11/2 日本臨床神経生理学会予演会②

【日本臨床神経生理学会予演会②

担当:佐藤

タイトル:事前浸水がPaired Associative Stimulationによる神経可塑性に及ぼす影響

要旨

  • 目的:非侵襲的脳刺激による神経可塑性は、事前の神経活動によって変化する。本研究では、浸水によって生じるコリン作動性ニューロンの活動低下がその後の神経可塑性を変化させるか否かを検証した。
  • 方法:健常成人男女10名を対象に、二つのpriming条件(primingなし/priming water immersion)でPASを実施し、経頭蓋磁気刺激(TMS)を用いて、一次運動野皮質脊髄路興奮性の変化を観察した。PASには、右正中神経電気刺激と対側一次運動野TMSを25msの刺激間隔で15分間(0.2Hz)、合計180回行うプロトコル(PAS25)を採用した。TMSによる評価は、baseline、PAS直後、15分後、30分後に行った。Primingセッションは、15分間とし、浸水条件は33℃±1℃、腋下浸水とした。
  • 結果:事前浸水により、PASによるLTP-like効果が高まる傾向が認められた。特に、多くの被験者において、LTP-like効果の持続時間の延長が確認された。
  • 結論:15分間の浸水はPASによるLTP-like効果を延長させる可能性が示唆された。

 

担当:佐々木

タイトル:混合神経および指神経に対する電気刺激が皮質脊髄路の興奮性に与える影響

要旨

  • 目的:本研究の目的は,混合神経(正中神経)および指神経(正中神経)に対する末梢神経電気刺激が皮質脊髄路の興奮性に及ぼす影響を明らかにすることである.
  • 方法:対象は同意の得られた健常成人14名であった.電気刺激部位は右手関節部での正中神経または右示指先端での固有指神経(正中神経)とした.刺激強度は手関節での正中神経刺激時の運動閾値強度の110 %とし,30 Hzの刺激頻度で4秒間通電し6秒停止するduty cycleで20分間行った.各条件における介入前と介入終了5分後および15分後に運動誘発電位(MEP)を右短母指外転筋から記録した.
  • 結果:手関節部での正中神経刺激では介入終了後にMEP振幅値が有意に増加し(p<0.05),示指先端刺激ではMEP振幅値が有意に減少した(p<0.05).
  • 結論:混合神経と指神経に対する電気刺激は,皮質脊髄路の興奮性に対して異なる影響を及ぼすことが示唆された.