4/27 勉強会

【研究報告】

担当:髙橋

タイトル:変形性膝関節症に対するラパマイシン投与が軟骨アポトーシスに及ぼす影響

要旨

  • 目的:変形性膝関節症(以下,OA)発生のメカニズムには,低酸素誘導因子(HIF-2α)が調節因子となり,軟骨破壊・血管誘導やアポトーシスなどを惹起することが報告されている.今回,OAモデルラットを用い,HIF-2αを上流で制御するタンパクとして,m-TORの関与があるかについて検証した.
  • 方法:Wistar系ラット(n=8)を対象に,右膝関節にDMMオペ(OA側),左膝関節にShamオペ(sham-control)を実施した.m-TORによる制御の検討として,阻害剤であるラパマイシン(1mg/kg/day)を腹腔内に4週間投与した.DMM群(n=6)およびラパマイシン投与群(n=2)はサンプリング後,サフラニンO染色を施し組織学的検討に供した.
  • 結果:組織学的所見の結果では,DMM群の全ての右関節にOAの発症を認めたが,Sham側およびラパマイシン投与群の右膝関節には,OAの所見は認められなかった.Cell densityおよびCartilage thicknessについては,DMM群が有意に低値を示した.一方,OA重症度の指標であるOARISスコアは,DMM群が有意に高値を示した.
  • 考察:ラパマイシン投与により,m-TORがOA発症に関与することが明らかとなった.今後は,HIF-2αやその下流にあるタンパク発現などの検討から,m-TORの役割を分子レベルで明らかしていく必要がある.

 

【文献抄読】

担当:横山

タイトル:Effect of stride length on overarm throwing delivery: A linear momentum response

要旨

  • 目的:ストライド長を変化させることによって,全身(TB)および投球上肢(TA)の線形運動量の変化を確認すること.また,MCR(TA/TB=MCR)を求め投球上肢の貢献度を確認した.
  • 方法:対象は熟練したピッチャー19名.被験者の通常のストライド長±25%での投球を行った.そして,TBおよりTA線形運動量,MCRの算出を行った.
  • 結果:ストライド長を変化させることで,特に前方方向へのTB/TAの線形運動量の変化が認められた.また,ストライド長を延長させた場合,全身線形運動量がより下方方向へ偏移していることが認められた.
  • 結論:短縮したストライド長(-25%)では,上肢の前方方向への運動量増加が認められ,上肢への障害を引き起こす可能性が示唆された.また,体幹位置の上昇はバッターの打撃確率を向上させ,投手においてパフォーマンスレベルが低下する恐れが示唆された.