6/13 勉強会

【研究報告】

担当:小島

タイトル:機械的触覚刺激による介入が皮質脊髄路興奮性に及ぼす影響

要旨

  • 目的:本研究では,点字様の刺激ピンを用いて,間欠的な機械的触覚刺激による介入が皮質脊髄路興奮性に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした.
  • 方法:対象は健常成人14名であった.皮質脊髄路の興奮性指標には,運動誘発電位(MEP)を用い,右第一背側骨間筋より記録した.機械的触覚刺激部位は右示指の指腹とし,刺激介入条件は3条件とした.①単純刺激条件は,24本の刺激ピンを同時に突出させる条件,②複雑刺激条件は,縦6本の刺激ピンが左右に移動する条件,③擦刺激条件は,縦6本の刺激ピンを固定し,機械的制御にて刺激プローブが示指の指腹を左右に移動する条件とした.なお,各刺激介入は,20分間(on / off時間:1秒 / 5秒)実施し,介入前,介入直後,介入5分後,介入10分後,介入15分後,介入20分後に15波形のMEPを記録した.
  • 結果:単純刺激条件では,MEP振幅値の有意な低下が認められた一方,複雑および擦刺激条件では,MEP振幅値の有意な増大が認められた.
  • 結論:機械的触覚刺激は皮質脊髄路の興奮性を変動し,その変動は,触覚刺激方法に依存することが示唆された.今後は,機械的触覚刺激介入による皮質脊髄路興奮性の変動因子を明らかにするため研究を進める.

 

【文献抄読】

担当:齊藤

タイトル:Transcranial direct current stimulation over the primary and secondary somatosensory cortices transiently improves tactile spatial discrimination in stroke patients.

要旨

  • 目的:一次体性感覚野(S1)および二次体性感覚野(S2)への経頭蓋直流刺激(tDCS)が脳卒中者の触覚方位弁別能に及ぼす影響を検証すること.
  • 方法:対象は脳卒中者8名とした.tDCSは陽極電極を損傷側のS1もしくはS2,陰極電極を非損傷側のS1もしくはS2に配置し,2mAの刺激強度で15分間実施した.触覚方位弁別課題はtDCSの開始前とtDCSを行っている最中,tDCS終了後10分に実施し,示指にドーム状の機器を押し当て,その縞が縦か横かを判別することで評価した.
  • 結果:S1およびS2へのtDCSはいずれも麻痺側の触覚方位弁別課題の成績を向上させた.
  • 結論:S1およびS2へのtDCSは脳卒中者の感覚機能を向上させる有用な治療方法である.