7/13 勉強会

【研究報告】

担当:小丹

タイトル:短時間末梢神経電気刺激が皮質脊髄路の興奮性に与える影響

要旨

  • 目的:一次運動野可塑的変化誘導法を検討するため,5秒間の末梢神経電気刺激が一次運動野の興奮性に与える影響を明らかにすることを目的とした.
  • 方法:対象は健常成人15名であった.介入課題として右尺骨神経に対して110 %運動閾値強度で50 Hzまたは200 Hzの電気刺激をそれぞれ5秒間与えた.介入60秒前から介入終了120秒後までの運動誘発電位(MEP)およびF-wavesを右第一背側骨間筋より計測した.
  • 結果:200 Hzの末梢神経電気刺激を5秒間与えることにより,介入直後から30秒後までF波が有意に増大し,介入終了90秒後までMEP振幅値が有意に増大した.一方,50 Hzの電気刺激を5秒間与える介入ではMEPの有意な変化は認められなかった.
  • 結論:5秒間の末梢神経電気刺激(200 Hz)は一次運動野の興奮性を増大させることが示唆された.

 

【文献抄読】

担当:齊藤

タイトル:Interaction between different interneuron networks involved in human associative plasticity

要旨

  • 目的:ISI=21.5msとISI=25msをランダムに組み合わせたPASの効果を経頭蓋磁気刺激法を用いて検証すること.
  • 方法:健常成人24名を対象に,paired associative stimulation (PAS)を実施し,経頭蓋磁気刺激法による運動誘発電位(MEP)の変化を観察した.PASは右正中神経への電気刺激と対側への経頭蓋磁気刺激の組み合わせとした.実験1では2つの刺激を21.5ms(PAS21.5180p)および25ms(PAS25180p)の刺激間隔(ISI)で180回実施した.実験2では21.5msと25msのISIをランダムに組み合わせて,360回実施した(PASvar360p).また,PAS var360pに併せて小脳へのanodal tDCSを実施した(PASvar360p+DC).実験3ではISIが21.5msおよび25msの2つの刺激をランダムな間隔で180回実施した(varPAS21.5180p,varPAS25180p)実験4では実験2の刺激回数を180回とした(PASvar180p).MEP計測はPAS前後,15分後,30分後に行った.
  • 結果:PASvar180p およびPASvar360pはMEPを変化しないが,PASvar360p+DCではPAS21.5180pおよびPAS25180pと同程度のMEP増大を誘導した.また,varPAS21.5180pとvarPAS25180pはPAS21.5180pおよびPAS25180pと同程度にMEPを増大した.
  • 結論:PAS21.5とPAS25には互いの効果を打ち消す作用がある可能性が示唆された.