3/30 勉強会

【研究報告】

担当:山代

タイトル:左右対称運動が体性感覚誘発脳磁場に及ぼす影響

要旨

  • 目的:先行研究において,運動中に体性感覚誘発磁場が調節されることが報告されている.我々は左右の指を対称的に動かす場合,動かしやすさを覚える.一方,非対称の運動を行う場合は動かしにくさを覚える.これらの運動のしやすさに関わる脳内機序を明らかにすることを目的とした.
  • 方法:9名の成人男性を対象とし,脳磁図を用いて体性感覚誘発磁場を記録した.条件は安静,対称運動,非対称運動,片手運動の4条件とし,1~2秒に1回のペースで運動を行った.対称運動では左右の示指を同時伸展,非対称運動では右示指伸展と左小指伸展を同時に行った.片手運動は右示指伸展のみとした.電気刺激は,リング電極を用いて右の示指に呈示した.刺激間隔時間は5秒とした.
  • 結果:対称運動を行った場合,その他の条件と比較して,刺激後100ミリ秒ほどで記録される対側一次体性感覚野および対側二次体性感覚野の活動が増大する傾向が認められた.
  • 結論:本研究結果から,対称運動の行い易さには一次体性感覚野および二次体性感覚野の活動増大が関与している可能性が示唆された.

 

【文献抄読】

担当:齊藤

タイトル:Intensity sensitive modulation effect of theta burst form of median nerve stimulation on monosynaptic spinal reflex

要旨

  • 目的:シータバースト刺激法を用いた正中神経電気刺激(EcTBS)がHmax/Mmax,相反抑制,運動誘発電位(MEP),短間隔皮質内抑制(SICI),皮質内促通(ICF),運動後抑制(PAD)に及ぼす影響を明らかにすること.
  • 方法:対象は健常成人11名.EcTBSの刺激時間は40秒(600パルス;EcTBS600)と80秒(1200パルス:EcTBS1200)の2条件とした.EcTBS600の刺激強度は80% H-reflex threshold(以下,threshold)と110% thresholdの2条件,EcTBS1200は80% thresholdと90% thresholdの2条件とした.評価として,刺激前後,15,30,45,60分後にHmax/Mmax,刺激前と刺激後30分に相反抑制(RI)とPAD,MEP,SICI,ICFを計測した.
  • 結果:EcTBS600&1200(90%threshold)はHmax/Mmaxを減少させ,EcTBS600(110%threshold)は増大させる.MEP,SICI,ICF,PAD,RIに著明な変化は認められなかった.
  • 結論:EcTBSは単シナプス反射回路のシナプス伝達効率に作用して,その刺激強度に応じて興奮性にも抑制性にも作用する.