9/25 勉強会

【研究報告】

担当:椿

タイトル:中強度運動中および運動後の大脳皮質酸素化ヘモグロビンの変化

  • 目的:中強度運動の急性効果として,大脳皮質機能の改善やそれと関連する酸素化ヘモグロビンの変化が報告されているが,運動自体が運動中および運動後にどのような変化が生じるかは,一部の領域での計測にとどまっている.本研究の目的は,それらを複数領域で計測し,運動中と運動後の変化を比較することである.
  • 方法:健常成人12名を対象とし,中強度での自転車エルゴメータ駆動を20分間実施し,その後15分の安静を保持した.この間,左右前頭前野,左右運動前野,補足運動野,一次運動野の酸素化ヘモグロビンを計測し,運動20分のうち最後の5分と安静15分のうち最後の5分の平均値を領域ごとに求めた.
  • 結果:いずれの領域でも,運動中に酸素化ヘモグロビンは増加し,運動後も安静値に戻らず運動中と同程度であった.
  • 結論:この結果から,20分間の中強度運動後は少なくとも15分間は酸素化ヘモグロビンが高値であることが示された.

 

【文献抄読】

担当:玉越

タイトル:Different effects of running wheel exercise and skilled reaching training on corticofugal tract plasticity in hypertensive rats with cortical infarctions

出典:Zhang et al. Behav Brain Res. 2018. 15;336:166-172.

  • 目的:本研究は脳梗塞モデルラットを用いて,スキルトレーニングと自発運動が皮質下行路に及ぼす影響について比較検証した.
  • 方法:双極性電気凝固法を用いて中大脳動脈永久閉塞モデルラットを作製した.実験群には,SHAM群・脳梗塞+非運動群・脳梗塞+リーチトレーニング群・脳梗塞+自発回転群を設けた.それぞれの運動を1日30分・週5回・40日間実施した.実験終了後,順行性神経トレーサー(BDA)を非傷害側感覚運動野の前肢領域に注入し,赤核・頚髄を観察した.
  • 結果:リーチトレーニング群は自発回転群より前肢の握力が有意に改善した.また,リーチトレーニング群は自発回転群より,赤核レベルで非傷害皮質下行路から傷害皮質下行路への側枝を有意に増加させた.
  • 結論:本研究の結果から,スキルトレーニングによる機能回復の促進は,非傷害側半球からの皮質下行路の可塑性が関与している可能性が示された