大野果穂さん(健康スポーツ学分野1年)および佐藤大輔講師が第66回日本体育学会にて若手研究優秀賞を受賞しました

8月25日(火)~27日(木)に,国士舘大学で第66回日本体育学会が開催されました.

大学院生の大野果穂さん(健康スポーツ学分野1年;丸山敦夫研究室)および佐藤大輔講師が若手研究優秀賞を受賞しました。

受賞演題は下記の通りです。

タイトル:弱い単発経頭蓋磁気刺激が最大握力発揮時の筋力増強を引き起こすか?

演者:大野果穂、倉部勇哉、中澤翔、山代幸哉、佐藤大輔、丸山敦夫

要旨

  • 目的:筋力増強には筋肥大と神経活性の増大が重要な要因である。経頭蓋磁気刺激法(TMS)は脳神経系の興奮性を評価でき、筋収縮時に単発TMSを付加するとtwitchを起こし瞬間筋力を増加させる現象を起こす。本研究は、弱い単発TMSを伴う最大握力発揮による3日間の最大握力トレーニングを行い最大握力が増大するかおよび二連発TMSによる運動野皮質内抑制(SICI)が変化するかを検討した。
  • 方法:被験者は健常成人で実験群男女7名、no-TMSの対象群男女7名である。単発TMS(100%安静運動閾値強度)によって右橈手根屈筋で誘発筋電図が記録された。刺激時間は2秒間の最大握力発揮時の1秒後である。1日のトレーニングは4回の最大握力発揮と10秒間の休憩を1セットとし、セット休憩を5分間で5セット実施した。二連発TMSは3日間ともトレーニング前とセット終了直後と5分後で測定した。
  • 結果:実験群の握力前値が3日目で6.6%%増加し、SICI後値は前値と比較し2日目から有意に低下した。対象群では共に変化しなかった。
  • 結論:3日間の最大握力発揮時の弱い単発TMSは最大握力を高め、運動野内の興奮性変化を起こす可能性が示唆された。

 

タイトル:事前浸水が一次運動野の神経可塑性に及ぼす影響

演者:佐藤大輔、山代幸哉、山﨑雄大、下門洋文、馬場康博、下山好充、丸山敦夫

要旨

  • 目的:非侵襲的脳刺激による神経可塑性は、事前の神経活動によって変化する。本研究では、浸水によって生じるコリン作動性ニューロンの活動低下がその後の神経可塑性を変化させるか否かを検証した。
  • 方法:健常成人男女12名を対象に、二つの条件(controlおよび事前浸水;priming water immersion、以下priming WI)でpaired associative stimulation (PAS)を実施し、経頭蓋磁気刺激(TMS)を用いて、安静時運動閾値(RMT)および運動時運動閾値(AMT)の変化を観察した。PASには、右正中神経電気刺激と対側一次運動野TMSを25msの刺激間隔で15分間(0.2Hz)、合計180回行うプロトコル(PAS25)を採用した。TMSによる評価は、baseline、PAS直前・直後、15分後、30分後に行った。Primingセッションは、15分間とし、浸水条件は33℃±1℃、腋下浸水とした。
  • 結果:priming WIがPAS25によって生じる運動誘発電位の増大を強化する傾向が認められた。
  • 結論:priming WIが一次運動野の可塑性を変化させる可能性が示された。