1/5 勉強会

【研究報告】

担当:稲井

タイトル:足関節部の力の方向が膝関節剪断力におよぼす影響 ー数学シミュレーション研究ー

要旨

  • 目的:数学シミュレーションを用いて,足関節部の力の方向が膝関節剪断力におよぼす影響をあきらかにすること.
  • 方法:膝関節剪断力のふるまいを検討するために,筋骨格モデル(Horsman et al., 2007),機能別実効筋モデル(大島ら,2001),およびHill modelを用いた.足関節部の力の方向は,「股関節から膝関節へ向かう方向(大腿長軸方向)」と「膝関節から足関節へ向かう方向(下腿長軸方向)」の範囲内で,操作された.SCILABを用いて,すべてのモデルを構築し,シミュレーションを処理した.
  • 結果:足関節部の力の方向が,「大腿長軸方向」と「股関節から足関節へ向かう方向」の間に位置するときよりも,「股関節から足関節へ向かう方向」と「下腿長軸方向」の間に位置するとき,膝関節前方剪断力は低い値を示した.
  • 結論:数学シミュレーションを用いて,足関節部の力の方向が膝関節剪断力におよぼす影響をあきらかにすることができた.ACL再建術後患者に対するCKCトレーニングにおいて,本研究の知見を応用できる可能性がある.

 

【文献抄読】

担当:菅原

タイトル:Similar scaling of contralateral and ipsilateral cortical responses during graded unimanual force generation

要旨

  • 目的:一側でのHandgrip task中における両側一次運動感覚野(SM1)および前頭前野(PFC)の反応を計測すること.
  • 方法:右利き健常成人15名を対象とし,fNIRSを用いて右側でのHandgrip課題中の一次運動感覚野およびの脳血流動態を計測した.Handgripの強度は5 %,10 %,20 %,30 %,40 %,50 %MVCとし,各強度の試行はランダムに行い,それぞれを3セット繰り返して行った.運動課題実施時には左右浅指屈筋より筋電図を導出した.
  • 結果:1)筋電図反応:右Handgripが10 %MVC以上で安静時と比較し有意に筋電図反応が増加した.一方,左浅指屈筋(安静側)では50 %MVCにおいて,0 %-20 %MVC時と比較し有意に増加した.2)大脳皮質領域の脳血流動態変化:SM1に関しては,左右半球に関わらず30-50 %MVCが5 %MVCと比較し有意にO2Hb(oxy-Hb)が増加した.また,40 %MVC以上においてHHB(deoxy-Hb)が有意に増加した.PFCに関しては,SM1と同様に30-50 %MVCが5 %MVCと比較し有意にO2Hb(oxy-Hb)が増加し,40 %MVC以上においてHHB(deoxy-Hb)が有意に増加した.PFCでは50 %MVCにおいて右PFCが左PFCに比べ有意に変化する結果が得られた.
  • 結論:本研究により,一側運動時に左右SM1とPFCの同期した活動が得られることが明らかとなった.SM1の反応は(1)同側皮質脊髄路と(2)対側からの半球間抑制による神経活動を反映したものであると考えられた.右PFCは,50 %MVCという高い運動強度を持続する際に,注意を向けることが要求されたために左PFCに比べて有意に高い反応を示した.