2/22 勉強会

【文献抄読】

担当:犬飼

タイトル:一次運動野を興奮させる最適な経頭蓋直流電流刺激の解明

  • 目的:脳卒中片麻痺患者の運動機能を改善させる方法として,経頭蓋直流刺激(tDCS)が注目されている.陽極電極を一次運動野に貼布するAnodal tDCSでは,介入後にMEPが上昇することが報告されている.近年,Anodal tDCS同様に,一次運動野の興奮性を増加させる方法として,経頭蓋ランダムノイズ刺激(tRNS),経頭蓋交流電流刺激(tACS)という新たな手法が報告されている.しかし,現在tRNS,tACSの報告は少ないのが現状である.本研究では,tRNS,tACSがAnodal tDCSと同様に一次運動野の興奮性を増加させるのか否かを検証した.
  • 方法:健常大学生7名を対象にtDCS(Anodal刺激),tRNS(0.1-640Hz),tACS(140Hz)をそれぞれ1.0mAの刺激強度で,10分間行った前後のMEPの変化を比較した.MEPは経頭蓋磁気刺激(TMS)を左側一次運動野手指領域に与え,右FDIから記録した.
  • 結果:tDCSでは刺激前に比べ,刺激後20分で有意にMEPの増加を認めた(p<0.05).tRNSでは刺激前に比べ刺激終了直後,10分後,15分後,20分後で有意にMEPの増加を認めた(p<0.01).tACSでは刺激前に比べ終了後10分,20分後で有意なMEPの増加を認めた(p<0.01).
  • 結論:今回の結果より,tDCS,tRNS,tACSのいずれの刺激においても皮質興奮性が増加することが確認された.今後,被験者数を増やし詳細な検証を行っていく.

 

【文献抄読】

担当:玉越

タイトル:Causal Link between the Cortico-Rubral Pathway and Functional Recovery through Forced Impaired Limb Use in Rats with Stroke

  • 要旨:リハビリテーションは損傷した中枢神経系において可塑的変化を誘導することが知られている。しかし、機能回復と因果関係は明らかでない。本研究は内包出血モデルラットにおける機能回復に前肢強制使用(FLU)が与える影響について検証した。前肢強制使用群は前肢の協調運動機能を回復促進させ、同側運動野における前肢領域の拡大が認められた。さらに再編成した前肢領域から赤核への軸索が伸長していることが分かった。皮質赤核路とFLUによる機能回復との因果関係について、神経回路を選択的かつ可逆的に遮断できるウィルスベクター二重感染法を用いて検証した。皮質赤核路の遮断によって、FLUによる機能回復は有意に抑制された。これらの結果から内包出血後のFLUによる機能回復は皮質赤核路が関与していることが明らかとなった。