10/16 勉強会

【研究報告】

担当:正木

タイトル:医療介護従事者における腰痛と腰背部筋の筋硬度および筋量,姿勢アライメントとの関連

  • 目的:超音波画像診断装置のせん断波エラストグラフィー機能 (SWE) を用いて,医療介護従事者における腰痛と腰背部筋の筋硬度および筋量,姿勢アライメントとの関連を検討した.
  • 方法:対象は健常な医療介護従事者23名 (健常群) ,3ヵ月以上続く腰痛を有する医療介護従事者9名 (腰痛群) とした.SWEを有する超音波画像診断装置を使用し,腰背部筋の筋硬度評価として,安静腹臥位での腰部脊柱起立筋,腰部多裂筋の弾性率を測定した.腰背部筋の筋量評価として,安静腹臥位での腰部脊柱起立筋,腰部多裂筋,腰方形筋の筋厚を測定した.スパイナルマウスを使用して,安静立位,安静腹臥位での矢状面における胸椎後彎角度,腰椎前彎角度,仙骨前傾角度を算出した.多重ロジスティック回帰分析を用いて,腰痛と腰背部筋の筋硬度および筋量,姿勢アライメント,年齢,身長,体重,性別との関連を検討した.
  • 結果:腰痛と有意な関連のある要因として,安静腹臥位での腰部多裂筋の筋硬度,身長が抽出された.腰痛群は健常群よりも安静腹臥位での腰部多裂筋の弾性率が高く,身長が低いことが示された.
  • 結論:医療介護従事者における腰痛には,安静腹臥位での腰部多裂筋の筋硬度が関連することが示唆された。

 

【文献抄読】

担当:犬飼

タイトル:Increased postural sway during quiet stance as a risk factor for prospective falls in community-dwelling elderly individuals.

出典:Johansson et al. Age Ageing. 2017;22:1-6.

  • 目的:本研究の目的は,静止立位時の重心動揺は,高齢者の転倒を予測する因子としての有効性を検証することである.
  • 方法:地域在住高齢者1,877名(評価時に70歳であった男女)を対象に,静止立位時の重心動揺を測定した.評価時の6カ月後,12か月後に転倒の有無を調査した.
  • 結果:転倒群では,評価時の総軌跡長が有意に高値を示していたことが明らかとなった.ロジスティック回帰分析の結果,総軌跡長は転倒予測する因子として有効であることが明らかとなった.
  • 結論:本研究結果より,静止立位時の総軌跡長は高齢者の転倒を予測する因子として有効であることが明らかとなった.