9/28 勉強会

【研究報告】

担当:玉越

タイトル:脳出血後のスキルトレーニングが運動機能回復およびAMPA受容体サブユニットに与える影響

要旨

  • 目的:本研究は脳出血後のスキルトレーニングが運動機能回復および中枢神経系に及ぼす影響について検討した.
  • 方法:コラゲナーゼ注入法により左線条体出血ラットを作製した.脳出血後に運動しない群,スキルトレーニングを行う群,SHAM群を設定した.スキルトレーニングを行う群には,脳出血後4日目から28日目までアクロバティック課題を実施した.前肢の感覚運機能を経時的に評価した.トレーニング終了後に脳を採取し,リアルタイムPCR法を用いて脳出血後14日目および29日目における感覚運動野および線条体のAMPA受容体サブユニットのmRNA発現量を解析した.
  • 結果:脳出血後にスキルトレーニングを行った群は前肢の感覚運動機能を有意に改善させ,脳出血後29日目における傷害側感覚運動野のAMPA受容体サブユニットのmRNA発現量を有意に増加させた.また,脳出血後14日目において線条体のAMPA受容体サブユニット(GluR3,4)が増加傾向を示した.
  • 結論:脳出血後のスキルトレーニングによる前肢感覚運動機能回復は,傷害側のAMPA受容体サブユニットのmRNA発現量が関与していると考えられる.

 

【文献抄読】

担当:高橋

タイトル:Preventive effects of hyaluronan from deterioration of gait parameters in surgically induced mice osteoarthritic knee model

要旨

  • 目的:OA治療の一つにヒアルロン酸の関節内注射がある.本研究では,OAモデルマウスを用い,低分子および高分子ヒアルロン酸注射による効果検証を,歩行および組織学的観点から明らかにすることである.
  • 方法:60匹の雄性マウスをSham群(Lt処置,n=15),DMM群(Lt処置,n=45)に振り分けた.さらに,DMM群はSaline投与群(n=15),HA800-kDa群(n=15),HA6000-kDa群(n=15)にグルーピングした.歩行分析にはCatWalkを使用し,組織学的検討はOARSIスコアで経時的に評価した.
  • 結果:術後12週目以降のSaline群においてのみ,疼痛回避歩行を認めた.一方,DMM群の組織学的検討では,低分子/高分子ヒアルロン酸投与の有無に関わらず,関節軟骨の変性が8週目以降から漸次増悪した.
  • 結論:DMMモデルマウスでは,ヒアルロン酸投与による関節軟骨変性を防止する効果は認められなかった.一方,疼痛回避歩行を抑制したことから,ヒアルロン酸には疼痛または何かしらの機能制限に対し効果があるものと考えられる.