5/12 勉強会

【研究報告】

担当:高林

タイトル:前向き降段および後ろ向き降段におけるACL負荷の推定

要旨

  • 諸言:末期を辿った変形性膝関節症はACLを損傷もしくは断裂していることが多い.日常生活動作において最も困難な動作は降段動作であるため,ACL負荷を可能な限り減少できる降段動作戦略を明らかにすることは重要である.
  • 目的:本研究は,近年注目を集めている後ろ向き降段動作と前向き降段動作においてACL負荷を推定し,階段降段動作指導の一助とすることを目的とした.
  • 方法:被験者6名を対象とし,課題動作は前向きおよび後ろ向きの階段降段動作とした.算出された関節モーメントおよび筋電図情報を基に最適化手法にて筋張力を推定し,推定筋張力を基にACL負荷を推定した.
  • 結果:ACL負荷ピーク値は2つの降段方法において立脚期に出現し,前向き降段と比較して後ろ向き降段は有意に低値を示した(p < 0.05).
  • 結論:後ろ向き降段動作は,変形性膝関節症に対する階段降段指導に有用であることが示唆された.

 

【文献抄読】

担当:齋藤

タイトル:Increased transcranial direct current stimulation after effects during concurrent peripheral electrical nerve stimulation

要旨

  • 目的:経頭蓋磁気刺激法(TMS)および誘発筋電図を用いてtDCSと電気刺激の併用が皮質脊髄路の興奮性変化に及ぼす影響を解明すること.
  • 方法:対象は健常成人10名.tDCSは一次運動野を標的として1mAの刺激強度で5分間与えた.電気刺激は感覚閾値の2倍の刺激強度で正中神経に5分間与えた.その際の刺激周波数は5Hz、パルス幅は500μsecとした.TMSおよび誘発筋電図による評価は以下の課題前,直後,10分後,20分後,30分後,60分後に実施した;①anodal tDCS+電気刺激,②cathodal tDCS+電気刺激,③anodal tDCSのみ,④cathodal tDCSのみ,⑤sham tDCS+電気刺激.評価項目は安静時および運動時閾値,MEP振幅値,SICI,ICF,silent period,SAI,LAI,H反射とした(SAI, LAI, H反射は課題後30分まで計測).
  • 結果:anodal tDCS+電気刺激では課題直後から60分後までMEP振幅値が有意に増大し,課題直後から30分後までH反射の有意な増大が認められた.anodal tDCSのみでは課題直後にMEP振幅値が有意に増大したが課題後10分以降はベースラインまで戻る傾向が認められた.cathodal tDCS+電気刺激では介入直後から60分後までMEP振幅値が有意に減少し,課題直後から30分後までH反射が有意に増大した.cathodal tDCSのみでは介入直後にMEP振幅値が減少する傾向があったが,10分後以降はベースラインまで戻る傾向が認められた.Sham tDCS+電気刺激では課題直後から30分後までH反射の有意な増大が認められた.
  • 結論:tDCS+電気刺激は大脳皮質と脊髄の両方に効果をもたらす可能性が示唆された.