6/8 勉強会

【研究報告】

担当:佐藤

タイトル:事前浸水がPAS25に及ぼす影響

要旨

  • 目的:非侵襲的脳刺激による神経可塑性は、事前の神経活動によって変化する。本研究では、浸水によって生じるコリン作動性ニューロンの活動低下がその後の神経可塑性を変化させるか否かを検証した。
  • 方法:健常成人男女10名を対象に、二つの条件(controlおよび事前浸水;priming water immersion、以下priming WI)でpaired associative stimulation (PAS)を実施し、経頭蓋磁気刺激(TMS)を用いて、安静時運動閾値(RMT)および運動時運動閾値(AMT)の変化を観察した。PASには、右正中神経電気刺激と対側一次運動野TMSを25msの刺激間隔で15分間(0.2Hz)、合計180回行うプロトコル(PAS25)を採用した。TMSによる評価は、baseline、PAS直前・直後、15分後、30分後に行った。Primingセッションは、15分間とし、浸水条件は34℃±1℃、腋下浸水とした。
  • 結果:その結果、priming WIがPAS25によって生じる運動誘発電位の増大を強化する傾向が認められた。
  • 結論:これらの結果は、priming WIが一次運動野の可塑性を変化させる可能性を示している。

 

【文献抄読】

担当:小丹

タイトル:More conditioning stimuli enhance synaptic plasticity in the human spinal cord

要旨

  • 目的:本研究の目的はPaired corticospinal–motoneuronal stimulation (PCMS)が脊髄の興奮性に及ぼす影響について検討することである.
  • 方法:経頭蓋磁気刺激と末梢神経電気刺激の対刺激であるPCMSは,磁気刺激を一次運動野,末梢神経電気刺激を腕神経叢に対してそれぞれ行った.PCMSの刺激回数および刺激パターンの違いが脊髄の興奮性に与える影響について検討するため,①50 paired stimuli;50-PCMS,②100 paired stimuli;100-PCMS single,③50 separated by 15 min;100-PCMS spaced,④50-TMSの4条件で比較した.
  • 結果:頸髄延髄接合部に電気刺激を行った際に得られる誘発電位(CMEP)は,100-PCMS single,100-PCMS spaced条件において,介入前に対し介入後で有意に増大し,60分間持続した.一方で50-PCMS,50-TMS条件では介入前後でCMEPに変化は認められなかった.
  • 結論:100-PCMSは脊髄の興奮性に影響を与えることが明らかとなった.