12/5 勉強会

【研究報告】

担当:山﨑

タイトル:低強度運動が一次運動野の抑制・興奮機能に及ぼす影響

  • 背景:近年、運動が神経可塑性や運動学習を促進させることから、リハビリテーションへの応用も期待されている.しかし、これまでは中高強度運動による検証が多く、低強度運動での知見を増やしていくことが必要である.
  • 目的:低強度運動が一次運動野の抑制・興奮機能に影響を与えるか否かを明らかにすることとした.
  • 方法:健常成人11名を対象にVO2peakの30%で30分のペダリング運動を行う運動試技と座位安静によるコントロール試技を実施した.介入前、直後、20、40、60分後に経頭蓋磁気刺激(TMS)を用いて皮質抑制・興奮機能の変化を検証した.実験1では皮質抑制機能の評価として、短間隔皮質内抑制(SICI)、長間隔皮質内抑制(LICI)、短潜時求心性抑制(SAI)を実施した.実験2では、皮質興奮機能の評価として皮質内促通(ICF)、短間隔皮質内促通(SICF)を実施した.
  • 結果:実験1より、SAIはベースラインと比較して低強度運動20、40分後に有意に減弱した.一方、SICI・LICIは有意な変化は見られなかった.実験2より、運動20、40分後においてICFはコントロール群と比較して運動試技で有意に低値を示した.
  • 結論:30分の低強度運動はSAIとICFの減弱をもたらすことが示された.

 

【文献抄読】

担当:森下

タイトル:Effects of physical exercise on survival after allogeneic stem cell transplantation

  • 目的:造血幹細胞移植後2年以内の死亡率を運動療法群とコントロール群に分け、ランダム化比較試験にて運動療法の効果を検討している
  • 方法:前向きの多施設共同ランダム化比較研究。運動療法群50名、コントロール群53名の計103名を対象としている。両群間で死亡率の差を検討している
  • 結果:2年間の間で、103名中44患者(42.8%)死亡した。内訳は入院期間中23患者(運動療法群11患者、コントロール群12患者)、退院後は21患者(運動療法群6患者、コントロール群15患者)が死亡した。退院後の死亡率は運動療法群はコントロール群に比べて有意に低かった(p = 0.086).
  • 考察:運動療法群は運動による抗炎症作用、造血細胞の増加により死亡率が低下した可能性が考えられる。