した.
  • 結果:運動期間2週間ではIntense群とその他全ての群間において軟骨変性の有意な差が認められ,血清バイオマーカーにおいてもIntense群とその他全ての群間において有意な差が認められた.運動期間4週間では,Intense群とNative群においてのみ軟骨変性の有意な差が認められ,血清バイオマーカーにおいては,Intense群とCont群およびIntense群とModerate群間に有意な差が認められた.また,軟骨変性と血清バイオマーカー間に強い相関は認められなかった.
  • 考察:血清バイオマーカーはⅡ型コラーゲンの代謝のみを指標としており,軟骨変性全体に与える影響と相関をみるには不十分であった.今後は,他のバイオマーカーなども視野に入れながら再検討し,至適運動負荷量の指標となるものが求められる.