12/22 勉強会

【研究報告】

担当:高橋

タイトル:変形性関節症に対するラパマイシン投与が軟骨細胞アポトーシスに及ぼす影響

要旨

  • 背景:変形性関節症(OA)は,遺伝・加齢・性別・肥満・メカニカルストレスなど複数の要因により発症すると考えられている.メカニカルストレスによるOA発症のメカニズムとして,炎症性サイトカインにより低酸素誘導因子(HIF-2α)が発現し,HIF-2αがFasの転写因子となることで軟骨細胞死のカスケードが開かれる.一方,HIF-2αの発現を制御する別の経路として,mTORも関与していることが示唆されている.
  • 目的:OAモデルラット(DMMモデルラット)を用いて,mTOR阻害剤であるラパマイシン投与が軟骨細胞アポトーシスに及ぼす影響を明らかにすることである.
  • 方法:Wistar系ラット雄性13週齢12匹の右膝関節に対しDMM処置,左膝関節に対してSHAM処置を実施した.各6匹をDMM群およびDMM+ラパマイシン投与群(1mg/kg/day)に無作為に振り分け,術後4週目にサンプリングを実施する予定である.
  • 今後の予定:現在,ラパマイシンを投与中である.解析項目は①Mankinスコア(OA重症度評価),②アポトーシス細胞率,③mTOR発現,④HIF-2α発現,⑤Fas発現などについて,一般染色および免疫蛍光染色などを用いて解析予定である.

 

【文献抄読】

担当:齊藤

タイトル:The effects of electromyography-controlled functional electrical stimulation on upper extremity function and cortical perfusion in stroke patients.

要旨

  • 目的:筋電制御電気刺激装置(EMG-FES)が脳卒中患者の運動機能および脳活動に及ぼす影響を明らかにすること.
  • 方法:対象は慢性期脳卒中患者16名.EMG-FESは手・指関節伸展筋群に貼付した電極を通じて筋電の検出・通電を実施した.課題はEMG-FESを使用して物体へのリーチ,把持,移動,リリースとし,それを週に1~2回,5ヶ月間実施した.臨床評価として,課題前後に最大グリップ力,SIAS-motor,Fugl-Meyer assessment(FM)を実施した.NIRS評価として,①随意運動のみ,②EMG-FES,③通常の電気刺激のみを実施しているときの両側一次感覚運動野領域(SMC)のOxy-Hbを課題後に計測した.
  • 結果:5ヶ月間のEMG-FESは最大グリップ力,SIAS-motor,FMともに有意に改善させた.EMG-FESは随意運動のみと通常の電気刺激のみと比較して,障害側SMCのOxy-Hbを有意に増大させた.
  • 結論:EMG-FESは随意運動や電気刺激を単独で実施するよりも高い効果が期待できる治療方法である.