4/3 勉強会

【研究報告】

担当:下門

タイトル:水泳中の流れ場の可視化

  • 背景:水泳では不可視な流体力が手足に働くことで推進しており、近年この流体の振る舞いが流体力の大きさに重要な役割を担っていることが分かってきた。特に水中ドルフィンキックは渦の発生によって推力を得ており、この推力を推定するためには流体の流れ場を三次元的に可視化する必要がある。
  • 目的:水中ドルフィンキック中の足部後方の流れ場を三次元的に可視化する。
  • 方法:1名の泳者を対象に、粒子画像計測法(Particle Image Velocimetry method: PIV法)を用いて水中ドルフィンキック中の泳者の足部後方の水平面9断面の流れ場を得た。また同時にモーションキャプチャシステムを用いて動作分析を行った。泳者の空間座標系に格子を作成し、流れ場を当てはめて補間することで流れ場を三次元化した。
  • 結果:三次元化された流れ場の画像を得ることができたが、足部が映り込んだ際に誤ベクトルが計算されるなど、課題が残った。渦度の分布から、けり下ろし動作後にジェット流が発生する様子や、けり上げ動作後に渦対が発生する様子が観察された。
  • 結論:水中ドルフィンキック中の泳者後方の流れ場を三次元化することができたが、精度や計測方法に課題が残り、これらを解決することで推進メカニズムが解明できる。

 

【文献抄読】

担当:山﨑

タイトル:Changes in corticospinal excitability during consolidation predict acute exercise-induced off-line gains in procedural memory

出典:Ostadan et al. Neurobiol Learn Mem 2016;136:196-203. doi: 10.1016/j.nlm.2016.10.009.

  • 目的:運動学習後の高強度間欠的運動による皮質脊髄路興奮性の増大が運動学習のofflineでの獲得と関連するか否か明らかにすること
  • 方法:健常成人を対象にserial reaction time task(SRTT)による運動学習を行った.運動学習を行った後、運動群は高強度間欠的運動を、コントロール群は座位安静を実施した.運動学習から8時間後に再度SRTTを行い成績を比較した.また、学習前と運動介入後にTMSを用いて皮質脊髄路興奮性の評価を評価した.
  • 結果:SRTTのofflineでの学習量は運動群とコントロール群で有意な差は見られなかった.一方、高強度間欠的運動後にはMEPの増大が見られ、運動によるMEPの増大とofflineでの学習量には正の相関が見られた.
  • 結論:高強度間欠的運動による皮質脊髄路興奮性の増大は運動学習のofflineでの獲得量と関連することが示された.