6/5 勉強会

【研究報告】

担当:宮口

タイトル:tACS介入中の運動遂行機能の変化

  • 目的:tACSを用いて一次運動野領域および小脳皮質領域をγ帯域の周波数で同時刺激することにより,刺激中の運動遂行機能が向上するかどうかを明らかにする.
  • 方法:対象は健常成人15名であった.tACSの刺激強度は1.0 mAとし,刺激周波数は70Hzとした.刺激時間は30秒間とした.刺激条件は,①左一次運動野領域と右頬部を刺激する条件,②右小脳半球と右頬部を刺激する条件,③左一次運動野領域と右小脳半球を刺激する条件(M1-小脳条件),④疑似刺激条件の4条件とした.各条件介入中に右示指外転運動による視覚追従課題の成績を評価した.
  • 結果:M1-小脳条件と疑似刺激条件における視覚追従課題の成績に負の相関関係が認められた(p=0.025,r=-0.576).
  • 結論:運動遂行機能が低い被験者に対して,一次運動野領域および小脳皮質領域をγ帯域の周波数で同時刺激することにより,運動遂行機能が向上する可能性が示唆された.

【文献抄読】

担当:小島

タイトル:Motor skill Acquisition and Retention after somatosensory electrical stimulation in health humans

出典:Front Hum Neurosci. 2016 Mar 16;10:115. doi: 10.3389/fnhum.2016.00115. eCollection 2016.

  • 目的:本研究の目的は,電気刺激による介入が,運動スキルの獲得と保持に及ぼす影響を明らかにすることとした.
  • 方法:健常成人40名を対象に行った.電気刺激介入は,右正中神経および橈骨神経を対象とし,0.5秒間に5回の刺激(1 msの矩形波)を0.5秒on/0.5秒offの設定で行った.刺激時間は,20分,40分,60分,shamの4条件とし,各条件10名に対して介入を行った.評価は,介入前,介入直後,介入2日後,介入7日後に行った.運動スキルの評価は,ペグボードテストを用いた.また,神経生理学的評価には,recruitment curve(刺激強度:90%rMT~180%rMT),SICI(刺激間隔:2 ms)およびICF(刺激間隔:10 ms)を用いた.
  • 結果:本研究の結果,刺激時間の違いによる影響は認められなかった.刺激群(20分,40分,60分)と刺激なし群(sham)を比較すると,運動スキルは,介入2日後および7日後において有意に高値を示したが,介入直後には有意な変化が認められなかった.一方,recruitment curveは,高強度でのみ介入直後で有意に増大した.一方,介入2日後および介入7日後では有意な差が認められなかった.また,SICIおよびICFには有意な変化が認められなかった.
  • 結論:電気刺激による刺激介入により,運動スキルの獲得と保持が認められたが,神経生理学的な変化との関連は認められなかった.よって,運動スキルおよび神経生理学的指標に対する効果は,異なる作用機序であることが示唆された.