2/1 勉強会

【研究報告】

担当:佐々木

タイトル:末梢神経電気刺激による運動の有無が一次運動野の興奮性に及ぼす影響

要旨

  • 目的:本研究の目的は末梢神経電気刺激(PES)を運動が誘発する正中神経(混合神経)または運動を誘発しない正中神経(感覚神経)に行うことで,運動の有無が一次運動野(M1)の興奮性に及ぼす影響を明らかにすることであった.
  • 方法:対象は健常成人26名であった.PESによる介入は,右手関節部での正中神経に運動閾値の110%で電気刺激をする条件(条件1),条件1と同強度で右示指先端(正中神経)を電気刺激する条件(条件2),右手関節部での正中神経に運動閾値の90%で電気刺激をする条件(条件3)の全3条件であった.これらの3条件は30 Hzの刺激頻度で4秒間通電し6秒停止するduty cycleで20分間行われた.実験1では15名の被験者が参加し,各条件の介入前と介入終了5分後(post 5)および15分後(post 15)に運動誘発電位(MEP)を右短母指外転筋(APB)から記録した.実験2では15名の被験者が参加し,各条件の介入前と介入終了5分後(post 5)および15分後(post 15)にM波とF波を右APBから記録した.
  • 結果:実験1の条件1では,介入終了後のpost 5およびpost 15でMEP振幅値が有意に増加した(P < 0.05).一方,条件2,条件3では介入終了後のpost 5およびpost 15でMEP振幅値が有意に低下した(P < 0.05).実験2では,各条件においてM波振幅値,F波振幅値,F/M比,F波出現頻度の有意な変化は認められなかった(P > 0.05).
  • 結論:PESによる運動の有無は,M1の興奮性に異なる影響を及ぼすことが示唆された.

 

【文献抄読】

担当:金谷

タイトル:Age-related changes in distance from center of mass to center of pressure during one-leg standing

要旨

  • 目的:片脚立位時のCOP(center of pressure)とCOM(center of mass)の距離について年齢による影響を明らかにする.
  • 方法:健常成人(11名)と健常高齢者(11名)を対象とした.COPとCOMの関連性に基づいて,片脚立位を3つのphase(accelerated, decelerated, steady)に分けた.
  • 結果:高齢者群は若年群と比較して,COPとCOMの距離はaccelerated phaseで有意に低値となり, decelerated, steady phaseで有意に高値となった.さらに各phaseのCOPとCOMの距離と片脚立位時間には相関関係が認められた.
  • 結論:高齢者において脚挙上後に伴って変位したCOMへの慣性力が大きい被験者ほど片脚立位時間が短い.